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H.036【真田丸】十八

 家康は、幸村を調略しようと、信濃一国の大名にすることを提案するが、幸村は、一顧だにぜず、断った。

 父の昌幸が、生涯、追い続けた、武田の旧領の再興でさえ、幸村の心を動かさなかった。

 最早、彼は、勝敗を超え、生死をも超えた、胸中にあったのである。

 そして、最終二話、前夜で、後藤又兵衛、木村重成が討ち死にする。幸村は、同じ年齢である、伊達政宗を見込んで、妻の春と娘の庇護を頼み、政宗は、快諾する。

 さすがは、天下への野望を捨てていない、唯一の男、奥州の覇者、伊達政宗である。

 更に、幸村は、きりに、最後の策を授ける。その時、幸村は、自分が、きりを愛していたことに、ようやく、気付く。

 幸村ときりの、実に49話、四十数年間の末のキスシーンは、恋愛ドラマよりも、遥かに感動的であった。

 きりの想いは、ようやく、成就したのである。

 そして、迎える、最終回。そのタイトルが、無題であることは、三谷幸喜の判断は、正しかった。

 まずは、毛利勝永が、圧倒的な勢いで、徳川軍を蹴散らし、家康の本陣に迫る。

 続いて、幸村が、進軍を開始する。

 このタイミングで、オープニングの音楽が流れたことは、見事な演出である。

 幸村の率いる、真田軍は、徳川軍を次々と撃破し、家康の本陣に突っ込んだ。

 家康は、慌てて、逃げ出すしかなく、馬印が、倒された。

 家康の馬印が、倒されたのは、武田信玄との合戦である、三方ヶ原の戦いと、大坂夏の陣の二度のみである。

 何故、毛利勝永と真田幸村は、圧倒的な兵力差の徳川軍を、蹴散らすことが可能だったのか。

 それは、最早、彼等が、「死兵」となっていたからであろう。

 死兵とは、その文字通り、死を覚悟した、兵士の集団である。

 彼等は、命を捨てて、家康の首を取ることのみを目的としていたのである。

 一方、徳川の軍勢は、諸大名の寄せ集めの集団に過ぎず、かつ、この戦いで、勝利を治めても、彼等には、得るものが何もなかった。

 故に、徳川軍の諸将及び、兵士は、命を惜しんでいたため、「死兵」となった、真田軍、毛利軍に、簡単に突破されてしまったのである。

 一時は、豊臣方が、勝利するかに見えたが、不運が重なり、戦の潮目が変わった。

 戦国最後の武将である、家康は、それを見逃さなかった。

 徳川軍の猛反撃が始まり、数で劣る、幸村の軍は、疲労も重なり、遂に、総崩れとなってしまう。

 戦況は、完全に逆転したのである。

 本作では、その後、幸村は、単身、家康に迫る。

 幸村は、馬上筒、現在のピストルを持っていた。

 幸村は、それで、家康を討とうとする。

 家康は、家臣を退けると、堂々と幸村の前に立った。

 さすが、天下の覇者、徳川家康と言うべきであろう。逃げも隠れもしなかったのである。

 家康と幸村は、互いの想いをぶつけ合う。

 無論、フィクションであるが、二人が対峙する場面は、絶対に必要だったと、改めて、思わされた。

 しかし、家康を探していた、秀忠の軍勢に取り囲まれ、幸村は、家康を撃つことができず、逆に、佐助と共に逃走せざるを得なかった。

 正直に言えば、本作が始まる前、筆者は、不安を感じていた。

 真田幸村の物語とは、悲壮感に満ちた、「滅びの美学」であり、コメディ的な要素の強い、三谷幸喜の脚本で、真田幸村の生涯が、描けるのかと。

 しかし、実際に物語が始まると、その不安は、一掃された。

 本作は、三谷幸喜らしさを失うことなく、明るい雰囲気で、真田幸村の生涯を描いた。

 本作には、悲壮感は皆無に等しいが、大坂夏の陣では、見事に「滅びの美学」を描き切り、筆者を涙させた。

 今後、真田幸村と言えば、『真田丸』と言い切れるほどの優れた作品であったと思える。




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