【正義】と【平和】

英雄千人をランキング。『千人の英雄伝』連載中。

全体表示

[ リスト ]

 評価:75点/作者:杉本徒淑彦/ジャンル:歴史/出版:2018年


 『ナポレオン〜最後の専制君主、最初の近代政治家』は、京都大学の文学研究科教授、杉本淑彦による、ナポレオンの解説書。

 杉本氏は、京都大学文学部西洋史学科を卒業後、静岡大学助教授、大阪大学助教授及び、教授を経て、2002年に現職に就任した。

 杉本氏の単著は、本書を含め、三作のみで、全てが、フランス史である。

 ナポレオンに関しては、2002年に『ナポレオン伝説とパリ〜記憶史への挑戦』を出版している。

 また、翻訳書としては、ジェフリー・エリスの『ナポレオン帝国』がある。

 本書は、2018年2月に出版されたため、2018年5月現在における、日本人著者による、フランスの英雄、ナポレオン・ボナパルトの最新の解説書である。

 ナポレオンに関する、研究書は、世界中で、総計六十万冊を超えると言われている。

 本書の「はじめに」によれば、ナポレオンに関する、今日の歴史研究は、その統治期間の相次ぐ、戦争によって、フランス一国の経済構造や民衆心性が、どのように変化したかに主な関心が寄せられ、ナポレオンという、人物そのものに焦点を当てながら、時代全体を語るという、本書のスタイルは、傍流になるらしい。

 対照的に、広義の文学者が、ナポレオン時代を描く場合は、人物に焦点を当てるのが、主流とのことである。

 本書は、歴史研究の成果を取り入れながら、文学者に倣い、人物の心理に踏み込んでいる点に、特徴があると、著者の杉本氏は、述べている。

 前述の様に、本書は、ナポレオンという、一人の英雄の生涯と、その西洋史上における、影響に関する、解説書である。

 ナポレオンの生まれる直前のコルシカ島の独立運動から、ナポレオンの死後のラス・カーズの『セント・ヘレナ』回想録までを対象としている。

 本書は、内容的には、大きな偏りがある。

 ナポレオンの誕生と、コルシカ島への想い、イタリア遠征及び、エジプト遠征、ブリュメールのクーデターによって、フランスの頂点に立つまでに、半分以上の頁を割き、その後、第一統領時代及び、皇帝時代の絶頂期及び、ロシア遠征以後の転落期については、簡略化している。

 また、ナポレオンの「生涯」と、その「業績」に関する内容を中心に著述しているため、ナポレオンに栄光をもたらした、数々の戦争については、戦いの名称及び、勝敗について、記述しているのみで、戦略・戦術の解説は、皆無に等しい。

 杉本氏は、本書のサブタイトルである、「最後の専制君主、最初の近代政治家」の通り、ナポレオンの二面性を描いている。

 有名な「ナポレオン法典」は、一つの法体系によって、秩序立てられる、近代市民社会へと進む、扉を開いた。

 その一方で、「妻」の地位の低下、奴隷制度の復活などについては、権利を逆戻りさせている。

 本書は、ナポレオンの生涯に関して、平易な文章で書かれているため、非常に読み易く、分かり易い。ナポレオンの入門書としては、オススメの一冊である。



[https://book.blogmura.com/bookreview/ranking_out.html" target="_blank にほんブログ村 書評・レビュー]

この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(0)


.


みんなの更新記事