【正義】と【平和】

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 カエサルの予測通り、旧ポンペイウス派の残党軍は、カエサルを追撃して来た。

 翌日の日没時には、早くも、半島の入り口に到着している。

 そして、更に予測通り、敵は、全軍を二手に分けたのである。

 北側の陸地部分には、総司令官のメテルス・スキピオの率いる、半分の軍勢と象の全軍。

 南側の封鎖は、ユバ王の率いる、残りの半分の軍勢である。

 メテルス・スキピオの軍勢は、封鎖地点に到着すると、即座に陣営地の建設を行った。

 しかし、彼等は、陣営地を構築するのに、カエサル軍よりも遥かに時間がかかってしまう。

 カエサルの精鋭軍団の兵士達は、戦闘のみならず、陣営地の建設においても、ラテン語の「ヴェテラヌス」の意味通り、ベテランであったのである。

 4月6日、カエサルは、夜明けと同時に、行軍を開始した。タプソスからの攻撃に対する防衛のための二個軍団を除き、全軍を率いて、陣営地を後にした。

 カエサルは、敵の布陣を見ると、騎兵の全員を中央に配置するという、定石とは異なる、布陣を命じた。
 
 そして、広い潟に接する、左翼には、第十三、第十四軍団の精鋭兵を配する。

 海を臨む、右翼には、最精鋭の第九、第十軍団。

 最左翼と最右翼には、第五軍団を二分すると、五個大隊ずつを配した。

 残りの三個軍団の新兵達は、騎兵の後ろ、即ち、中央に配された。

 第五軍団の役割は、六十頭の敵の象群のみである。

 彼等は、敵の兵には目もくれずに、投石と投げ槍によって、象を逃走させることだけが、任務であった。

 第三陣の第九軍団と第十軍団を待つ間の訓練の成果が、試されることになったのである。

 一方、メテルス・スキピオの軍勢は、陣営地を完成させられないまま、カエサルの軍勢を迎え撃つことになり、慌てて、布陣を行った。

 中央には、重装歩兵、左翼と右翼には、騎兵を、最左翼と最右翼には、象群という、定石通りの布陣であった。

 カエサルには、可能な限り、短時間で、メテルス・スキピオの軍勢を壊滅させる必要があった。

 南側のユバ王の率いる、残りの半分の軍勢が、援軍として到着する前に、決着を着けなければ、敵の狙い通り、カエサル軍は、挟撃されてしまうのである。

 陣形を組んだまま、敵に向かって、進み始めた、自軍の兵士に対し、カエサルは、最高司令官の紅の大マントをなびかせ、歩兵達の間を歩きながら、激励を重ねた。

 精鋭兵には、一人一人に名で呼びかけ、これまでの全ての戦闘に恥じない戦いぶりをしようではないか、と励まし、新兵には、カエサル軍団の名声と栄誉を築き上げるのに尽くした、先輩達に、負けない戦いぶりを示すようにと激励した。

 カエサルは、更に敵に接近した時点で、戦闘開始を命じるつもりでいた。

 しかし、計算違いの事態が発生する。

 従軍拒否事件を起こし、自らを恥じていた、第十軍団の兵士達は、功を焦っていた。それに押し切られた、第十軍団のラッパ手が、カエサルの命令もなしに、突撃のラッパを吹き鳴らしてしまったのである。

 カエサルは、『ガリア戦記』で、「兵士の戦闘意欲が爆発した時は、作戦通りでないと、制止にまわるよりも、自然に爆発した、戦意に乗ってしまった方が良い」と書いている。

 カエサルは、第十軍団のラッバが響くと、即座に、全軍に突撃を命じたのである。



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