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 評価:75点/作者:水谷千秋/ジャンル:歴史/出版:2001年


 『謎の大王継体天皇』は、堺女子短期大学准教授、水谷千秋氏による、日本古代の天皇、第二十六代継体天皇の解説書。

 水谷氏は、龍谷大学大学院において、日野昭氏に師事し、2002年に、『継体天皇と古代の王権』で、皇學館大学の文学博士号を取得している。

 本書の題名の通り、第二十六代の継体天皇は、日本の歴史上、最も謎に満ちた、天皇の一人である。

 継体天皇は、第十五代応神天皇の「五世孫」であり、近江で生まれ、育った、地方豪族であるが、第二十五代武烈天皇の死後、大王=天皇に即位した。

 水谷氏が、「はじめに」で述べている様に、日本の、特に古代史は、天皇の存在を抜きに、語ることはできない。

 天皇制は、古代、中世、近世、近代を通じて、現代に至るまでの間、その命脈を保ち続けた。

 継体天皇の存在は、その中でも、重要な位置を占めている。

 応神天皇の死後、その座を継承したのは、第十六代仁徳天皇である。

 その後、履中天皇、反正天皇、允恭天皇、安康天皇、雄略天皇、清寧天皇、顕宗天皇、仁賢天皇、武烈天皇と、仁徳天皇の王統が、その曽孫に至るまで、十代に及んだ。

 しかし、仁徳王統は、第二十五代の武烈天皇で、断絶し、曽祖父の更に父、五代前まで、遡らなければ、天皇に辿り着かない、近江・越前の豪族、応神天皇の五世孫のヲホド王が、第二十六代継体天皇として、大王=天皇の座を継承したのである。

 そのため、日本古代史学界では、継体天皇は、仁徳系王朝から、大王の位を簒奪した、新王朝の創始者であるとの説が、根強い。

 即ち、天皇は、初代の神武以来、連綿と続く、万世一系ではなく、王朝交代があり、現在の天皇家は、継体を始祖とするとの説である。

 本書は、その謎に満ちた、継体天皇の実像に迫り、ヲホド王は、王権の簒奪者なのか、正統な天皇の後継者であるのかについて、詳細に検討している。

 継体天皇を論ずることは、天皇の万世一系を論じ、日本の国体を論じることに繋がる。

 水谷氏は、最初に「継体新王朝説」を述べた後、「継体出現前史」として、雄略天皇及び、飯豊女王の時代について、検討している。

 仁徳王統が、断絶した、最大の理由は、雄略が、自身の競争相手の皇子達を、次々と殺害したのが、原因である。

 更に、雄略の息子の清寧天皇の死後、履中天皇の娘の飯豊皇女が、女王として、「称制」したと結論している。

 その後、「継体天皇と王位継承」において、息長氏、三尾氏など、ヲホド王の親族である、近江の豪族について、検討している。

 そして、本書の最も重要な結論として、ヲホド王は、「応神天皇五世孫」に間違いなく、新王朝説を否定している。

 ただし、仁徳王統の王族が、完全に絶滅したわけではなく、「記紀」の記述を拾い上げ、詳細な説明のない、王族の生き残りがいたとしている。

 「継体天皇の即位と大和定着」では、継体が、大和に宮を定めるのに、長い年月が必要であった、理由として、大和の葛城氏が、抵抗勢力であったとしている。

 「天皇」に興味がある人は、一読すべき、一冊である。




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