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 評価:85点/公開:2008年/邦画/ジャンル:アニメ/監督:新海誠


 『ほしのこえ』『雲のむこう、約束の場所』に続く、新海誠の監督・脚本の三作目のアニメ映画。

 本作は、「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の短編三作品であるが、遠野貴樹という、一人の男性の少年時代から、社会人までを描いた、一つの連作である。

 筆者は、率直に言えば、SF、ファンタジー等の要素のない、実写化可能な現実的な恋愛物語は、アニメにする必要性はないと考え、殆ど、見たことはない。

 しかし、本作は、実写化すると、演者の印象が残って、本作の胸を締め付けるほどの切なさが、薄れてしまうであろう。

 筆者にとっては、初めて、実写化して欲しくない、現実的な恋愛物語であった。

 タイトルの「秒速5センチメートル」は、物語冒頭で、ヒロインの篠原明里の台詞、桜の花びらが、地上に落ちる、速度である。

 「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。」という、本作のキャチコピーに連動しているのではないかと、個人的には考えている。

 「桜花抄」は、遠野貴樹と篠原明里の中学生時代の物語である。

 小学生時代、二人は、東京で、淡い、初恋の関係にあった。

 しかし、明里は、中学校に進学する際に、栃木に引っ越してしまう。

 二人は、手紙で、近況を報告し合う。

 携帯のない、1990年代前半の物語である。

 貴樹は、鹿児島に引っ越すことになり、最後に、栃木の明里に会いに行く。

 しかし、その当日、大雪のために、電車が遅延し、貴樹は、大幅に遅刻する。

 幼さ故の貴樹の焦燥感が、切ないほどに伝わってくる。

 しかし、明里は、駅で待っており、二人は、再会を果たした。

 そして、雪景色の中、中学一年生の二人は、キスをして、一晩中、語り明かす。

 貴樹は、翌朝、東京に帰るが、二人は、知らなかった。それが、永遠の別れになってしまうことを。

 二人は、幼さ故、また、桜の花が散るのを一緒に見ることができると、信じて疑わなかったのである。

 「コスモナウト」では、貴樹は、種子島に住む、高校生三年生として登場する。

 「コスモナウト」は、貴樹に片想いをする、澄田花苗の視点で描かれる。

 花苗は、中学生の時に、貴樹が、東京から、転校してきた時以来、貴樹に片想いをし続けていた。

 物語終盤、花苗は、貴樹に告白しようとする。

 しかし、貴樹が、自分を見ておらず、ずっと遠くのものを見ていることに気付き、諦めてしまう。

 貴樹は、東京の大学に進学し、三作目では、社会人になっている。

 貴樹は、焦燥に駆られて、懸命に働くが、それが、何なのか、自分でもわからず、会社を辞める。

 そして、三年間、付き合った、彼女から、「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」と言われる。

 そして、本作の最高のクライマックス、山崎まさよしの「One more time, One more chance」の曲と共に、貴樹と明里のすれ違いが断片的に描かれる。

 貴樹は、明里を探し続けていたのである。

 しかし、貴樹は、手紙を送るのを辞めてしまい、メールも、書いては、削除してしまう。

 明里は、貴樹への想いを断ち切って、他の人と結婚する。

 貴樹が、手紙を辞めてしまったのは、青春時代を振り返ると、何となく、わかる気がする。

 初恋と、彼女を探し続ける、切なさ、焦燥感と、山崎まさよしの曲が、余りに絶妙で、涙を我慢できなかった。



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