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 評価:80点/作者:桜井俊彰/ジャンル:歴史/出版:2017年


 『物語ウェールズ抗戦史〜ケルトの民とアーサー王伝説』は、日本人のエッセイストで、歴史家の桜井俊彰による、英国史の解説書。

 桜井氏は、四十五歳で、英国に留学すると、ロンドン大学UCLの史学科大学院中世学専攻修士課程を修了している。

 筆者は、桜井氏の著書としては、2010年の『イングランド王国前史〜アングロサクソン七王国物語』、2015年の『消えたイングランド王国』の二冊を読んだ後に、本書を読んだ。

 前二作が、ブリテン島への侵入者である、アングロサクソン人の歴史であったのに対して、本作は、彼等によって、ブリテン島の西端に追い込まれた、ウェールズ人の物語である。

 現在のイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドで構成される、UK、ユナイテッド・キングダムは、国際的には、「一つの国」であるが、各々、独自の議会等、自治政府を有する。

 その背景には、UK、日本語名、イギリスの複雑な歴史がある。

 ブリテン島には、元々、ケルト人が、居住していたが、ローマのブリタニアの征服後、ケルト人は、ローマ化して、ブリトン人と呼ばれた。

 五世紀、ローマ帝国の衰亡に伴い、北方のピクト人達の侵入に対し、ブリトン人は、アングロサクソン人に支援を求めた。

 しかし、アングロサクソン人は、逆にブリトン人から、ブリタニアの地を奪ってしまう。

 ブリトン人は、島の西端に追い込まれた。

 「ウェールズ」とは、古英語では、「よそ者」を意味するが、ブリテン島の原住民が、「よそ者」扱いとは、余りに酷い。

 ウェールズ人は、自分達のことを、同胞、仲間を意味する、「カムリ」と呼んでいる。

 本作は、カムリ=ウェールズ人のアングロサクソン人との闘争を描いた、歴史書である。

 アングロサクソン人の侵入初期、ブリトン人を率い、侵入者達を、一時は、撤退させた、軍事指揮官がいた。

 その正体は、ローマ人のアンブロシウス・アウレリアヌスとの説が、有力であるが、その存在は、「アーサー王伝説」となって、ウェールズ人の間に語り継がれ、いつの日か、アーサー王が、甦り、ウェールズを解放すると、信じられていたのである。

 本作では、最初に、ローマ人の支配に対抗した、ボウディッカ王妃の戦いを描いた後に、アングロサクソン人と戦った、上記の軍事指揮官アンブロシウスと、「アーサー王伝説」、グウィネズ王のカドロワン、グリフィズ・アプ・サウェリンについて、解説する。

 そして、ノルマン人と戦った、グウィネズ王の大サウェリン、聖職者として、戦った、ジェラルド・オブ・ウェールズ、ウェールズ大公を名乗った、大サウェリンの孫である、小サウェリン、ウェールズ独立の戦士、オワイン・グリンドールの戦いを描いている。
 
 最後に、ウェールズの名門、テューダー家の血を引く、ヘンリー7世が、イングランドの王になり、ウェールズは、大逆転を果たすのである。

 「ウェールズ」の歴史を詳細に描いた、日本語の本は、筆者の知る限り、本書のみであるため、筆者は、本書によって、初めて、出会った、英雄が多かった。

 英国史に興味のある方に、オススメの一冊である。


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