華麗に舞った剣士たち

剣道で記録と記憶に残る少年〜青年〜中年剣士を追いかけます

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■高校剣道クライマックスへ(2)

昨日の続き。

育英が玉竜旗で初の3位入賞を果たした。
猛将・飯田良平監督率いる関西の雄。
全国選抜大会:優勝1回、2位2回、3位4回
インターハイ:2位1回、3位5回
そして、前回の世界大会では網代忠勝が世界チャンピオンになるなど、
全国屈指の強豪校として名を馳せてきた名門チームなだけに、
玉竜旗の入賞が初めてという方が不思議な気もする。

しかも、今回驚くことに、5人中4人が2年生という若いチームだ。

唯一の3年生で近畿チャンピオンの横藤竜平が、
まさに鬼神の強さで、強豪チームを面白いようにバッタバッタとなぎ倒して勝利を重ねた。

育英は緒戦、立教新座と対戦。
これは最初からもったいないカードだと注目していたが、
育英が何と2年生の前3人で勝負を決めた。
5回戦まで副将・大将の出番なし。

そして運命の6回戦、福大大濠と対峙する。
大濠の玉竜旗への気合いは半端じゃない。
応援も地元とあって大変なものだ。
育英は完全にアウエー状態。会場の大半を敵に回しての勝負に挑む。

育英の先鋒・大津が勝利し、大濠・次鋒の実力者木島と引き分け。
次鋒の福岡が、大濠の中堅と引き分け。
しかし、京都出身で中学時に近畿チャンピオンの大濠・副将の村上真之が、
育英の中堅・副将と2人抜き返し、大濠が逆転。
ここへきて、やっぱり大濠の風が吹いたか。
副将の村上に引っ張り出された、育英の大将・横藤。
この段階だと、引き分ければ育英の負け。

育英ピンチの一戦は、
村上が手元を上げて攻めてきたところを、
横藤がトンと小手を決めた!
育英、当面のピンチを脱す。

いよいよ大濠の大将・井上達登の登場。
大将戦だ。

井上からは、何としても勝つぞという執念のようなものが伝わってくる。
惜しい技を連発するが、なかなか一本にはならない。

横藤の武器は、スナップを効かせた、どこまでも真っ直ぐ伸びるメン。
そしてコテメンの2段打ち。
横藤の場合、コテからメンに行く間隔が極めて短い。
普通の選手が、コテッ!メーン!と打つところを。
横藤は、コメーン!である。
これは脅威としかいいようがない。

大濠の井上も、この横藤のコメーン!にやられた。

横藤が鮮やかな2人抜きで、ついに大濠を下した。

7回戦(パート決勝)の相手は本庄第一。
前3人が引き分け。
そして育英の副将・2年生の松澤尚輝が
なんと、井田、泉という強豪選手2人を立て続けに抜いて、
横藤が登場することなく勝利した。
松澤もここぞというところで力を発揮する素晴らしい選手だ。

準々決勝の相手は、
打倒九学の筆頭チームと目される水戸葵陵。

先鋒、次鋒と引き分け。
育英中堅の榊原彬人が岩部を抜く。
しかし、葵陵副将の杉田がメン・コテで抜き返す。
そして副将同士は引き分け。
抜きつ抜かれつでついに大将戦に。

水戸葵陵の大将は寒川。
近畿チャンピオンと関東チャンピオンの激突だ。

最初に1本を獲ったのは寒川だった。
この時、大多数の人は葵陵の勝ちを確信しただろう。

ところがである。

横藤のノーモーション面が炸裂!
寒川慌ててコテで応じるも時すでに遅し。
これでタイに戻した。

そして運命の瞬間はすぐにやってきた。
横藤が先ほどよりもさらに数cmの遠間から、
足継ぎをせずに飛んだ、
刺すような剣先が、グーンと寒川の目前に向かって伸びる。
ロケット横藤の身体には明らかに加速推進機が搭載されてている。
おそらく寒川が経験したことのない、
遠間から猛スピードで伸びてくる横藤の剣先。
寒川の頭上に着弾するまでの時間が、
寒川の咄嗟の計算を超越していた。
「メーン!」


茫然自失。
水戸葵陵陣営は、何が起きたのかにわかに受け入れられない状況だった。

私も言葉を失った。
何という選手だ。

強いことは重々承知していたが、
あの寒川がこのような形で敗れるとは、驚いたなどというものじゃない。

恐るべし横藤のメンだ。

ついに育英が水戸葵陵を破った。

準決勝の高千穂戦については昨日も書いたが、
あと一歩というところまで高千穂を追い込みながらも涙をのんだ。


試合後に育英の飯田先生に声をかけた。

剣キチ「飯田先生、おめでとうございます」

飯田「いやあ、高千穂にやられましたわ」

剣キチ「でも葵陵を破ったのには驚きました」

飯田「葵陵には勝つもりやったからな」

剣キチ「横藤くん強いですね。それと2年生の選手たちも」

飯田「インターハイ見とってや」

剣キチ「予選リーグは桐蔭学園ですね」

飯田「そうなんや、いややなあ冨田のやつ。いつもまとわりついてきよる。まあええわ。剣キチさん一緒に写真撮ろう。おい○○、写真とってや」

パチリ!

見るからにコワモテの飯田先生。
いつもついつい先生のペースにハマってしまう。


今回の育英は本当に強かった。

出場した選手は横藤以外全員2年生だが、彼らの実績も豪華だ。

大将 横藤竜平(3年)
京都・久御山中出身。中学時は京都チャンピオンで近畿個人2位。
春の選抜大会では、2回戦で高千穂と大将戦となりメンで清家を破る。また準々決勝では九学に敗れるも、横藤は岩切にコテで勝利。近畿大会個人チャンピオン。

副将 松澤尚輝(2年)
茨城・結城東中出身。中学時は茨城チャンピオン、全中個人BEST8。
先日の近畿大会では個人3位に入賞。2年生ながら頼れる副将だ。

中堅 榊原彬人(2年)
兵庫・高砂中出身。中学時は1年生にして県新人戦で個人優勝して度肝を抜く。近畿個人2位。都道府県対抗では兵庫県の大将を務める。

次鋒 福岡錬(2年)
兵庫・安室中出身。中学時は兵庫チャンピオン。全中では3回戦で現チームメイトの松澤に敗れるも、兵庫予選決勝で福岡が破った阿部が全中個人2位となりレベルの高さを証明。今回の玉竜旗はフル出場して6勝7分けで負けなしという抜群の安定感を見せた。

先鋒 ‖臘杜貿(2年)
大阪・蒲生中出身。都道府県対抗では大阪Aの大将として出場し準優勝。全中は蒲生中の大将として団体BEST16。今回の玉竜旗は6回戦から出場し1勝4分けで負けなし。

先鋒◆^ど壮己(2年)
兵庫・加古川中出身。全中個人2位が光る。団体は加古川中の大将として、準々決勝で九学中に敗れるもBEST8。今回の玉竜旗は5回戦まで出場し6勝3分けで負けなし。

スゴイ実績を持った選手たちを、
飯田監督が鍛えまくる。
ハッキリ言って、育英が本気を出したら強い。
そしてもっと言えば来年の育英がさらに怖い。

育英の横藤は個人戦でも優勝候補である。


今年の玉竜旗で、
九学を最も苦しめたのは佐野日大と言える。
組合せ上、BEST16に終わったが、もしかすると準優勝だったかもしれない。
そのぐらいのポテンシャルを感じさせた佐日である。

育英が3年生は横藤だけと言ったが、
実は佐野日大も3年生は大将の但馬圭太郎だけという
これまた驚くべき事実、しかも先鋒の原田は1年生。

佐野日大のメンバーを簡単に紹介しよう。

大将 但馬圭太郎(3年) 栃木・小山三中出身。栃木チャンピオン。
全国選抜では筑紫台の百田に怒涛の2タテ。
関東大会でも大将戦、代表戦を次々と勝ち抜き「頼れる大将」と絶賛された。

副将 大平翔士(2年) 東松舘出身。
道連全国大会団体優勝。中3時には個人BEST16。
玉竜旗5回戦は、ピンチとなった倉敷戦で、大平が次鋒以降3勝1分けと一人で逆転勝利を実現。また、九学戦では黒木に勝利。

中堅 志良堂有将(2年) 神奈川・潮田中出身。全中団体2位。
 九学戦では長尾に引き分け。

次鋒 \礁邊何(2年) 栃木・間々田中出身。全中個人BEST8。

次鋒◆\郷繙涜(1年) 埼玉・芝中出身。関東個人3位。

先鋒 原田光(1年) 東松舘出身。
道連全国大会・小中で団体3回優勝。中3時に個人BEST8。
この玉竜旗でもフル出場。6勝1敗5分け、
九学戦でもあの重黒木に引き分けるなど、1年生とは思えない活躍をした。

ちなみに、佐野日大はIH栃木予選で、個人のBEST4独占という圧倒的強さを発揮。
残念ながら但馬がIH個人出場を逃したので、
その意味でも但馬の団体に賭ける執念は凄まじいものがあるだろう。

育英同様に、佐日はもちろん今年も台風の目となる可能性が高いが、
本当に怖いのは来年かもしれない。


東海大札幌は、
この玉竜旗では九学に敗れBEST8。

今年の東海大札幌はハッキリ言って強い。
と言い続けてきた。
その最たる理由が小田・廣澤の2枚看板ということも言ってきた。
この玉竜旗を見て、私が悟ったのは、
いや待てよ。
2枚看板はもとより、
それを支える栄花と川口の強さにあるのだということである。

栄花の強さについても前回書いたが、
この玉竜旗、栄花は4勝4分けで負けなし。
国士舘も2勝1分けと一人で相手3人を消した。
安定感がある。
そして副将の川口。
この玉竜旗、副将の川口で決めるという場面が2度あった。
最初が川口初登場となった6回戦の佐世保北。
そして7回戦の東海大相模。
決定力を持っている。

小田については、剣道の次元が違う気がした。
大学生に混じっていても全くわからない。
国士舘大学にいそうなタイプである。
威圧感、打ちの強さ、スピード。
どれをとっても超高校級である。
唯一、ちょっとしたスキをつかれることがある。
小田に隙が無くなったらこれこそ超高校級。
IHまでにどこまで調整してくるのかが楽しみである。

さて、またしても時間切れとなってしまった。
もっともっと書きたいことがたくさんあるのだが残念。


いよいよIH幕開けですね!!!


【文中敬称略】

イメージ 1
2017玉竜旗優勝の九州学院


イメージ 2
2017玉竜旗準優勝の高千穂


イメージ 3
2017玉竜旗3位の育英


イメージ 4
2017玉竜旗3位の東福岡


イメージ 5
原口あきまさ氏による
近本選手のインタビュー

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佐日の志良堂選手が引き分けたのは長尾選手です。
今年の玉竜旗で九学黒木選手に勝ったのは佐日大平選手ただ1人です。
それだけ安定感のあった黒木選手、それを崩した大平選手、その大平選手を上回った近本選手、何れも凄まじいですね。

2017/8/10(木) 午前 0:09 [ はやと ]

> はやとさん
ご指摘ありがとうございます。
仰る通り(._.)
早速修正させていただきました。
大平選手は、来年も楽しみです。

2017/8/10(木) 午前 0:53 [ 剣キチ ]

あれ⁇
スマホで見たら写真が逆さまじゃないですか( ゚д゚)
pcだとちゃんとしてるのに。
なぜ?
なぜかわかりませんが、スマホで見られる方は、すみませんが写真のところだけ、逆さにしてご覧ください(._.)

2017/8/10(木) 午前 0:57 [ 剣キチ ]

顔アイコン

早く寝ないと寝坊しますよ

2017/8/10(木) 午前 1:29 [ ima*ys*u ]

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剣キチさんにIH個人の予想をしてほしかったなあ。
ここ最近、剣キチさんの予想が外れるとギャーギャー騒ぐ人がいるから剣キチさん慎重になっちゃっているんじゃないですか?外れてもいいんです。ぼくら大多数の人は剣キチさんに予想を当てて欲しいのではなく、剣キチさん独自の視点での予想を見て喜んでいる輩ですから。
それにしても、第一試合場は強い選手が集まりすぎです。
岩切、寒川、廣澤、楠、中山、林田、林、高山・・・
ここを勝ち上がるのは大変ですね。
岩切だって3回戦での楠が絶好調だったらわからないし、4回戦の寒川は決勝戦のようなものだし、もしかすると廣澤が勝ち上がるかもしれないし。
第二試合場は、横藤、森山が2回戦で当たる。
第三試合樹は、百田、谷口かな。
第四試合場は、小田、清家かな。
剣キチさんのかわりに書いてみました。

2017/8/10(木) 午前 11:36 [ 豊臣秀吉 ]

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秀吉さんよ
2人忘れてないかい
長尾と志築を。
でも長尾と志築は4回戦で当たってしまうから
結局ベスト4は岩切・横藤・谷口・長尾ね
で決勝は2年連続同門対決で岩切と長尾
優勝は岩切
これしかないでしょう

2017/8/10(木) 午前 11:45 [ 織田信長 ]

顔アイコン

> 豊臣秀吉さん
第四試合会場に志築と杉田と長尾の名前を加えてあげて。あとは同意。

2017/8/10(木) 午前 11:47 [ さすらい人 ]

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織田信長殿

寒川選手は岩切選手に勝つでござろう。
第四会場から上がってくるのは長尾選手ではなく杉田選手で候。
決勝は、寒川選手と杉田選手の水戸葵陵同門対決で、
優勝するのは寒川選手でござる。

カッカッカッカッ!

徳川光圀

2017/8/10(木) 午前 11:53 [ 水戸黄門 ]

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> さすらい人さん
そうですね。志築、杉田、長尾もいますから第4も結構激戦区ですね。2年生の松澤も強いし。河合や朴木も無視できないし。

2017/8/10(木) 午前 11:58 [ 豊臣秀吉 ]

顔アイコン

> 織田信長さん
たしかに長尾、志築は勝ち上がる可能性はありますね。
でも、ベスト4以降はそうなるかわかりませんね。

2017/8/10(木) 午後 0:01 [ 豊臣秀吉 ]

顔アイコン

まさか準々決勝を戦う選手8人が出揃わないとは思いませんでした。
岩切勇磨(九州学院3年)or林拓郎(高千穂3年)
林田拓朗(島原3年)
政本亜沙斗(帝京第五3年)
藤本大地(玉島3年)
馬場耀大(慶應義塾3年)
大平翔士(佐野日大2年)
長尾和樹(九州学院3年)
清家羅偉(高千穂3年)
がベスト8になりますね。90分に渡り決着がつかなかった岩切×林の戦い、見ていたこっちがハラハラしました。気が抜けませんでしたね。
また、寒川×林の試合、林のコテの二本勝にはアッパレです。
明日の団体戦、岩切×林のベスト8決め、非常に楽しみです。さぁ、高校剣道もクライマックスですね。

2017/8/10(木) 午後 7:52 [ 福井県民 ]

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林はメンとコテの二本勝でしたね、僕の記憶違いでした。訂正します。

2017/8/10(木) 午後 7:55 [ 福井県民 ]

顔アイコン

熊本(あさぎり中)から打倒九州学院で、高千穂に来た林の頑張りは本当にすごいです。
明日の再試合も熱い試合になりそうで、楽しみです。

2017/8/10(木) 午後 10:34 [ 高千穂ファン ]

顔アイコン

玉竜旗で座り大将からのインハイで引き分け再試合とはまた極端な…
団体戦も控えていますし、リズムを崩さないか気になるところですね。

2017/8/11(金) 午前 0:11 [ ]

みなさん、おはようございます(^ ^)
まもなく団体戦スタートですが、昨夜は興奮のあまりよく寝られませんでした。
昨日の個人戦には驚きました。いろいろと。しかし、林選手が強いのなんのって。そして何より、負けるものかという凄まじい気迫。
両者ともにですが、特に岩切選手は初戦も長なったから、疲労を今日に持ち越さなければいいけど。

さあ、まもなく団体戦のスタートです!観戦する方も気合が入りますね。

2017/8/11(金) 午前 8:49 [ 剣キチ ]


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