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 評価:85点/公開:2011年/邦画/ジャンル:アニメ/監督:新海誠

 『ほしのこえ』『雲のむこう。約束の場所』『秒速5センチメートル』に続く、新海誠の監督・脚本の四作目のアニメ映画。

 主人公の少女が、地下世界、「アガルタ」を旅する、新海監督作品において、初めてのファンタジー作品である。また、上映時間が、116分と、四作中、最も長い、長編作品。

 作風は、「天空の城ラピュタ」など、ジブリの作品に近いが、監督自身が、ある程度、自覚的に、ジブリの作品に近づけたと語っている。

 凡そ、日本のアニメーションの制作者の中で、ジブリ作品を見たことはいないと思われるため、影響を受けるのは、当然と考えられる。

 主人公の渡瀬明日菜は、11、12歳程度の少女。幼い頃に父を亡くして、看護婦の母と二人で、田舎で暮らしている。

 山奥で、一人、父の形見である、鉱石ラジオによって、ラジオを聞いている時、不思議な歌を聞く。

 そして、謎の少年、シュンに、怪獣に襲われたところを、助けられる。

 しかし、後日、シュンの遺体が、発見される。

 シュンは、病に侵されていたが、地上では、長くは生きられないことを知りながら、恐らく、地下世界では見れない、「星」を見るために、地上に来た。

 本作のタイトル、『星を追う子ども』は、シュンの行動に由来すると思われる。

 シュンの死に、喪失感に囚われる、明日菜の前に、産休の代理教員として、森崎竜司が現れる。

 シュンは、明日菜に、「アガルタから来た」と語っていたが、森崎は、国語の授業の中で、古事記の黄泉の国の話をした後に、「アガルタ」の名を口にし、明日菜は、森崎にアガルタのことを尋ねる。

 実は、森崎の正体は、アガルタの秘密を探る組織、アルカンジェリに所属する、中佐であった。

 シュンを忘れられないままの明日菜の前に、シュンの弟、シンが現れる。

 シンの使命は、シュンが、持ち出した、アガルタの扉を開ける、鍵である鉱石、「クラヴィス」を回収することであった。

 そして、後に、明日菜の父の形見の鉱石ラジオが、クラヴィスの欠片であることが明かされる。

 本作の「アガルタ」は、太古の時代に、人類を導いた、神々と、一部の人間達が、移り住んだ、地下世界である。

 過去には、地上世界と繋がっていたが、地上の権力者たちが、アガルタの叡智を手に入れるため、侵略され、現在では、地上との交流を閉ざしている。

 明日菜が、シンをシュンと勘違いしている最中、森崎の率いる、アルカンジェリが現れ、森崎は、シンと明日菜を追って、アガルタへの侵入に成功する。

 森崎は、主人公の明日菜以上に、本作の真のテーマを背負った人物である。

 森崎の目的は、亡くなった、妻のリサとの再会であった。

 明日菜が、シンの死の喪失感で、漠然とアガルタを旅するのに対し、森崎の執念は、凄まじい。

 森崎は、元軍人で、十年前、最愛の妻を亡くし、それ以来、アガルタの生死の門を探し続けていた。

 「死んだ人間は、生き返らない。生き返らせてはいけない」。

 それこそが、本作の真のテーマであり、『鋼の錬金術師』『仮面ライダーウィザード』等のテーマと共通すると、筆者は考えている。

 物語のラスト、森崎は、明日菜をリサの魂の依り代とし、片目を失いながらも、リサとの再会を果たすが、シンに阻まれる。

 「生きている人間の方が大事」。

 シンの台詞に込められた、想いこそ、本作のメッセージであり、森崎は、アガルタで生きることを決意するのである。



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