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 評価:85点/公開:2004年/邦画/ジャンル:アニメ/監督:新海誠


 2002年に『ほしのこえ』で、鮮烈なデビューを飾った、新海誠による、初めての長編アニメ映画。

 SFと恋愛の要素が絡み合った、重厚な物語と、美しい、アニメーション、楽曲の絶妙な使用など、本格的な映画製作は、初めてとは思えない、見事な演出である。

 物語の舞台は、現在の我々の世界とは異なる、別の戦後の世界。世界の半分を支配下に置く、共産圏の「ユニオン」により、「エゾ」と呼ばれる、北海道は占領されて、日本は、分断されている。

 「ユニオン」は、無論、旧ソビエト連邦と共産国家群が、モデルであろう。

 ユニオンは、エゾの中央に、天高く、聳える、謎の白の「塔」を建設した。

 中学三年生の主人公、藤沢浩紀と、親友の白川拓也、クラスメイトの沢渡佐由理は、青森県の津軽半島で暮らしており、国境である、津軽海峡の向うの塔を見て、エゾ地と塔に憧れて、育った。

 浩紀と拓也は、山奥の廃駅の格納庫で、ヴェラシーラと名付けた、飛行機を自分達で製作し、国境を越え、塔まで飛行する、計画を立てていた。

 浩紀が、口を滑らせたことを契機に、佐由理も計画に加わり、「塔」こそが、三人の「約束の場所」になったのである。

 しかし、佐由理は、ある日を境に、突然、浩紀と拓也の前から、姿を消してしまう。

 浩紀と拓也は、佐由理を失った、ショックのため、ヴェラシーラの製作を辞めて、浩紀は、東京の高校に進学する。

 しかし、孤独を抱えたまま、三年が過ぎ、高校三年生になる。

 拓也は、青森に残り、米軍のアーミー・カレッジで、「塔」の研究に参加していた。

 「塔」の正体は、物語内では、明示されてはいないが、米軍は、平行宇宙を観測し、高度な未来予測を行うためのシステムであると想定していた。

 本作では、平行宇宙=多世界解釈について、「宇宙の見る夢」と表現しているが、新海誠らしく、非常に文学的な美しい、言葉である。

 浩紀と拓也は、三年前に姿を消した、佐由理が、三年間、眠り続けていることを知る。

 佐由理の祖父は、本土の出身の物理学者で、「塔」の設計者であった。

 「塔」は、周囲の空間を平行宇宙に転換しようとするが、佐由理が眠り続けることが、「塔」の活動を抑制していることが、判明する。

 即ち、「塔」の平行宇宙情報は、浩紀達の宇宙を侵食しようとしているのであるが、佐由理の夢に流れ込むことで、宇宙の浸食が、抑制されている。

 佐由理の意識レベルが上昇すると、「塔」の周囲の空間は、平行宇宙に侵食される。

 正直、強引な理屈ではある。

 浩紀は、夢の中で、佐由理と出会い、佐由理にとって、現実世界との繋がりは、中学生の時の「約束」であることを知り、佐由理を目覚めさせるため、「塔」に向かい、「約束」を果たそうとする。

 そして、津軽に行き、拓也の協力を得て、ヴェラシーラを完成させる。

 一方、米軍は、ユニオンに宣戦布告し、浩紀は、開戦直後の混乱に乗じて、ヴェラシーラに乗り、佐由理を乗せ、「塔」に向かう。

 佐由理の目覚めと共に、平行宇宙は急拡大するが、浩紀は、「塔」を破壊し、浸食は止まる。

 物語冒頭、大人になった、浩紀は、津軽に行くが、佐由理の姿はなく、一人である。

 若き日の恋は、儚いまま、散ってしまったのであろうか。




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