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No.621【ヴァイキング】

 評価:70点/作者:荒正人/ジャンル:歴史/出版:1968年


 『ヴァイキング』は、八世紀〜十世紀の初め、世界史上、最も広範囲に渡り、活動した、現在のデンマーク、ノルウェー、スウェーデン出自のヴァイキングに関する、歴史解説書。

 その活動範囲は、東は、北アメリカ大陸から、南は、地中海、西は、ロシアに及ぶ。

 作者の荒正人氏は、実は、歴史学者ではなく、文芸評論家である。

 大正時代の生まれで、第二次世界大戦後、山室静などの仲間と共に『近代文学』を創刊。

 1975年には、夏目漱石の生涯を詳細に調べた、『漱石研究年表』で、毎日芸術賞を受賞している。

 荒氏と本書のテーマ、ヴァイキングの関わりは、北欧文学に造詣が深く、山室静と共に、アイスランドを訪問し、ノーベル文学賞作家のハルドル・ラクスネスに会ったことなどに、起因すると思われる。

 実際、荒氏の著作は、前述の夏目漱石の他、思想・文芸評論が多く、北欧及び、ヴァイキング関連の著作は、本書を含め、二冊しかない。

 荒氏は、1979年に死去しており、本書は、1968年という、2018年現在から、五十年前の古い時代に出版された。

 当時は、未だ、米ソの冷戦時代のため、ヴァイキングのロシアの活動については、ソ連の制約があり、余り、研究が進んでいなかったようである。

 本書の冒頭で述べた様に、ヴァイキングの活動に関して、驚くべきことは、活動範囲の広大さである。

 特に、ヴァイキングは、実は、コロンブスが、アメリカ大陸を「発見した」、1492年の五百年前に、既に、北アメリカ大陸=ヴィンランドに到達していた。

 本書では、「北方ルート」「西方ルート」「南方ルート」「東方ルート」と、ヴァイキングの活動を、四種類のルートに分類している。

 本書は、最初に、北方ルートに分類される、のヴィンランドへの到達、グリーンランドへの植民、そして、アイスランドへの植民及び、現在のアイスランド共和国に至る、歴史について、解説している。

 ヴァイキングの活動は、三〜四世紀に、ローマ帝国を滅ぼした、ゲルマン民族の大移動の再版であった。

 ヴァイキングは、アイルランド、スコットランド、イングランドを略奪、その後、移住している。

 そして、1016年には、デンマークのクヌードが、イングランド、ノルウェーの王を兼ね、広大な北海帝国を築くに至る。

 ヴァイキングは、フランスの略奪を行い、911年、首領のロローは、西フランク王国の王、シャルル3世にノルマンディーを与えられた。

 その子孫のノルマンディー公ウィリアムが、1066年、イングランドを征服し、ノルマン王朝を開いたことは、余りに有名である。

ノルマンディー出身のギスカールは、1046年、南イタリアに遠征し、シチリアを征服。南部イタリアとシチリアに跨る、ノルマン王国を建国した。

 また、ヴァイキングは、東方のロシアへの植民を行い、ノヴゴロド、キエフを建設。現在のロシアの基盤を築くと共に、イスラムのバグダードにも赴いている。

 本書は、五十年前の出版のため、最新の成果は、反映されていないが、「ヴァイキング」の入門書としては、オススメの一冊である。


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