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 評価:55点/作者:遠山美都男/ジャンル:歴史/出版:2001年


 『天皇誕生〜日本書紀が描いた王朝交替』は、日本古代史の研究者、遠山美都男による、『日本書紀』の解説書。

 遠山氏は、1986年、学習院大学文学人文科学研究科史学専攻博士課程後期課程を中退後、学習院大学、日本大学、立教大学の非常勤講師を務め、1997年に、学習院大学より、史学博士の学位を授与されている。

 教育者としては、非常勤講師に過ぎず、大学教授などの肩書はないが、著作に関しては、実に多く、1993年以降、2015年に至るまで、単著で、約二十五冊、共著、編著を含めば、三十冊以上になる。

 著作の内容は、卑弥呼の時代から、奈良時代までを対象としている。

 本書の内容は、『日本書紀』の史実性の完全否定である。

 遠山氏は、『日本書紀』とは、歴史書ではなく、中国の文化・思想を基盤として、大和朝廷の正統性を主張するために、創作された、完全なる、「物語」であるとしている。

 遠山氏の見解によれば、『日本書紀』は、二つの物語から、成立している。

 最初の物語は、神武天皇に始まり、応神天皇に終わる、物語であるが、七世紀末から八世紀初頭にかけて、成立した、律令国家とその最高首長である、天皇の地位と権力が、どのようなプロセスを辿って、形成されたかを、解き明かそうとする、主題に貫かれているとしている。

 二つ目の物語は、仁徳天皇に始まり、武烈天皇に終わる、物語である。

 それは、過去の日本には、中国的な王朝が存在したことを主張し、その興亡と盛衰を具体的に描くことで、中国同様、天命によって、成立し、滅んだ、王朝の存在が、主題としている。

 筆者は、数多くの日本古代史の解説書を読んだが、率直に言えば、本書ほど、読んだ後、不快に感じた、書物はない。

 遠山氏は、『日本書紀』の一部を抜き出した後、その部分が、どのような意味を持って、創作された、架空の話かを、一冊使って、解説している。

 本書では、天皇の和風諡号の意味を問うことで、その「架空」の天皇が、物語において、どのような役割を果たしているのか、解説しているが、遠山氏の主張と解説には、全く、根拠がなく、その内容は、彼の自己満足としか、思えない。

 遠山氏は、「あとがき」に記しているように、「実在の確かな最初の天皇は、誰か?」との問いは、無意味であり、歴史的事実に接近するより、有効な枠組みを提示することが、急務で、それこそが、意味のある仕事なのではないかと述べている。

 しかし、筆者の見解は、遠山氏とは、真逆である。

 現在に至るまで、連綿と続いている、天皇家が、その天皇からが、実在が確かかを問うことは、歴史的には、非常に意味がある。

 何故ならば、日本という、国の根幹に関わる、問題だからである。

 王朝が交替する、中国に対し、「万世一系」を主張することによって、優位性を保つための『日本書紀』の内容に、敢えて、架空の中国的王朝の興亡と衰亡を、描くことに、何の意味があるのか?

 本書は、こんな意見がある程度の意味しかもたない、一冊である。



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