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 評価:80点/作者:八木荘司/ジャンル:歴史/出版:2004年


 『古代天皇はなぜ殺されたのか』は、元産経新聞の記者で、作家の八木荘司氏による、日本古代史の解説書。

 八木氏は、『ソウルに消ゆ』で、日本推理サスペンス大賞を受賞して、作家としてのデビューを果たした後に、2000年以降は、『古代からの伝言』シリーズなど、日本の古代史に関する書作を、数多く、執筆している。

 本書のタイトル、『古代天皇はなぜ殺されたのか』は、無論、実際の古代史上において、天皇が、殺害されたことを扱っているわけではない。

 戦後の日本の古代史学界が、『古事記』『日本書紀』等の史書に登場する、数多くの古代の天皇達を、実在の人物として認めずに、歴史上から、事実上、「抹殺」したことを意味している。

 本書の冒頭で、八木氏が述べている様に、実際に殺害された、古代の天皇は、第二十代の安康天皇と、第三十二代の崇峻天皇の二人のみであるが、本書の出版の戦略上、敢えて、『古代天皇はなぜ殺されたのか』という、センセーショナルなタイトルにしたのであろう。

 戦前の日本古代史学界は、「皇国史観」に逆らえず、『古事記』『日本書紀』を絶対視した。

 戦後は、その反動によって、「皇国史観」を払拭するため、『古事記』『日本書紀』の内容を否定することが、日本古代史学界の風潮となってしまった。

 そのため、初代神武天皇に始まり、第二代の綏靖天皇から第九代の開化天皇までの所謂、「欠史八代」の天皇達、第十二代の景行天皇、第十三代の成務天皇、第十四代の仲哀天皇、日本武尊、神功皇后などが、悉く、非実在の人物と見做され、「抹殺」されたのである。

 八木氏は、『古事記』『日本書紀』等の文献を読み込み、独自の説によって、古代天皇達の実在を主張する。

 同時に、現在の日本古代史学界に「抹殺」された、天皇の非実在論が、いかに根拠がないかを証明することで、逆にその実在を証明しているのである。

 本書は「神武の復活」「邪馬台国と大和」「崇神天皇の虚像と実像」「国家統一へのドラマ」「好太王碑の証言」「天皇一家急死のなぞ」の六章で構成されている。

 「神武の復活」では、神武天皇の実在が否定される、論拠の一つである、紀元二千六百年の謎に挑み、「倭国大乱」を神武東征として、実際の神武天皇の即位は、西暦181年としている。

 「邪馬台国と大和」では、神武の王朝の支配領域は、奈良盆地南側の狭い範囲に過ぎず、「欠史八代」の時代に、北部に侵出したとしている。

 また、大和朝廷は、邪馬台国の発展国家ではなく、並列の存在で、邪馬台国は、神武の王朝に併呑されたとしている。

 実は、「魏志倭人伝」には、「邪馬台国」の名は、一度しか、登場しない。

 他は、「倭国」「女王国」となっている。

 八木氏は、「女王国」は、奈良盆地の北部に存在し、狗奴国の王、狗古智卑狗を、第五代の孝昭天皇に比定している。

 更に、「女王国」は、第八代の孝元天皇によって、神武の王朝に併呑されたとの説を唱えている。

 その論拠は、神武天皇の王朝の各々の天皇の代の宮殿の位置と、正妃の出身地である。




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