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No.362【言の葉の庭】

 評価:80点/公開:2013年/邦画/ジャンル:アニメ/監督:新海誠


 『ほしのこえ』『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』に続く、日本を代表する、アニメ映画監督に成長した、新海誠の五作目の映画。

 本作は、上映時間が、46分と、非常に短く、映画公開時は、23館のみ、一律、1,000円であった。

 DVD及び、ブルーレイディスクは、先行発売されており、元々は、OVAの位置づけで、三週間の期間限定の公開予定であった。

 しかし、映画公開三日間で、興行収入は、3,000万円に達し、上映期間は延長され、累計では、十二万人以上を動員。最終興行収入は、推定1億5,000万円。

 2007年の『秒速5センチメートル』、2011年の『星を追う子ども』の動員数を超える、ヒット作品となった。

 本作において、目を奪われるのは、アニメーションとは思えない、公園の景色の美しさである。

 特に、池にしな垂れる、木の枝の葉は、写真ではないかと思わせる。

 本作は、「雨」が、物語上の重要な役割を果たしており、雨の公園の景色は、写真以上に美しい。

 主人公は、十五歳の高校一年生、秋月孝雄は、靴職人を目指しており、雨の降る日の午前は、学校をサボって、新宿御苑をモデルとする、公園のベンチで過ごしている。

 ある日、孝雄は、公園のベンチで、缶ビールを飲む、美しい、大人の女性と出会う。

 孝雄は、その女性に見覚えがあると感じ、本人に尋ねるが、否定される。

 しかし、彼の校章を見た、女性は、「会ってるかも」と言った後、「雷神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」との言葉を残し、立ち去った。

 六月の梅雨の時期であるため、孝雄は、頻繁に公園に赴き、女性と顔を合わせる内に、二人は、言葉を交わすようになる。

 孝雄は、女性に靴職人になりたいとの夢を語り、その女性のための靴を作りたいと願う。

 靴製作のため、女性の足の寸法を測る時、恐らく、孝雄は、初めて、女性の足に触ったのであろう。

 何となく、孝雄の胸の高鳴りが聞こえてくる気がする。

 梅雨の季節が過ぎると、雨が降らなくなり、孝雄は、公園に行く、キッカケを失い、夏休みには、靴職人になるための専門学校の学費と、靴製作のための費用を稼ぐため、バイトに明け暮れる。

 一方、その時期から、視聴者には、女性の視点からの物語が描かれるようになる。

 そして、夏休み明けの学校で、衝撃の事実が明かされる。

 女性の名は、雪野百香里で、孝雄の高校の古典の先生であった。

 孝雄の友人が、百香里のことを知っているのに対し、孝雄が、当初、会ったことがあると感じた程度で、自分の高校の先生を知らなかったのは、若干、無理がある。

 百香里は、生徒の嫌がらせに耐え兼ねて、学校に行けなくなり、公園で過ごしていたのである。

 大雨の日、孝雄は、公園に行き、百香里と再会すると、最初に百香里が口にした、万葉集の歌の返し歌、「雷神の 少し響みて 降らずとも 我は留らむ 妹し留めば」を百香里に対し、口ずさむ。

 二人は、百香里のマンションに行き、孝雄は、自分の想いを告げる。

 しかし、百香里は、急に「先生」としての態度を取ったため、孝雄は、帰ってしまう。

 その後の百香里の孝雄を追い、部屋を出るまでの葛藤と、走る場面が、美しくも切ない。

 二人は、互いの気持ちをぶつけ合い、各々の道を歩き始める。

 本作は、思春期の淡い、恋心を見事なまでに美しく、描いた、純愛物語である。



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