【正義】と【平和】

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 評価:70点/作者:アラン・サン=ドニ/ジャンル:歴史/出版:2004年


 『聖王ルイの世紀』は、1297年、フランスのカペー王家の王の中で、最初に列聖された、「聖人王」ルイ9世に関する、歴史解説書。

 ルイ9世は、1214年の生まれで、1226年、12歳で、フランスの王座に就くと、44年間の在位の後、1270年に死去している。

 本書は、フランス大学出版局の文庫クセジュの一冊で、白水社による、日本語訳である。

 「あとがき」によれば、本書の作者、アラン・サン=ドニは、フランスのナンシー大学の教授を長く勤めた、歴史学者で、主として、11世紀〜13世紀の都市問題、特に、都市と農村の結びつきや風景論、病院や医療制度の様な施設をテーマとした、論文が多い。

 本書の訳者、福本直之氏は、日本のフランス中世文学者で、歴史家ではない。

 京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学後、パリ大学博士号を取得。

 創価大学の名誉教授で、専門は、本書にも登場する、12世紀後半のフランスの物語群、『狐物語』である。

 聖王ルイ=ルイ9世の名を知る、日本人は、少ないであろう。

 しかし、フランスでは、高潔で、敬虔な人物像は、中世の君主の理想像として、フランスでは、知らぬ者はいない。

 前述の通り、死後、カトリック教会によって、列聖され、「聖人」の一人に加わった。

 本書は、ルイ9世の生涯を描いた、伝記というよりは、作者の専門である、フランスの13世紀の国土、農村、都市などの社会と、王、封建貴族、教会、住民の関係などを中心に、解説している。

 タイトルの通り、「聖王ルイの世紀」、13世紀のフランスの解説書である。

 ルイ9世の44年の治世は、フランス史上、長く続いた、一つである。

 本書は、44年の治世を三期に区分している。

 第一期は、1226年〜1250年の不安定から、成熟に至る時期。

 第二期は、1254年〜1250年の聖王ルイが、全キリスト教世界で、正義の判定人、あるいは、「平和の使者」として、世に認められた時期。

 最後の第三期は、反対勢力、脆弱性及び、緊張が、次第にその激しさを増してくる時代である。

 ルイ9世は、父のルイ8世の死によって、カペー王朝の王としては、初めて、未成年で、王座に就いた。

 イギリスの王家である、プランタジネット家出身の母、ブランシュ・ド・カスティーユの摂政と、その側近達によって、フランス王家は、危機に対処する。

 ルイ9世は、若年時の苦い経験と、十字軍の失敗から、王国の基礎固めの必要を感じる。

 1254年、ルイ9世は、聖地から、帰還すると、王国再編に着手し、官僚機構を整備して、公正な裁判を行った。

 13世紀は、フランスの経済の繁栄の時代でもあった。

 ルイ9世は、「王者より、聖者に近い」、謙虚、かつ、敬虔な人柄、「平和の追求」による、権威と確信が、王に国境を越えての名声と人格的な威厳を与えた。

 その結果、ルイ9世は、フランス国内のみならず、諸外国の紛争の調停を依頼され、見事に調停するのである。

 ルイ9世は、その生涯で、二度、十字軍遠征を行ったが、失敗に終わり、二度目には、命を落とした。

 聖王ルイと13世紀のフランスに興味のある方に、オススメの一冊である。



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