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 評価:60点/作者:岡谷公二/ジャンル:歴史/出版:2016年


 『伊勢と出雲〜韓神と鉄』は、跡見学園女子大学名誉教授の岡谷公二氏による、2013年出版の『神社の起源と古代朝鮮』の続編的作品。

 岡谷氏は、2009年出版の『原始の神社をもとめて 日本・琉球・済州島』以来、日本の神社の起源の探求を続けている。

 本書は、メインタイトルが、「伊勢と出雲」であるため、伊勢神宮と出雲大社に関する、著作であると、筆者は、勘違いして、図書館で借りたが、伊勢神宮と出雲大社の記述は、極めて、少なく、サブタイトルの「韓神と鉄」こそが、メインテーマである。

 岡谷氏は、『神社の起源と古代朝鮮』の中で、新羅=伽耶人が、鉄を求めて、日本列島に渡来した際、彼等の故郷の信仰を日本に持ち込み、祭祀を行ったと述べているが、本書は、伊勢と出雲の地に残る、その足跡、「韓神」の信仰を探し求めた、旅行記である。

 本作は、第一部の「伊勢篇」と第二部の「出雲篇」に分れているが、タイトルと異なり、両者の間には、殆ど、関連性がない。

 「伊勢篇」は、更に「伊勢の韓神」「伊勢津彦の問題」「伊勢と鉄」「亀山へ」の四章構成になっている。

 「伊勢の韓神」は、岡谷氏が、ひたすら、伊勢の「韓神山」を探す、旅行記で、正直、面白くない。韓神山は、伊勢神宮の内宮の禰宜、荒木田氏が、氏神祭を行ってきた場所で、荒木田氏が、新羅=伽耶からの渡来人ではないかとの説を提示している。

 「伊勢津彦の問題」は、『伊勢国風土記』に登場する、伊勢津彦という名の神について、考察している。

 岡谷氏は、伊勢津彦を、『古事記』『日本書紀』に登場する、猿田彦と同じ、神と推測し、こちらも、鉄を求めた、朝鮮半島の渡来人と関連づけている。

 「伊勢と鉄」では、伊勢神宮の創祀の伝承、『倭姫命世記』の倭姫命の巡行路を取り上げ、それらの土地が、鉄の産地であると結論している。

 また、外宮の祭神、豊受大神について、『丹波国風土記』逸文の天の羽衣説話の天女で、新羅=伽耶との関わりを推察している。

 「出雲篇」は、「唐川村にて」「日御碕の韓国神社」「砂鉄の国」「意宇平野と渡来人」の四章で構成されている。

 岡谷氏は、前作以来、ほぼ、一貫して、出雲は、新羅=伽耶からの渡来人の地であり、後世、その痕跡が、消されたと主張している。

 筆者は、2018年3月に本書を読んだが、前年の2017年に、出雲に行ったばかりのため、凡そ、二十年近く前に行ったことのある、「伊勢篇」より、「出雲篇」は、興味深く読めた。

 特に、日御碕神社の記憶は、それなりに残っており、記憶を辿るのが、面白かった。

 三谷氏は、前作以来、出雲系の神々、特に、須佐之男命について、新羅からの渡来人が、祭った、本国の神であると、ほぼ、断定している。

 しかし、朝鮮半島では、高麗が仏教を、李氏朝鮮が、儒教を国教とし、それ以外の宗教を弾圧したために、檀君神話及び、高句麗、新羅、金官加羅国=伽耶の建国神話を除く、神々の神話の記録が、非常に乏しい。

 故に、須佐之男命と、朝鮮半島の神との比定ができないため、考証は、非常に困難である。





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