ふるさとのブログ

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名所(全国のひょうたん島)

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トンコロリと長与

 
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19世紀から20世紀初頭にかけて、現在のエイズ、エボラのように世界中に猛威をふるったのがコレラです。
 
 コレラはもともとガンジス川流域の風土病で、コレラ菌によって起こる下痢を主な症状とした伝染病です。これが文明の発達、とりわけ交通の発達によってまたたく間に世界中に広まりました。
 
 1858年、江戸時代末期に日本で流行した安政コレラでは、大江戸の市民だけでもその死者は10万人とも26万人とも言われています。あっと言う間にトンコロリと死ぬので「コロリ」という病名がついていました。発病のメカニズムはおろか、長く治療法や予防法が確立していなかった点では、現在のエイズ、エボラ出血熱に通じるところがあります。
 
 これがコレラ菌のしわざとわかったのは、1893年、ドイツのコッホのコレラ菌発見によるものです。
 ところがこのコッホの発見に関してヨーロッパ医学界では大論争が起きます。コッホの「コレラはコレラ菌の感染で起こる」という病因説に異論を投げかけたのは、同じドイツのペッテンコーフアーという衛生学者です。
 
 ペッテンコーフアー先生は近代衛生学の創始者の一人として有名なのですが、コッホのコレラ菌病原説に対し、真っ向から対立しました。彼は「コレラはコレラ菌によるものではなく、人体の環境の要因によって発病するものである」と主張します。この考えは環境衛生の重要性を説く注目すべき意見であったにせよ、コレラはコレラ菌で起こることが分かっている現代の私たちからすれば常識外れの意見です。
 
 ともあれ、このペッテンコーフアー先生はドイツ医学界の大立者ということもあり、論争はヨーロッパ医学界を二つに割るほどの熱を帯びてきました。コレラ菌の存在を認めないペッテンコーフアーは、コッホとの討論会の席上で「ならばこの場でコレラ菌を飲んでやる」と、コッホが持参した純粋培養のコレラ菌が入った培養液を一気に飲み干すという暴挙に出ました。当然ペッテンコーフアーはコレラを発病し、死ぬはずでした。 が、彼は下痢一つ起こしませんでした。
 
 後に人体に有害なコレラ菌であっても、少量なら正常な肉体から分泌される胃液による殺菌作用でコレラにかからないことは判明しましたが、ペッテンコーフアー先生が飲んだのは純粋培養された大量のコレラ菌です。現代の常識からしても、コレラを発病するはずです。ところが彼はコレラになりませんでした。
 
 人間の体は、科学の常識では考えられないことが起こることがあります。どんな病気でも「かからない」「発病しない」また「現代医学的には治らないはずの病気が治る」人もいます。
 
漢方医学では個体差は重要な要素ですが、現代医学では、個体差はあまり重要視されていないようです。しかし、現実には人間は一人一人違うのですから、病原・治療の研究と合わせて「発病しない個体差とはなにか」の研究も今後ぜひ進めてほしいと思います。

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