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 評価:70点/作者:岡谷公二/ジャンル:歴史/出版:2013年


 『神社の起源と古代朝鮮』は、跡見学園女子大学名誉教授である、岡谷公二氏による、日本の神社の起源に関する、歴史解説書。

 岡谷氏は、東京大学文学部美術史学科を卒業後、フランス文学・美術研究者として、多くのフランス語の翻訳を手掛けている。

 岡谷氏は、並行して、『柳田国男の青春』を出版し、1990年代に入ると、民俗学に関する著書を発表し、2009年には、『南海漂蕩』により、和辻哲郎文化賞を受賞するなど、多彩な才能を見せている。

 著者は、2009年には、『原始の神社をもとめて 日本・琉球・済州島』を出版しており、本書は、その続編的著作である。

 日本人にとって、神社は、日本固有の存在であると信じられてきた。

 しかし、岡谷氏は、在日朝鮮人の古代史研究家、金達寿氏の「神社も神宮も新羅から入ってきたものです」との言葉に、多くの真実を含んでいると考えており、神社の成り立ちに、古代朝鮮、特に、新羅=伽耶が、或る役割を果たしていることだけは、断言できると述べている。

 岡谷氏は、フランス文学・美術研究者であり、日本古代史の専門家ではない。

 そのため、本書は、数多の日本古代史研究者の著者を引用している。

 同時に、岡谷氏は、自身の足で、日本・琉球・済州島、朝鮮半島の慶州を歩き、神社の起源を探し求めている。

 本書は、解説書であると同時に、岡谷氏の旅行記的面が強い。

 本書の中で、岡谷氏は、近江・但馬・敦賀・出雲・大和・豊前、そして、朝鮮半島の慶州と、数多の地域を旅し、各地の神社を巡り、新羅=伽耶人の足跡を求めている。

 岡谷氏の説によれば、日本の神社及び、その祭神は、新羅=伽耶の渡来人が、日本列島に持ち込んだとする。

 大和朝廷は、百済との関係が深かったが、実は、その以前の時代に、新羅=伽耶人が、鉄を求め、日本列島に渡来したのである。

 新羅は、朝鮮半島南東部の辰韓であり、日本海を渡って、新羅人達が、敦賀に渡来し、更に近江へ入ったとする。

 また、日本海を渡って、出雲にも入っている。

 「鉄の道」である。

 そして、本書は、朝鮮の済州島、慶州の堂と、日本の類似を指摘する。

 朝鮮半島では、高麗は、仏教を、李氏朝鮮は、儒教を国教とした。

 日本と異なる点は、高麗と李氏朝鮮が、国教以外の宗教・信仰を弾圧したことである。

 そのため、高麗以前の本来の朝鮮半島の信仰が、現在では、殆ど、残っていないのである。

 筆者が、本書に興味を抱き、読んだのは、日本の神社の祭神、特に、式内社の殆どが、須佐之男命、大国主命など、開拓神であることに疑念があったためである。

 開拓神とは、即ち、農耕のために国土を開拓した、神であり、農耕のない、縄文時代には、存在しない、神である。

 故に、日本の神々は、弥生時代以降に、日本に持ち込まれたと考えられる。

 本書は、筆者の疑念を完全には、晴らしてくれなかった。

 神社の起源が、日本固有か、古代朝鮮かは、確実な証拠がない以上、最終的には、個人の信条によるのかもしれない。







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