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 評価:80点/作者:佐藤彰一/ジャンル:歴史/出版:2013年


 『カール大帝〜ヨーロッパの父』は、山川出版社の「世界史リブレット〜人(Person)」シリーズの第29弾。

 現在のフランス・ドイツ・イタリアに当たる、西ヨーロッパの広大な地域を支配し、西ローマ帝国を再興した、フランク国王、カール大帝の解説書である。

 カール大帝は、ドイツ語の名で、フランス語では、シャルルマーニュ。

 「マーニュ」とは、フランス語では、「偉大な」の意味であり、ドイツ語名の大帝の「大」と同義と考えて良い。

 高校の世界史を学んだ者であれば、カール大帝を知らぬ者は、いないであろう。

 本作の著者、佐藤彰一氏は、フランク王国史を中心とする、西洋中世史研究の分野では、世界的に著名な日本の歴史学者である。

 日本では、早稲田大学大学院の博士号を取得し、名古屋大学文学部教授及び、文学研究科教授を退職後、名誉教授就任している。

 世界的には、コレージュ・ド・フランスの招聘教授、エクス=アン=プロヴァンス大学の客員教授、パリ第一大学の招聘教授、そして、フランス学士院の碑文・美文アカデミー外国人連携会員など、数多の経歴を有している。

 カール大帝は、西洋史上において、カエサル、ナポレオンと並ぶ、偉大な英雄であるが、何故か、「カール大帝」に関する、日本語の解説書は、極めて、少ない。

 筆者の知る限り、二冊の翻訳書を含めて、四冊しかなく、日本人の著書は、本作を含め、二冊しかない。

 日本の高校世界史では、西洋史は、ギリシア・ローマは詳しいが、ローマ帝国の崩壊後、カール大帝の西ローマ帝国戴冠までの歴史は、極めて、簡略化されている。

 中世初期は、動乱の時代であるため、史料が、少ないのであろうか。

 本書は、最初に、「カール大帝のヨーロッパ」と題して、カール大帝の概略と世界認識を解説している。

 その後、「カール大帝の系譜を遡る」で、カール大帝の「カロリング」家の歴史を解説する。

 「カロリング」とは、「カールの子孫」の意味で、名前の由来は、大帝の祖父である、メロヴィング朝フランク王国の宮宰、カール・マルテルと想定している。

 次に「外征と国際関係」と題し、カール大帝が、四十六年の治世の間に、二年間を除く、実に四十四年に及ぶ、外征と、ヨーロッパのみならず、アッバース朝のアジア・アフリカ、そして、ビザンツ帝国、北海のデーン人を含めた、当時の国際関係を解説している。

 「カールが築いた統治組織」では、ランゴバルド、ザクセンなどの新たな征服地に加え、アキテーヌなど、十分な忠誠を獲得できていない地域に対し、カール大帝が、股肱の臣を、「伯」として派遣し、「帝国貴族層」を形成したと記述している。

 「社会と経済の姿」では、カール大帝の時代に確立した、聖職者、貴族・騎士、勤労者の三身分論について、述べている。

 「文芸の復興と宗教規律の改革」において、カロリング・ルネサンスを、最後に「西ローマ皇帝戴冠と帝権の革新」で、カールの西ローマ皇帝戴冠について、解説する。
 
 本書は、カール大帝の理解に欠かせない、一冊である。


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