華麗に舞った剣士たち

剣道で記録と記憶に残る少年〜青年〜中年剣士を追いかけます

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■2017全国高校選抜を振り返る

九学に対し桐蔭学園がオーダーを変えてきた。
中堅の北村拓丸を先鋒に起用。
そして、南波・中澤が一つずつ下がって、次鋒・中堅に。

冨田監督が、北村を潮田中後輩の重黒木とぶつけるのを避けたのか、
あるいは先鋒の児嶋に対して狙って北村をぶつけたのか。
真意はわからないが、対九学の冨田監督の戦略であろう。

いずれにしても、桐蔭学園が九学を倒すためには、
副将まで五分できて、
大将の森山に賭けるというところじゃないだろうか。

先鋒戦の北村vs児嶋は引き分けに終わった。
これは、冨田監督の狙い通りだったのだろうか。

しかし、桐蔭にとっての脅威は
なんといっても次鋒の近本だろう。

次鋒戦が始まった。
近本に対して、1年生の南波賢人がよくくらいついている。
桐蔭にとっては、南波が近本と引き分けてくれれば御の字だろう。
頑張る南波。
よし、あと5秒で試合終了だ。

と、思ったところで、
近本が間合いを詰める。
南波が思わず動いた瞬間、
狙いすましたかのように
近本が飛んだ!!

おおお、
稲妻のようなメンが炸裂!!

南波が「あっ」と思った時には、
もう近本がメンを打ちぬいていた。
鮮やかすぎるメンだ。これは近本を褒めるしかない。

南波、あと5秒に泣いた。


中堅戦。
九学の重黒木に対するは桐蔭・中澤知大。
中澤は明徳義塾中の出身。
中学時代の高知は高知中の天下で、
なかなか全国で活躍する場がなかった中澤であるが、
1年生にして桐蔭学園のレギュラーとして立派に戦っているのは大したものだ。
一方の重黒木は同学年のトップスター。
中澤としては何とかここで意地を見せたいところだろう。
重黒木は、離れてよし、くっついてよし、
何度か惜しい打突があったが、
結果は引き分け。


副将戦。
九学・長尾vs桐蔭・高橋舜。
高橋も1年生だ。
桐蔭学園はこの大会、高橋、中澤、南波、磯崎紘希の4人の1年生が出場、
準決勝では真ん中3人が1年生である。

しかしいつ見ても高橋は大きい。
中学卒業時に187cmとあるが
現在は190近いのではないだろうか。
長尾が小さく見える。
長尾も見上げる相手にやりづらそうだ。

高橋の剣道はまだ粗削りな、
どちらかと言えば高校時代のヘンリーを見ているようである。
この高橋が、どっしりと構えて相手を威圧していく厳しさを身に付ければ、
そうとう怖い存在になると思う。
いずれにしても、この恵まれた体格は今後が楽しみである。

おっと。
高橋、惜しいメンだ。
一本にはならなかったが、
長尾の防御の上からでも当たってしまうのには驚いた。

副将戦も引き分けに終わった。


さていよいよ大将戦。

岩切勇磨 vs 森山竜成

この注目の一戦を「ぜひとも見たい!」と
楽しみにしていた人は大勢いるだろう。
見ている方も心臓が高鳴る。

「はじめ!」

1本返さなければならないという状況で、
森山は果たしてどのような戦いを展開するのか。

開始と同時に、スーッと懐に入った森山。
意表を突かれた岩切の手元が上がる。

右にかつぎ気味に振りかぶった森山が、
目にも止まらぬ速さで
斜め左下45度に竹刀を振り下ろす。

「ビシャッッ!!!」

岩切の左胴を強打した。

逆ドウ炸裂!

おっと逆ドウをとらえた森山の竹刀が抜けない。
岩切の足に絡まった。

あっ!!
その瞬間、森山のメンががら空きだ。

そこをすかさず岩切、
引きながらのメーン!!!

「うおー」
大歓声が起こる。

好機を絶対に逃さない岩切の見事なメンが決まる。
あっという間の出来事だった。

赤旗3本で残心を決める岩切とは対照的に、
バランスを崩した森山はコートに四つん這いに倒れた。

しかし勝負はまだ分からない。

「2本目!」

森山がまたスッと間合いを詰める。

岩切が動いた瞬間。
森山の目にも止まらぬメンが、ストーンと岩切を襲う!

メンありか。

いや、旗は上がらない。
タイミングはバッチリだったのだが、やや軽かったか。
旗は重い。
惜しい。

その後、数合激しい打ち合い。

鍔迫り合いから、
森山がピシャッ!今度は鋭い引きゴテを放つ。

そこを岩切がすかさず追いかける。

「メーン!!!」

勝負あり。

岩切・森山のゴールデンマッチは、わずか20秒、
あっという間に岩切の2本勝ちに終わった。

しかし、2人の力量の差がそれだけあったわけでは決してない。
私の印象では紙一重だ。
ただ、この試合に限って言えば、
岩切の方が試合を大切にしたということではないだろうか。

森山のあの逆ドウは不用意だったと指摘する人もいる。
しかし、岩切から1本とらなければならない状況だからこそ、
一か八かの勝負を挑んだのだろう。
しかし、飛び込み逆ドウはリスクが大きすぎることもまた事実である。


さて、九学にとって
いよいよ5連覇がかかる決勝戦。

対するは水戸葵陵。
相手にとって不足はない。

私に限らず多くの剣道ファンが、
この2校の決勝戦を熱く思い描いていたのではないだろうか。

九学の5連覇と同じぐらいの興味は、
準決勝の岩切vs森山に続く、
2人の偉大な大将の戦いだろう。

あくまで現時点における剣キチの独断と偏見ではあるが、
岩切vs寒川は、これこそが高校剣道界の頂上対決だ。

さあ、勝負の行方は。

(今回は短めでしたが次回に続く)
【文中敬称略】

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