漫画やアニメと言えば、中国でも日本の作品がダントツの人気…と思いきや近年は中国国産が存在感を増しているという。確かに動画サイトには国産アニメがずらりと並び、日本の有名作品をしのぐ人気のアニメ映画も出てきた。台頭著しい中国漫画・アニメの世界をのぞいてみた。
【画像】日本でも人気上昇中の中国漫画「非人哉」
6月上旬、上海市で開かれた漫画・アニメのイベント「COMICUP24」。2日間で計約12万人が訪れた会場は、アニメの登場人物に扮(ふん)したコスプレーヤーであふれていた。
「これは日本のゲーム『フェイト』の衣装。かわいいキャラクターになりきるのが楽しい」。地元の高校1年、鄒紫帆さん(15)はコスプレにハマって1年半。最近気になるのは日本でも放映された中国アニメ「狐妖小紅娘」(邦題・縁結びの妖狐ちゃん)という。「絵もストーリーも日本に負けないレベルですよ」
市場は13年の882億元から倍近くに
服飾デザイナーの寿藍さん(22)は伝統服「漢服」のような衣装を着て友人と写真を撮り合っていた。古代中国を舞台にした「魔道祖師」のキャラだ。「中国アニメのコスプレは初めて。漫画やアニメは子どもが見るものと言われてきたけど、今は大人が楽しめる作品も多い」と語った。
中国の調査会社の報告書によると、2018年の国内漫画・アニメ産業の規模は1712億元(約2兆6千億円)。13年の882億元から倍近くに膨らんだ。急成長を支えるのが人気作品を次々と生み出す専門ポータルサイトだ。
大手IT企業、騰訊控股(テンセント)が運営する「騰訊動漫」はその一つ。登録読者は1億5千万人と日本の人口を上回る。同社によると、編集部は送られてきた新作漫画などを選別した上で無料掲載。閲覧数などを参考に人気作を有料化し、人気が続けばアニメやゲームに展開する。
急成長の背景には国を挙げた取り組みも
「サイトを通じて優れた作家を見つけやすくなった。中国人作家は国内読者の好みや心情を心得ており、それが国産が増える一因になっている」と漫画・アニメ事業の責任者、鄒正宇さんは説明する。サイト上で公開しているアニメは2万7千作品。閲覧数が1億回を超える漫画は千作品に及び、うち200作品は10億回超の閲覧数を誇る。
急成長の背景には国を挙げた取り組みもある。中国では1978年の改革・開放後、日本や米国のアニメが大量に流入した。しかし、中国政府は04年に国産アニメ育成のため海外作品のテレビ放映を制限し、その後、国産の割合がアニメ放送の7割を下回らないよう規定。08年には午後5〜9時に海外アニメの放送を禁じた。
暴力や性的な表現の取り締まりも厳しい。15年には「進撃の巨人」「デスノート」といった日本アニメの38作品が「血なまぐさい描写が多い」などの理由でネット配信を規制された。