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徒然草

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  短期集中で、進めてきました徒然草(関西弁での現代語訳)は、今回で終了です。
  冒頭に、説明してありますが、
  父親が(即興で)大阪弁に直しながら読んで、横に居る娘(みどりちゃん)が、茶々を
  入れるという形での、混ぜっ返し「軽ふざけ」の構成になっています。
  これで原書のほぼ半分を訳してあります(面白いところだけです)、 ではでは!!!
 
 
親子、場外乱闘
                                         「お父ちゃん、あのね」    
「なん?」                    「ちょっと、言うて置きたいことがありますねん」
「何や、言うてみいな」      「私、思いますのにね、こんな事してても、意味ないでえ」   
「そうや、何の意味もないで」                            「、、、、、、、」
「、、、、、、、、」                            「あのな、面白うもないでえ」
「そうや、面白うもないわ」              「そんで、なしてこんな事やんねんな?」
「成り行きですわ、始めてしもうたら、止められんようになってもた」  「ようも、そんな!」   
「あのな、お父ちゃんは、大阪弁で読んでるだけやで」             「そらそうや」
「みどりちゃん、横で勝手に混ぜっ返してるだけやで」   「そうや、頼まれたわけやない」
「それで良えやないかいな」    「これ、お金はいらん。もうすぐ死ぬぞ。これだけやん」    
「、、、、、、」              「お父ちゃんは、私が二才の時に仕事やめたんやで」
「そうや」                     「それからは、一円も家に入れてへんねんで」
「そない成ってしもうてん」         「私は、お母ちゃんだけに育ててもろうたんやで」
「お母ちゃんには、苦労させたなあ」   「お父ちゃん、小説書いて、ちっとも売れへんで」
「書くのんは、書いてんけどなあ」            「そんで、今は兼好法師を読んでる」
「ほんまになあ」           「お父ちゃん、5年前に、今度はお金を稼ぎます言うて」
「まだ、金にならんなあ」        「やり始めたんが、健康奉仕の会、これ何やねんな」
「何て、人さまの健康に奉仕するのやないか」   「徒然草へのシャレで付けた名かいな」
「いやまあ、そんな訳でもないけど」 「稼げるかいな、誰が10万円もの入会金払うかいな」
「高かったかなあ!!」  「それで、会の活動いうたらビタミン剤の飲み方を教えるだけ」
「誰も入会せんか?」        「そんなん、自分で分からんかいな、もう、、、アホ!!」
「どうしてもアカンか?」  「私が高校時代から、コンビニなんかでアルバイトしてると、、」
「何度か、お金を借りたなあ」    「何度かで済むかいな、合計で153万2,153円ですわ」
「半端がありますか?」        「利子やないの、年5分で払う、言うたやないの!!」
「そうやったかなあ」             「私、お母ちゃんに高校、大学出してもろうてん」
「お母ちゃん、偉いなあ」 「今度の会を作った時お母ちゃん、もうお父ちゃんは駄目や!」 
「そない言うたなあ」          「それで別れてしもたんやないの、もう会わん言うて」
「もう遠い思い出です」  「なに言うてんねん、それでお兄ちゃんかて、縁切られてしもて」
「お兄ちゃん、元気でいてるか?」    「私だけやないの、お父ちゃんに会いにくるのは」
「他には、そよ風と、夜の月のみ」  「気取るのは止めてんか、私もう心を決めましてん」
「決めたて?」  「もうお金は返していらん、そして、今夜限りでお父ちゃんと縁切るわ!」
「そうか、それが良えかもなあ」                「もう、二度と会いにきませんわ」
「そうしますか?」              「私、これからは一人で生きていく事にしますわ」
「おい、三つ指なんて突いて、、」          「長々とお世話になりましたウッウッウッ」
「泣くことないやないか」                        「そんなら、これで!!!」
「なんや、いま行くのんかいな、これ後2段で終わりやねん、、」         「、、、、、、」
「、、、、、、、」
「行ってもた、、」
「しょうがないなあ」
「あと2段、一人で読むよりないなあ」
 

第242段
長い年月を、好むと好まざると過ぎ越してきまするのんは、
ただただ苦楽のためですわいな。
楽というのんは、好み、愛する事ですわ。
これを求めるのんは、止む時がありしまへん。
楽欲には、一つは名誉。これには業績と、才芸からの二通りがあります。
そしてまた一つに、色欲。
そして味欲ですわなあ。
すべての願いは、この三つになりよります。
そしてこれは、自意識のでんぐり返りの相から出てきますによって、           
幾らかの難儀が伴います。
そやよって、求めへんに越したことはありまへんで。                    
「、、、やっぱり、淋しいなあ、、」
 

最終段(243段)
八歳になりました時、父に問いましたそうな。
「仏さんとは、どんなもんですねや?」
父が答えて「仏いうのんは、人がなったんやで」
「その人は、どないして仏さんになったんやろ?」
「それは、仏の教えで、なりはってんや」
「それを教えた仏さんは、誰がなりはってんや?」
「それかて、先の仏が教えたもうたんや」
「その、最初の、一番初めの仏さんは、どんなもんやったんや?」
これまで問われて、父も困りましてんなあ、
「空から降ってきたんやろ、土から湧いたかもなあ」
こない言うて、笑いましたそうな。
「問いつめられて、答えられんようになって、ほんまになあ!」
と、誰彼にとなく、語りましたと、、、。
「クッ、クッ、クッ、クックッ、クッ、クッ」(哭)
                                了。
 
         奥書
本書は、沢村聖から手渡された殴り書きから、
私(ミヤオ)が、原稿に起こしたものである。
沢村と私は、ともに文学の道を同じくし、形影相伴う仲である。
彼の人となりは、本文中に、娘さんとの会話の形であますとこ
ろなく紹介されているから、ここには略す。
確かに彼は、まるで金を稼ぐ事がなかった。
私が知り合ってからの25年間でも、彼は何もしていない。
しかし、それは彼が、世界のために(彼はそう確信していた)
「健康奉仕の会」を作り、その運営に血道を挙げたからである。
この「会」のために、彼は2000枚に及ぶ原稿を書きあげた。
その間、奥様は何もグチを言わず、時々は涙を見せたが、子
供二人を育てあげて、それからは、やわらかく彼を捨てた。
言っておくべきは、奥様は彼の生活費も見たという事である。
奥様に捨てられてからは、まわりの友人達がたかられた。
それにしても、娘のみどりちゃんが、アルバイト金さえ巻きあげ
られていた。これまでの凄まじさに、私は言葉を呑む以外ない。
みどりちゃんが、本書の混ぜっ返しで、お金に拘るわけである。
沢村は、運命的なまでに駄目男なのである。
彼は良い小説を書いた。その原稿枚数は3000枚に及ぶが、ま       
るで売れなかった。その理由が特殊なのである。
彼は、どの小説も完成の寸前で止めているのである。
まるで本書、第82段を思わせて、恥じるところがない。
みどりちゃんは、彼のもとを去った。
彼は、この原稿を私に託してから、1ヵ月後にお金持ちの未亡
人と再婚した。私は新しい奥様と、すでに何度かお会いした。
「あれほど怠け者とは思わなかったわよ、寝てるだけですもの」    
新奥様は、苦い顔で、このように言われた。
沢村自身は「幸せだよ」と、言っている。                   
この会話のあと、みどりちゃんは姿を消した。
両親に気を使ってのことか、お母さんからも姿を消したそうである。
噂として伝わってくるところでは、横須賀のドブ板あたりで名前が
出ている「毛皮のマリー」が、みどりちゃんだという。
また別の噂では、佐渡島で金山の男どもを仕切っている「リンコ」
という女親分がそうだとも聞く(ミドリンコ、からの名だという)。
私が沢村から聞いたところでは、日本橋の小さな貿易会社の事務
員になって働いていると言うが、これは当てにはならない。
沢村のいう事で、まともな事は何もないからである。  
彼は本質的に駄目男なのである            
そして私は、こんな沢村が(少しだけだが)好きなのである。
20005年1月吉日。  宮尾邦興(ミヤオクニオキ)編著。
発行、  御世韜晦の空文学社(みよとうかいのくうぶんがくしゃ)
メールアドレス、kunioki.m@orange,zero,jp
 
おまけ、
 
私は、もう石地蔵になりたいのだよ。
           雨、風にさらされて、少し崩れて、顔さえハッキリしない。
           長い年月を、路傍に立ち尽くして、何もしない、、、。
           (沢村聖、小説ライコーより)
 
   これで、完全に、終了です!!

 
 
 

第207段
亀山の御殿なあ、あれ建てよういう時、地に線引きしよったらですわ、 「今度は何や?」
大きな蛇が数知れずに、集まっておる塚がありましてん。          「大きい蛇です」
皆して、「この地の神さんやろ」いうてなあ、天皇さんに報告したんです。「ヘビー級や、と」
「どないしたら良えか?」と、天皇さんから問うてきました。       「天皇はんも困った」
「古くからこの地を占めておりはった蛇さんや、堀捨てにはできまへん」  「神さんやでな」
皆してこない騒ぎよる時に、この太政大臣さんが一人だけ、       「ただの蛇やと?」
「天皇が治めておる土地におる蛇が、皇居を建てよういう時に、       「皇居やでえ」
何で祟りよるかいな、鬼神は悪いことはせん、気にせんで、堀捨てなはれ」「祟らんわい」
こないに言われはったで、塚を崩して、蛇は河に流してもうた。     「蛇には水難です」
後では、何もなかったですわ。                    「ちょっとだけ、残念です」
 

第211段
すべてのことは、人に頼みなはんなや。愚か者なんかは、頼んでおいてでっせ、     
頼んだやないかと、返って怒りよる事かてありますでなあ。         「、、、、あるわ」
相手に勢いがあるからと頼みなはんなや、勢いなんてすぐに消えます。 「見かけの勢い」
財産があるからと頼みなはんなや、何年かで失うてしまいよりますわ「財産は欲しいです」
才能があっても駄目でっせ、孔子は時流に合わんかったんです。  「周りには居ません」
人徳があっても頼みなはんな、顔回の不幸を知ってなはるか? 「孔子のお稚児さん?」
君主の寵も頼りにはならんです、罪を着せられたらおしまいでっせ。    「無実の罪に」
自分の部下でも頼めまへんで、背いて裏切るのんが関の山。「お前もかブルータスよ!」
人の志かて頼めまへんで、志そのものが変わりよる。     「お志は有難いですが、」
約束も頼んだらあかんで、信用あるのんは少ないですよって。   「メロスが走っても?」
人を頼まなんだら良えんですわ、うまく行けば喜べばよろしい、  「うまい事行けばなあ」
失敗しても人を恨まんですむ、左右広ければ障りがありまへんやろ、   「右も左もなあ」
前後に遠いのんは塞がりまへん。狭くなると苦しくて困りまっせ。      「狭い世間や」
心の用意が少ないままで難儀に合いましたら、逆らいや、争いがでますねん。「揉めます」
ゆるやかで、柔らかに生きておれば、毛一本の損も生じまへん。 「コンニャクのように!」
人は天地の霊物ですわいな、天地に限りはありまへん、人の気かて同じでっせ、 「ン?」
広さに極まりなければです、喜びも怒りも障害にはならんですよって、   「喜怒哀楽も」
どんな場合でもわずらいがありしまへん。                 「自前の悟りですわ」
 
第234段
何かを問われた場合にでっせ、知らんわけでもないのに、まともに答えんのが居ます。
ありのままに言うのんは品が悪いと思うてか、相手が迷うような返事をしよる。 「居るわ」
良え事ではありませんな。       「知った事でも、知らん振りせえ言うてたんちゃう?」
知っておる事でも、もっとハッキリとさせたくて問うてきたかもわからんし、「そんなん!!」
ほんまに、何も知らんのかもわからへん。晴れ晴れとした答えをしたったら、  「ピーカン」
それだけで良えのんですわいな。                     「問題ないやろか?」
他人がまだ聞き知らん事を、自分が知ってるままにでっせいな、     「自分は知って」
「さて、その人の事、浅ましいこっちゃで、、」などと、こんな風に言うたら、「ワイドショーや」
相手は「何がありましてん?」と、押し返して問うてきよるで、心せないかん。「いけません」
古臭い話題でも、聞き漏らして知らん人には、ハッキリと教えてやるのんが「教えたい!」
悪い事ではないわいな。                       「ただのお節介ちゃうか?」
こんな事は、世渡りの慣れの問題です。                 「狎れやろうに、、、」
 

第236段
出雲という所がありますな(亀岡市の出雲です)、ここへ出雲大社を移して、 「支庁です」
めでたく作ってありますわいな。志田とかいう人が良う知ってはるとかで「行ったんかいな」
さいな、秋に、聖海上人やら、ほかの人も、大勢さんを誘うてなあ、「お金も使うたんやろ」
「いざ御出でなはれ、出雲を拝みになあ。蕎麦掻ぐらい出しますでえ」と、「志田はんが?」
ひと揃えを持ちまして行きましたんや。                 「なんぼ使うたやろ?」
皆それぞれに拝みつつです、何やら有難く感じてしまいましてん。「神社は有難いですわ」
それからいな、                              「蕎麦掻を食べないかん」
境内の前にある獅子と、狛犬がですわ、                       「蕎麦は?」
お互いが背いて、しかも後ろ立ちしておりますわいな。お上人さんがなあ、  「お上人が」
大変に感じはって「あらめでたいわ、この獅子の立ちよう、珍しいでっせ、「さすがお上人」
深いゆいしょがありますねんで、、」と、、涙ぐんでしもうて、       「えらい感動やわ」
「どうです皆さん、この神妙な事はご覧なってどうですか、すごいわ」と、「言いましてんな」
そやよってに、皆も不審ながらです、「誠に、他所ではない事や、   「つられてしもうた」
都の人に言うたらないかんなあ」と、そないに応じましたら、お上人さんは、 「お上人は?」
なお、ほっておかれん感じにならはってん、篤実そうな顔した神官を呼んで来て「篤実な」
「この神社の獅子の立ってるのは、きっと深い由緒がおますのんやろ、「由緒を聞きたい」
ちょっと教えておくんなはれ」と言いましたがな。そうしましたら、    「その篤実はんは」
「それですがな、どないにも、子供らがしよりますねん、変なことをいな、、」「悪戯かいな」
近ずいて、据えなおして去っていきよった。お上人の涙はどうにもナア!!「アホタレさん」
 

第241段
満月が丸いのんはです、ほんの暫くも保っておらんのです、すぐに欠けよる。    「?」   
心が鈍いお人は、一夜のうちに、そんなに変わると見えへんやろうけどな「何がいな?」
病気が重うなるのんも、すぐですわ、もう死期が近いんでっせ。      「また死かいな」
されどもです、まだ病気が重うのうて、死ぬほどでない場合はです、  「死なへん時は」
普段の生活に基づいて、生きてる間に多くのやりたい事をしてですわ、 「ちゃんと生きて」
その後、しずかに人の道をおさめないかん、と、思いよる内にや、   「人生の道をいな」
たちまち病をいただいて、死の玄関前に立っておりましてからに、 「またまた、死かいな」
はいな、結局は何一つやりたい事ができておらんと、言うわけや。    「難儀ですなあ」
言うだけの甲斐も無うて、年月に狎れ怠けてきたのんを悔いてですわ、    「後悔する」
このたびは、もしも立ち直って命を再び頂けますならば、今度こそはです、「お金を稼ぐぞ」
夜も昼もなく、この事かの事と、怠ることなくやりますと、願いを起こしよる、 「最後の願い」
けれども、やがては重くなってしもて、我にもあらず、取り乱して果てよる。 「貧のままに」
こんなんばっかしです、この事、先ずは人々急いで心に置くべきなんです。 「心になあ」
願い事をし尽くして、閑を得てから道に向うなんてのは、願いに切りがないで。「困るなあ」
夢幻の生の中に、なに事をしますか。すべての願いは皆妄想ですねや。 「お金もかいな」
そやよって願いが心に浮かんで来たら、妄心迷乱しよると自覚してですわ、「自覚でっせ」
たった一事もせんと、直ちに何もかもを放りだして道に向かいますれば、  「投げ出して」
何の障りもなく、無駄な事もせんで済むし、心身は長くしづかですねんで。  「こらアカン」   
 
 
 
 
但しですわ、病気をする、子を産む、死ぬる、これだけは先を読むもあれへんで。
また、良うないからというて、止む事ありしまへんで。           「成り行きですわ」
生、住、異、滅の移りかわる真剣の大事というもんは、          「大事とは」
荒れる大河のみなぎって流れるがごとしです。                「みなぎります」
ほんの少しも滞りしまへん、ただちに行われて過ぎてしまいますねん。  「ただちに!!」
さればです、彼の世まで持ち越そうとも、必ずやり遂げんならんと思うことは 「やり遂げ」
先も後もありまへんねんで、用意もへちまもなしに、足を踏みとどめたらいかん「踏んばり」
春が暮れてのちに、夏になり、、夏が果てて、秋が来よるんではありまへんで、「冬は?」
春は夏の気をもよおし、夏すでにして秋に通い、秋はすなわち寒さを含みます、「冬は?」
十月は小春の天気、草も青くなりよる、梅も蕾をつけよるんだ。   「冬はいな?」
木の葉が枯れ落ちるのんも、まず落ちてから、芽ぐむんとちゃいますねんで、 「頼むから」
下からきざして、これに堪えんよって落ちますのやで、そやさかいに、、   「答えてくれ」
迎えの気が、下に設けられてるによって、待ちうけが早いんですわいな。「冬はいな?」
生、老、病、死の移り来るもまた、これに過ぎたるにあらずです。     「冬きたりなば」
四季にはまだ、定まりの順序いうもんがありますが、              「春遠からじ」
死には、この順序さえないのんですわ。                     「シェレーの詩」
死期は前からきよりまへんでえ、常に後ろから迫ってきよる。   「西からの風に寄せて」
人はみんな死のあることを知って、待つ事かて急ぎはしまへんのやが、  「最後の一句」
思いがけない時に来ますのんですわいな。                   「冬きたりなば」
沖の干潟の、遥かなれども、磯より潮の満ちるがごとしです。    「答えは、なかった!」
 

第164段
人と人が会いまっしゃろいな、暫くも黙ってる事ありしまへんで、何か言いよる。「黙れ君」
横で聞いてますと、大体が無益なことばっかりですわ。            「多弁の君よ」
世間の噂、人のあれこれ、世のためにも自分のためにも、得になりまへん。   「自らを」
これを話よる時、お互いの心に無益の意味さえないんですわ。         「恥よ!!」
 

第167段
一つの道に精進してる者が、ほかの道の会に出てですわ、       「よその集まりに」
「アア、自分がこの道を進んでおったら、見てるだけやないのにナア、、」 「参加したいの」
こないに言い、また心に思うことは、常にありがちな事ですけど、      「ありがちです」
これは良うないです。                            「いけないそうですわ」
ほかの道を羨ましく思いますのなら、「いいなあ、なんで習わへんかったんやろ」
そないぐらいで良えんです。                           「控えめの美学」
自分の優れてる部分をとって他人と争いまするのはです、           「です!」
角あるのんが角を突き出し、牙あるのんが牙むきよるのたぐいですねや。  「あからさま」
人としては、善を誇らず、やたらと争わないのんが徳いうもんですわいな。 「人徳ですね」
他に勝ってるいう心は、大きなる失いに成りますのや。          「失いの元ですて」
品の良さ、才芸の優れたるも、先祖の誉れでもです、            「どんなことでも」
 
人に勝れりと思いよる人はです、たとえ言葉にだしてこそ言わんでも、  「でも勝ってる」
内心になんぼかの過ちがありますねん。そやよってに、        「負けてたまるか!」
慎んでこれを忘れないけまへんのですわ。                「勝って当たり前や」
人間がアホに見えるんも、他人から陰口を言われるなんかの、       「アホの一徹」
禍を招きよるのんも、ただこの慢心でおますねんで。            「満身創痍でも」
一つの道に、本当に長じております人わいな、自分でなんぼかこの非を知っております、
よってに、志は常に前を向いております。             「死ぬまで、負けへんぞ!」
そやから終わりまで自分を誇ることはありしまへんで。         「負けたんやろか?」
 

第168段
ご老人になっておられる人が、一芸に秀でておりましてからに、   「抜きん出ています」
「この人が亡くなりはったら、誰に聞けますやろ」なんて言われるのんは、 「若い者から」
老いの杖ともなりますやろし、生きて在るのんも無駄ではないですなあ。 「老いの勝利」
とは言うても、どこかに衰えを見せる余裕をもちまへんと、         「わざと、でっせ」
一生をこの事だけで終わりよるねんなあと、せち辛く見られますわ。    「これは悔しい」
聞かれても「今は忘れたなあ」ぐらいは言いなはれや。          「ここは芝居です」
大方のことは知ってても、流暢に説明するのんは、却ってですわ、    「一歩を引いて」
これだけしか才覚ないのやろと聞かれるし、また間違える事かてあるやろし、「用心です」
「さだかではおまへんのやけど、、、」なんと言うてると、             「ここが肝心」
なんやら誠に道の名人と思われますねんで!                   「深いです」
ましてや、知りもせん事を、したり顔に、真面目な調子ででっせ、       「薄っぺらに」
経歴だけ長い老人が言い聞かせよるのんは、        「居てますのや、こんなのが」
違うでえと思いながら聞いてますと、嫌になります。            「お父ちゃん、、、」
「わかってるがな」
 

第172段
若い時はです、血気があまってしもうて、心が、心として動きよらん、     「心の問題」
物にうごきます、また情欲にむかう。身を危うくして砕けやすいのんは、
まるで宝玉を転がしよるに似ております。                    「ガラス玉演戯」
見かけの美麗を好みましてお宝を散財し、たちまちに自己嫌悪ですわ、  「勝手になあ」
一変して遁世に憧れて、着物のたもとが苔まみれのやつれ姿です。   「格好つけます」
かと思うと、勇みの心が盛んですよって、やたらと争いましてからに、   「喧嘩もします」
後になって心恥ずかしい、かと思うとたちまち何かを羨んでいます。    「忙しいんです」
好むものさえ日々に定まらず、色にふけり、情に溺れと、             「アレコレと」
あげくは行いをいざぎよくと思えば、百年生きられる身を誤りましてからに、   「勘違い」
命を失うばかりの修験に願掛けては、身の安らけく久しい思いを裏切りまして「オーム教」
長く世間の笑い話の種ですわいな。                    「ただ軽薄なんです」
身を誤るというのんは、若い時のしわざですよってになあ、、。      「トゥーヤング!」
年寄りますると、精神が衰えます、淡くおろそかになってもて、感じが鈍い、「どん臭い!」
そのぶん心が静かですよって、無益なことはしよらんです。   「枯れ木かて、山のなあ」
身を大切にして愁いもなく、他人に煩いが無いことを願います。        「悟りの境地」
老いて智の若きにまされる事、若者が、外形だけは老人にまされるが如し。「老いの繰言」
 

第190段
妻というもんは、男たるもん、これを持ちなはんなや。                「ん?」
「いつかて一人ですわ」このように聞くのんこそ、粋ですねや。        「やせ我慢?」
「何とかの婿になりましてん」とか、また、「あの女を口説いて、もう住んでます」
なんと聞きましたらば、もうむやみと下劣に心劣りしますわいな。     「女の敵やろか」
別に取柄もない女をいな、良しと思い定めてしもうてからに、    「ニューファミリーやん」
ニコニコしとるんかと、浅ましく思うてしまいまっせ。                「女の平和」
これが良え女やったらば、「あいつ惚れ込んで、仏と拝んでんのやで」と、  「仏の御前」
たとえばですけど、そう思うてしまいますです。                「結構ですがな」
まして、家事を上手にしよる女なんてものは、サッパリあきまへん!!「女中の仕事です」
子などできておみなはれ、愛の妄執に取り付かれよるんだ。       「愛の女神やん」
主人が死んでもて、後を尼になって弔いよるなんぞは、おぞましい。     「なんやねん」
どんな女でも、明け暮れ一緒にいましたら、心から厭きますわいな。   「アキの中空に」
女のために心ウキウキしようともです、ほかに住んで通いますのんこそ、   「満月の女」
年月を経ても飽きしまへん堅い絆ですねやで、             「たちまち欠けるけど」
これかて、あからさまに来て泊まりの居続けなんぞは、サッパリわやでっせ。「そうかも!」 
 

第195段    
ある人が久我縄手の通りを歩いてたらです、小袖に大口の立派なんを重ね着たお人が、
木像の地蔵はんを田んぼの中の水に押し浸して、ねんごろに洗いよるんだ。 「泥水です」
さいな、心得がたいよってに見守っていましたらば、              「見てたら、、」
狩衣の男が2〜3人出て来て「ここにおいでになられはりますえ」となあ、「なられはる、と」
それで、この人をつれて行ってもたんです。久我の内大臣さんでおました。  「大臣はん」
ちょっと以前までは、きよらかに高貴なお人やったねんけどなあ。       「泥水なあ」
 

第206段
徳大寺の右大臣さんが、検非違使の別当だった時ですわ、      「またもお大臣です」
中門において使庁の評定がおこなわれておりましたんや、その時に、  「狂うたんか?」
役人の手から牛が離れて、庁の内へ入ってですわいな、            「牛かいな」
大理の座(上座)の上に登ってしもうてからに、そのまんまゴロンとな、  「寝てもうた?」
さいな、あくびをして寝てしまいよった。                  「欠伸までしました」
これは大変な怪異であろうとて、牛を陰陽師の所へひいて行こうと、   「占い師の登場」
まわりの連中が大騒ぎをしよりましたら、父の相国の太政大臣さんが、  「お父ちゃんが」
「牛のこっちゃ、足があるねんから、何処へでも行くわいな、          「そらそうや」
下役人がたまに出てきた、その牛じゃと、それだけじゃないかいな」     「ほんまやで」
そないに言うて、牛を持ち主に返して、牛が寝た畳を取替えさせたんですわ。「返してな」
そのまんま、別に凶事もなかったそうです。                  「そら良かった」
「怪しいのを見ても、怪しい思わへんと、怪しいのは返って破れる」ですわ。「良識の問題」
 
 
 
 
 
 
 
 

第115段
川崎の宿河原という所に、大勢のボロボロが集まっておりました。 「ボロボロってなん?」
「ボロボロいうたら、世捨ての念仏乞食ですわ」           「世捨て属、コジキ科!」
みんなして九品(くほん)の念仏を唱えておりましたんやが。           「くほんぶつ」
そこへ一人のボロやんが、やって参りましてからに、               「やって来て」
「モシモシ、この中に、いろおし房と申しますボロさん、いてはりませんか?」  「ボロさん」
尋んねましたんや。ほしたらな、、、                         「そうしますと」
「いろおし、此処に居てますでえ、そない言うのは誰です?」     「居たはったんや!」
「私は、しら梵字という者でおますが、わてのお師匠はんの、なにがし、、    「師匠です」
関東の地において、いろおし、と申すボロに殺されたと聞きましてな、、、   「ボロさんに」
その人に会いましてからに、恨みを申しあげんならんと、           「恨みはらさで」
そない思いまして尋ねてきましてん」                        「来たんです」
これに、いろおし「それはまあ、ようお尋ねくださったですなあ、、     「ワザワザなあ」
そんな事もございました。デモ、ここで対面しますれば障りがあります、  「ちょっとマズイ」
念仏を汚してしまいますによって、前の河原へまいりましょうや、       「河原へなあ」
さても、もったいなや皆さんよ、どちらにも関わりなさるなよ、        「どっちにもなあ」
多くの煩いになるよって、仏道の妨げになりますわい」            「妨げでっせ!」
かように言い定めて、二人河原へ出ましてです、               「二人仲良く、、」
心ゆくまで貫きあいましてからに、共に死にはったです。           「無理心中!?」
ボロボロいうもん、昔はなかったもんですねんけど、いつの頃からでっしゃろ、
ぼろんじ、梵字、漢字などいいよる者が、その始めになったんやとか。      「やとか!」
世捨て人に似ておりまするが、我執の深いこと、仏道を願うに似せても、    「似せても」
その実際はですわ、喧嘩騒動ばっかしのアホタレさん。           「アホタレなあ」
放逸無残の連中やねんけど、死ぬのんを屁ともおもいよらん、      「簡単に死ぬ!」
ちっともウジウジしてへんとこが、いさぎ良う感じまするによって、        「よりまして」
人が語るまんまに、此処へ書きつけて置きますわい。         「聞き書きでしたか!」
 

第117段
友達にするのんに悪いの、七つ。         「七悪、」
①、天皇、宮など。
②、若い連中。
③、病気のない、元気なだけの奴ら。
④、酒飲み。
⑤、すぐにいきり立つ兵士。
⑥、嘘いう奴。
⑦、欲の深い奴。               「ほんまになあ」
良えのんは三つ。
①、物くれる人。
②、医師。
③、知恵者。                                「、、、、、、、、」
 
第122段
人の才能いうもんは、文章がはっきりしてる事、尊い教えがわかる事をむねとします。
それから、字がきれいな事ですわ。                        「才能がなあ」
人生に目標を持っていへんかてでも、これを学ぶのんでっせ。    「これ、学んだら?」
学問をするのんに必要ですわいな。                         「学問なあ」
それから、医術をやらんなりまへん。                       「医術ですか」
 
第140段
死んでもて、あとに財産残しよるのんは、知恵ある者のするこっちゃないでえ。
碌でもないもんを蓄えて置くのは愚かやし、良い物は、心を引いて死なれへん。   「死」
こと煩わしさ(こちたく)多くて、まさに良いこっちゃおまへん         「こちたく、なあ」
「その財産は、私のもんやろ」などと言よる者が出てきよってからに、    「私はゼロや」
あとで争いを長く引きよんのんは、さまが悪いがな。          「こちたく欲しいなあ」
残してやろうと思う物があるんなら、生きている内に渡しなはれや。 「何か、ちょうだい」
朝夕に、これなくしてはしょうが無い物だけ、あとは持たんのんが良えです。 「無理やな」
 

第142段
しょうむない連中かて、良いことを言うもんだっせ。       「誰がしょうむないねん?」
ある山出しの恐ろしげえなんが、横の人に向こうてなあ、        「どついたん?」
「お子さんはありますの?」と問うたんや、                     「何やいな」
「そんなもん、持つかいな」と答えたところ、                「どついたん?」
「さてはて、ものの哀れを知るのは難しいもんですよってになあ、   「哀れですわいな」
情を知るお心に至らざらねしかばと、いと恐ろしおます。         「とても恐ろしい」
子供がいてこそ、すべての哀れさが、よう分かりますねやで」    「子供に感謝せな!」
こない言いましたんやが、ほんまでっせえ。          「だから、娘に感謝せな!」
情愛のなければです、こんな山だしに慈悲の心が出ましょうかいな。 「ヤマキの鰹だし」
親孝行のわからん子かて、我が子を持って、思い知る親の志ですわ。  「昆布出し!」
世を捨てた人が、ご出家のまねごとをして、何かと世間の付き合いが多い人に、
「へつろうて生き、高望みが深いわい」などと、無下に思い下すのは、      「高望み」
かえってアホタレな事ですねやで。                   「馬鹿にしてますねん」
その人の心になっておみなはれ、まことに、悲しい親や妻子のために、  「妻子を思い」
恥をも忘れはてて、盗みさえもする場合かてありまっしゃろいな。   「真犯人は妻子」
さればです、盗人を縛りあげ、ちょっとした罪人を捕らえるよりか、  「妻子を捕らえよ?」
世の人が、飢えず、寒くないように、世を営んで行かんならん。        「世を営め!」
人は、恒産なくして恒心なしと、孟子はんかて言うてはりますが、   「孟子、モウシて?」
人間は、どうにも窮まってしもうて、盗みをしよるんです。            「怪盗ルパン」
世が治まり悪くして、人民の苦しみその頂点にありますればです、  「ルパンより食パン」
咎人かて絶える事はありしまへん。                    「満腹になればなあ」
人民を苦しめ、法を犯さしめてです、それで罪人の判こを押す、        「ペタンと!」
とんでもないぞ。                               「あかんゾォー!!」
さていな、どないにすれば世を営んでいけるのか、これはいな、    「ここが大事です」
高位の者は奢りを止めよ、そして民を尊重して、農業を勧めなはれ、  「農業立国です」
人民に利益があること、疑うまでもありまへんでえ。            「汝、疑うなかれ」
衣食に不足もなしに、悪い事をしよんのが、まことの盗人でっせ。        「本物です」
 
第152段
西大寺の静然(じょうねん)お上人が、腰が曲がってからに、眉も真っ白、「お年寄りです」
なんやら徳の溢れるありさまで、皇居へ来ましたんや。    「弟子に手を引かれてなあ」
西園寺の大臣さん「なんと尊いお姿やろか」と、拝みよった。        「尊いでえ!」
資朝はんが、「年取ってるだけやん」と、申されましたなあ。        「これも真実!」
この人、後日になって、ムク犬の汚らしく老いさらばえ、毛が、           「毛が?」
ハゲかかってるのんを、縄で引いてきてからにですわいな、        「首に縄つけて」
「なんと尊いですやんか?」と、皇居を入っていきよったです。      「ほんまになあ!」
 

第153段
為兼の大納言はん、謀反人やと召し取られて、武士に囲まれながら、   「首に縄です」
監獄へ引いていかれよったんです。                 「小唄は唄たんやろか?」
資朝はんが、一条の辺りで見まして、「マア、羨ましおます、この世にあって、 
最高の思い出には、これこそでんなあ!」と言うたんやて。        「羨ましいとなあ」
 

第154段
やはり資朝はんなあ、東寺の門前で雨宿りをいな、してはったんやて、     「雨宿り」
ここは、片輪者なんどの集まり寄るところですわいな、            「羨ましいと?」
さいな、たくさんに集まってるのんを見はってんやが、              「見ました」
手、足のねじくれゆがみ、どうにも気の毒な、のにもかかわらず、  「やっぱ、羨ましいと」
その異様にありたる様をいな、「これは珍しい、めったとない人間どもじゃ、     
これは愛玩するに足るもんじゃ」というて、                 「メチャクチャやわ」
見守っておりましたんやが、やがては興味も尽きてですわ、     
醜い、鬱陶しいと感じるようになりましてんやろ、               「厭きたんや」
ただ素直に、珍しいものでもないと思いなおしてからに、帰りましたんや。 「帰りなはれ」
それからいな、盆栽やら植木やらを、好んで枝振りなんかを曲げて、   「盆栽やら、、」
目を喜ばしよるのんは、やはり片輪を愛しよるのんじゃと、興ざめてな、    「アホや!」
鉢植えの木など、みんな掘り捨てたそうですわいな。         「自分も捨てなはれ」
さもありなん事ですわ。                     「ありなん峠を越えていけ〜!」
 

第155段
世を渡る人は、先を読まんならんと、知るべしでっせ。           「渡るにはです」
その次には、良うない事いうのんは、人の耳に逆らいます、また心に違うて、
そのこと成りまへんによって、さようの折節を心得なはれや。         「折節です」
 
 
 
ちょっと雑談
「みどりちゃんなあ」           「なん?」
「次の章段よむまえに、話やねん」                「うん」
「お父ちゃん、ずいぶん前に、東京は小石川の上流へな」  「、、、、」
「猫また橋、訪ねて行ったことがあるねん」                 「なんで、また?」
「さあこれがいな、むかし長編小説かいてたやろ、、、」          「知ってる」
「その小説の中に、猫また橋に住む人を訪ねる、というのがあってん」   「ふーん」
「そんでな、橋の近くにコンニャク閻魔、いうのがあるねん」       「コンニャク閻魔」
「そうや、閻魔堂ですわ」                             「それが?」
「ここを舞台にして、桃介を、書いたんや」              「それは知らんでえ」
「マア、知らんでええけどな、、、」                    「興味ないわ、、、」
「ほな、行くでえ、、」
 

第89段
「奥山に、猫またというのが出て、人を食いよる」と、        「猫またです!」
ちまたの噂になってなっておりましてからに、              「世間じゅうに」
「山だけやない、この辺でかて、猫が経を読んでからに、      「猫が経よんで」
猫またになったんや、人を食うのは悪いこっちゃにナア」と、     「と」
こない言う人かて出てきよる。                    「変なのがでてくる」
さていな、行願寺のあたりに住んでる、何阿弥陀仏とかいう、 「ええ加減な名ですわ」
連歌師の、おりよったんだ。                        「居たんです」      
みなこんな話、しよるのを聞いて、一人歩きは危ない、        「危険です」
充分に心掛けておらんとなあ、と、思いよったんだ。            「思いました」
それでも仕事ですわ、或る所で夜が更けるまで連歌しよって、    「さあ帰りです」
ただ一人帰る途中ですわいな、小川の端で、、、           「小川の、、、、」
音に聞く「猫また」、あやまたず足元へ、ふっと寄りきよった、   「いよいよ、出ました」
たちまちに、抱きついてきて、首へ噛み付かんとしよる。       「噛まれたら痛い」
肝も心もどっかへ飛んでもて、防ぐに力が入りまへんわいな、       「たまげてなあ」
足かて立たんです、そのまんま川んなかへまろびこみよった。        「転げこんだ」
「助けてくれ、猫またはん、頼みますさけに、、」と、大声です。         「叫びました」
まわりの家々から、大勢が松明に火とぼしてからに、          「助けに来てくれた」
走ってきたんですわ。見れば、この辺の見知りの僧ですやんか。        「そうです」
「どないしたんじゃ!!」言うて、抱き起こしてやりましたが、      「しっかりせよと、、」
連歌師は、連歌の勝負で賭けとった、扇や小箱を懐にしてたんやが、  「抱きおこしたら」
これなんか、水に漬かってもうて、役にたたんです。             「役に立たない」
とてもの事を助かったと、よろめきながらも家へ逃げ込んだ。      「逃げ込みました」
その後を、飼い犬が尾ふって付いていく。                「犬がいな」
ここで一首
飼い犬の、暗き闇にも主を知り、飛びつきけるを、これぞ猫また。      「なんやいな」
 
第98段
尊いひじりはんの、書き残すべきを書き付けてあるところのですわ、   「書いて残した」
一言芳談と題しましたる草子を見せてもらいました。            「見ましたか!」
心に残りましたんは、次のようなんでしたなあ。                「心に残った」
1、したらあかん、せんで済むと思う事は、大体は、せんほうが良い。     「、、、、、、」
2、極楽へ行きたければ、瓶一つも持ちなはんな、
  経、本尊に至るまで、良い物を持つのは、ようない。            「、、、、」
3、遁世者は、ないようにして済ます、これが良い。                「、、、、、、」
4、奥方は下女になり、智者は愚者になり、金持ちは貧乏に成り、
  能ある鷹は、無能の鷹になるべし。                        「、、、、、、」
5、仏の道を願うのんは、別にどうという事もない。
  暇で、世の事に関わりがない、これ、第一です。            「、、、、、、」
この他にも、ありましたんやが、忘れてもた。           「これかて、忘れなさい!」
 

第106段
高野山の偉いお上人さんが、京へ行ったんですわ、              「上京です」
途中の細い道で、馬に乗った女に行き会いましたんやが、女の馬方がです、  「馬方が」
馬をよろけさせて、お上人の馬を掘へ落としましたんや、         「大変です」 
お上人、偉い腹を立てて「何と狼藉をしやる、私は仏の弟子ですぞいな、    「仏弟子」
それも比丘ですぞいな、比丘は比丘尼より偉い、比丘尼かて優婆賽よりは偉い、
優婆賽かて優婆夷よりは偉いのですぞ、お前らがごとき優婆夷は一番劣っとるのや、
その劣れる身分で、私の様なる比丘を堀へ蹴り入れるとは、前代未聞の、悪行じゃ。」
                                      「なんや、面倒な口上やな」
さいな、そやよってに女の馬方には、何を言われてるのんか、分かりまへんわい、
                                        「無理ないなあ」
馬方は「何を仰っておられますの?」と聞きましたわいな。     「質問しました」
上人さん、これで余計にお怒りにならはってん、             「ならはった」
「なにを言うか、この無学野郎めが、アホめが、、」        「そんな事いうたん?」
そらもう高野のお上人でっさかいに、怒ったら怖いでえ、    「怖いなあ」
その後で、ちょっとだけ品が無かったと思いました気配ですわ、        「気配です」
馬を立ち直らしてからに、逃げて行かはったという事ですわいな。       「何やいな」
尊い啖呵であります事かいなあ。                         「と、いう話」
 

第107段
女が、もの問いかけますやろ、                        「問いかけます」
その返事をですわいな、上手くしよる男は誰やろうかいな?と、    「男の返事」
亀山天皇の時代のことですわ、                      「暇そうな話ですな」
跳ねっ返りの女房どもが、若い男が来よるたんびに、ですわ、      「からかいよる」
「ホトトギス、聞いた?」と、問うてからに、心を見よったんだ。        「心をなあ」
何とかの大納言とかは、「わてなんぞ物の数に入りゃしませんよって、聞けまへん」
                                        「なんちゅう返事やねん」
堀川の大臣さんは「岩倉の別荘で聞いたでえ!」          「まあ、こんなものやろ」
女どもは「堀川はんは、ふつうやな、数に入りゃしませんは、アホやな」と、騒いだ。
                                           「ほんまに、暇やわ」
すべて男というもんはです。女に笑われたらいかんのです。       「いけませんか?」
「浄土寺前の九条はん、幼いころから、有子叔母さんに鍛えられて、   「鍛えられました」
言葉の使い方が良かった」と、人の噂でしたなあ。          「おばちゃんっ子やった」
山階の左大臣なんかは、                        「左大臣は、どうやった?」
「あやしげな下女に見られても、そんだけで恥ずかしゅうて、気使いましたでえ」と、
そないに言うてはった。                          「情けのうないですか?」
女がおらへん世の中でありますれば、男は楽になりまっしゃろなあ。   「楽でしょうか?」
着る物でも、頭の髪の毛でも、手入れせんで平気になりよるな。「だらしないだけやん?」
かくばかりに男に恥かかしよる女というものは、いったい何なのか?      「女とは?」
どんなに素晴らしいものでありましょうかと、思いますがです、    「素晴らしいやろか」
本当は、女の本質は、みんな僻んでおりますのんや。             「ひがんでなあ」
女と女は、お互いを疑いあい,嫉みあい、おとしめあい、けなし合うばかり、    「???」
貪欲はなはだしく、物の理を知ろうとせず、ただただですわいな、         「ただただ」
迷いの方にだけ心も早く、言葉ばかり巧みです、           「言葉は巧みかもなあ」
何でもない事でも問われたら言わん、これは慎みが深いのんかと思うと、  「思いますと」
また、浅ましい事なんぞは、問いもせんのに語りだすのです。      「問いもせんのに」
深く策を弄して自己を飾るにおいては、男の知恵にも勝るかと、、、     「勝りますか?」
思えばです、その事が、たちまちに顕れるのを知りよらん。      「やっぱりアカンカ!」
素直ならずして、つたなき者は女なりです。                    「なりですか」
その女の心に随いて、良く思われたい男は、鬱陶しさに耐えんならん、    「耐える!!」
さればです、そんな女に何が恥ずかしいのか左大臣よ、          「左大臣さんよ!」
もしも賢い女が、いますとしますれば、                      「賢い女ですわ」
それも鬱陶しくて、すさまじいばかりでっしゃろうなあ。              「なんやねん」
ただ迷いの心だけを頼りにして、女に随います事のみが             「のみが、、」
やさしくも、また面白うに付き合えまっしゃろうなあ、と言う事デス。      「ほんまになあ」
 
 
 

 

 
 
 

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