ミヤオ療法です。書庫別に御覧下さい

最新の病気治療法。HPはhttp://www.geocities.jp/minerarumiyao/

方丈記

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]

「お父ちゃん、みどりが解明した云うのはなあ」             「その秘密は」
「先にも、ちょっと言うたけど、安元から承冶、養和いうのん」     「連続してる」
「それどころか、毎年の激変の、大変な時代やってんでえ」      「それは理解」
「小松のおとど、だけが、皆の希望やってん」              「良い人でした」
「そのおとどが死んでもうて、三ヵ月後に清盛がなあ」          「何したんや」
「なんと後白河院を、鳥羽殿へ幽閉してクーデターやんか」       「革命かいな」
 
「こんな最中に、鴨長明はんは、不思議があったんやで、と」      「天地異を」
「そや、天地異変は、不思議とは違うんやけどな」     「災害は不思議じゃない」
 
「賀茂神社ってな、カミイカズチの神をいただいての」      「カミナリはんやろな」
「そや、担当部署は、天地の災害、雨、風もなあ」        「風水に渡ります」
「そんで長明はん、賀茂神社の次男で、神主の家系」     「加茂神社の禰宜や」
「加茂のネギ、つまり、鴨がネギしょって来ますねん」       「しゃれかいな」
 
「つまり、天地異変は加茂神社の担当なんですわ」        「それが何?」
「そやよって、さるお方からのおさとし、と言うたんです」      「神の怒りじゃと」
「つまり、平家が無茶をしよる、今に乱世じゃになあ」       「神のたたりじゃ」
「そんだけ、自分たちの出番やと思いつつも、」          「お払いせんならん」「それでも、冷静な長明はんは、お払いも役に立たないと」    「神は死んだ」
 
「この頃には、神も仏も役には立たんと、みなが言うたんです」   「そうやなあ」
「例えば建礼門院右京太夫、また兼実はんなど、大勢はんが」  「源平の合戦も」
「そうです、天変地異に重なったんが平家の没落やんか」     「戦争やった」
「先に言うた、後白河はん幽閉から、平家の没落が」        「始まったんや」
「こんなんを、ひと言も書いてへん長明はんは、何考えてた」    「何でしょう」
 
「天変地異は、間違いなく神の予兆やけど、どないもならん」    「神官ですのに」
「神も仏もないのんは、自分で良う分ってんねん」          「冷静になあ」
「そやけど家柄のもつ、神の取り持ち役の、血が騒ぐ」       「加茂の川原に」
「神が気になりますけど、政治の混乱は、その結果に過ぎへん」  「知らんわい」
「とはいいつつも、気になって、どうにもならない」           「気がかりや」
 
「さて、そもそも長明はんは、出世がしたかってん」          「若い頃はなあ」
「ちゃうで、57歳やかに、鎌倉へ実朝はんを訊ねてる」       「有名な話やなあ」
「実朝はんは、長明の本歌取りまでしてるファンやった」       「実朝はんが」
「そうや、瀬見の小河、いうてな」                    「加茂川の事や」
 
「さていな、若い時も福原へ行って、仕官の口をさがし」       「そやったんか」
「五十なかばで、なお、実朝はんにすがったわけや」         「その結果は」
「いざ云う時に、格好つけてもて、素直になれないんですわ」    「実朝にも」
「実朝はんにも、哀願するのんが出来ない、対等に言うから  「処世術が不足」
いくら加茂のプライドかて、役には立ちませんわ」     「実朝、惜しかったなあ」
 
「まあ、歌を取り上げると切り無いさかい、方丈記だけに依ります」    「はいな」 「天地異変が記述のあとは、権門の近くやったら、とかの」    「これは処世術」
「そうです、出世をしたかった、その反動での逆説を洩らした」    「なるほどいな」
「だんだんと、自分が落ちぶれて行くありさまは、略してな」    「具体的じゃない」
「加茂の川原へ移ると、家は十分の一になった」          「車庫はあるけど」
「折節にたがえる事が生じて、また落ちぶれた」        「大原へ行くんやね」
「これから、さらに日野の外山で、百分の一の」           「方丈ですわ」
 
「言うことがふるってます、方丈こそが最高やん」       「体験したら分るとなあ」
 
☆ 「あのね、みどりが言うのんは、長明はんは出世したかってん。
そやけど、おそらくプライドが邪魔して、素直に高位の人と、合わせられへんかったんですわ」                               「ほんなら何かいな」
「そうや、、賀茂神社の者やぞ、しかも歌と琵琶では、ちょっと」  「知られた人や」
「そやねん、そのプライドと現実の力には、差が大きかってん」    「なるほどな」
 
「だから、出世は出来まへなんだ」                 「プライドが高すぎた」
「ちゃうねん、みどりが解明したんは、ちゃうでえ」          「諦めへんかった」
「それともちゃうねん」                           「どうやねん」
 
「良う読んでみなはれ、浮かびあがるのんは」           「最後に、悟ります」
「これが悟りかいな、反対ですやんか」                  「反対やろか」
「加茂の禰宜やけど神は信じてへん、仏かて信じない」     「神も仏もないわ」
 
「出世はしたかったけど、さすがに六十にもなったら、」     「無理やわなあ」
「何もかもが、もうしょうもない。さて、どないするか」       「どないやねんな?」
 
「お父ちゃん、あのね。人が言うのんは、、、、」          「人の言葉は」
「90パーセントは、言い訳と、自慢と、人の批判やて」       「そうかもなあ」
「長明はんは、これだけは書きしまへなんだ」      「なるほど、天災やもんなあ」
「徒然草なんか、他人をワイドショー的に取り上げるけど」    「長明はんは」
「そんな事は、ひと言も書きまへん」                 「そうですなあ」
「よう考えてみなはれ、これはすごい事ですやんか」       「まだ、分らんなあ」
 
「つまり、長明はんは、家柄からも、歌や琵琶からも、」      「秀才のほまれ」
「ほまれ高かってんけど、人生と歴史の折節に、たがえて」    「ボタンの掛け違い」「そんなんで、世間でも買うてくれてたのに、出世出来なんだ」   「それは分る」
 
「あのね、彼はやせ我慢が、これこそが生き甲斐になると」     「我慢かいな」
「良くあるねん。我慢を続けていると生き甲斐になんねん」     「そうかもなあ」
「長明はんは、とうとう方丈での生活こそが、理想でっせと」  「言うしか無かった」 
 
「そういうこっやねん。方丈記とは豊穣記だっせ、となあ」    「ほんま????」
「これで、全部が解明やねん。つまり理想と現実の背反を」    「背離をいな」
「死ぬ寸前に、プライドを保ったまんま、実現化しましてん」    『驚きですなあ』
 
「最貧に、沈むのんが、最高やねんでと、無理やりなあ」       「ほんまやなあ」
「方丈記の本質は、豊穣記なんだとの主張、その心理構造が凄い」。
「これによって、現代も読みつがれているんですわ」       「なるほどなあ」
                                「わたし、老いては子にです」
 
 
これで、方丈記は完了です。
 
 
「奥書」
本書は、私「ミヤオクニオキ」の古い文学友達である、沢村聖からのカセットテープを元にして、私「ミヤオ」が、原稿に起こしたものである。
前に発表した「親子で徒然軽ふざけ」に続く、沢村の作品であり、行方不明だった、みどりちゃんが、再び姿を現したのが、喜ばしい。
みどりちゃんが、この長い年月を、どのように過ごして居たのか。
それは、不明であったが、なによりも無事で良かったと思う。
沢村は、新しい結婚相手からも、捨てられて、現在は独身である。
どうして暮らしを立てて居るのかは、私に興味はない。
ところで、みどりちゃんに会ったので、「みどりちゃんは、何の仕事をしてるのん」と聞いた。
「あたし、セブンですねん」
「セブンアップの会社ですか?」
「違うやんか」
「そうか、質屋さんですか?」
「何言うてんのん、宮尾の叔父さんも古いなあ、セブンいうたら、イレブンやん」
「こんな会話で、そのような会社に働いていると判明したしだい」
 
「まあ、読後の感想を、知らせて下さると、関係者としては嬉しおます」
 
      2010年 4月 9日     発行
  御世韜晦の空文学社(みよとうかいのくう文学社)
  発行責任者、 みやおくにおき
 
これで、完全に了。    
 
「とうとう最終回です」                           「やっとです」
「では、行きますでえ」                           「はいな」
 
★ それ、人が友を持ちまするのんは、               「友を選ばば、、」
お金持ちと、親しい関係になりたいよってです。           「書を読まへんか」
必ずしも、情けがとか、素直が愛らしいとかではない。      「六分の侠気とか」
ただもう、糸竹、花月を友にしてるんが良えです。    「糸は琴琵琶で、竹は笛や」
 
★ 人に召し使われる人は、賞罰がハッキリして、            「必賞必罰」
恩賞をくれる方の人に、なつきますねんで。               「ものくれる人」
されに、あわれみまして大事にしてくれると、必死に働くわ。      「そりゃまあ」
ただし、他人に雇われるなんぞは、止めとき。             「仕事はせな」
ちょっと召し使いが必要や、とか、そんな場合には、         「その時は」
すなわち、自分を召し使いなはるんが良ろしい。         「自分でやりなさい」
ちょっと苦労やが、人を従えたり、人を監督せんで済みます。    「当然やね」
 
★ もし、歩く必要がありますれば、歩きましょう。           「牛車はない」
苦しいなんて、牛と車、馬に鞍置いて、なんぞより楽やでな。     「歩くねん」
 
★ いま、一つの体を、分けて考えますとなあ、             「部分べつに」
二つに使えるわけだす。手の作業、足は歩行です、          「なんやねん」
自分の好きなだけ、使いなはれや。                    「不足はない」
疲れたり苦しくなれば、休ませて、また使いなはれ。        「お好きなように」
 
★ 使ういうても、無茶はいけまへん。めんどくさいとて、      「めんどくさい」
心を悩ませるわけでは、おまへんしな。                「心は自由」
そもそも、常に歩く、また働くのんは、健康に良え。         「そうやでえ」
どうして無駄に休みますねんな、人を悩ませる罪業でんな。     「罪業やて」
考えてみなはれ、他人の力を借りる必要ないんです。        「自立の独歩」
衣食の問題かておなじやでな、藤の衣、麻の布、      「藤、麻の繊維での布」
これを得て、体を隠して、野辺のおはぎ峰の木の実、      「食べるんはナッツ」
たんたんと、命をつないだら良えんです。              「淡々とです」
 
★ 他人と交わりませんよって、姿を恥じるなんて無いわ。    「誰も居ないです」
食べ物が不足するとなあ、不味い物でも美味しうなるしな。 「空腹に不味い物なし」
すべて、こんな楽しみいうのんは、金持ちに言うんやない、     「そうやろなあ」
ただ自分の身ひとつに当てはめての、昔と今ですわいな。       「今昔物語」
 
★ それ、三界は、ただ心の持ちようだけです、          「すべての世界は」
心が安らかでないと、どんなお宝かて意味がない、        「お宝もなあ」
宮殿や楼閣かて、何にもなりまへんわ。               「そうでっせ」
 
★ いま、さびしい住まい、一間の庵を、自分は愛してる。     「愛があれば」
ちょっと都へ出たりしますと、自分の姿が乞食みたいやと思う   「我は乞食か」
けれども、ここへ戻りましたら、もう俗塵にまみれるのが嫌や、   「俗塵ですわ」
もしも、この言を疑いなはるお人がいましたら、            「信じないなら」
魚と鳥のありさまを見なはれ。魚は水に飽きへんわいな、      「当然やん」
魚にしか、この心は分りしまへん。                    「魚ぞ知る」
鳥は、林に居るのんが好きやし、この心かて、鳥しか知らんわ。   「これも当然」
閑居の味わいかて、これと同じです。                   「閑居」
住んでみいへんかぎり、誰にも分かりしまへん。            「誰にもですわ」
 
★ そんなこんなの内に、この一期の月も傾いて、           「一期一会」
私の寿命も端っこへと、近いんですなあ。                 「山の端」
たちまちに、三途の川の闇へと向かいますねんで。          「三途の川や」
いまさら、何をしますかいな。                        「さて、、」
 
★ 仏の教えは、どんな事にも執念を持つなと、なあ。         「脱執念」
いま、草庵を愛するのんも執念ですわ。                  「愛は執念」
閑寂におもむくのんも、これも執着でアカンらしいなあ。         「閑居もダメ」
いまさらに、楽しみなんぞ数えて、無駄の時間やでえと、     「何かヤケかいな」
静かな明け方に、こんな事を考え詰めてたら、             「考えてたら」
自分の心に、質問をしましてん。                      「自問自答」
 
★ 世をのがれて、山林に住んでるのんは、               「出家やんか」
心をおさめて、道をすすめるが目的やったんと、違うのんか。    「自分ではなあ」
それを汝は、姿だけ聖人に真似て、心は濁りに染まったあるわい。  「濁ります」
住みかは、なるほど浄名居士の例に習うてるけれども、       「これかて真似」
そのやったある事は、周利槃特にも及ばへんぞ。   「一番アホやった」
もし、これが貧しく浅ましかった前世の報いとして、     「前世の」
お前が悩まされているのんか、もしくは、           「もしくは」
迷いの心で気が狂てんのか。               「狂うたかいな」
こう質問したら、自分の心は、答えられへんのや。   「返事は保留」
ただ、自分の舌を雇いましてな、              「舌を」
別に請する気はないけど、阿弥陀仏と、三遍だけ、   「阿弥陀はん」
唱えて終わりにしました。                   「さても、、」
 
時に、建暦の二年、弥生の月末のころ、          「弥生三月」
桑門の連胤、外山の庵で、これを書く。      「書き終わりました」
 
 
「みどりちゃん、これで終わったでえ」          「ほんになあ」
「みどりちゃんの、方丈記の謎解明は」    「あのね、次回にしよ」
「そうやな、疲れたしなあ」             「そうや、疲れたわ」
 
「と、いうことで、次回」             「みどりの、解明です」
「では、みなさん」                 「では、では、では」
 
 
 
 
「さて、みどりちゃん、方丈記の謎や」                 「あぁ、はいな」
「天地異変や人災を、なして不思議と言うか」             「それですわ」
「これ、昔かっら、方丈記読みには疑問ですねん」        「では、解明します」
 
ここから、父と娘の言葉が、逆転します!
☆「あのな、お父ちゃん、鴨長明さんて、どんな人や」 「加茂神社の神主の次男や」
「そこが一つのみそです」                          「何でしょうか」
 
「天地災害の話しが始まるのん、年号がヒントやで」          「年号かいな」
「まず安元三年(1177年)、ちなみに前の年に建春門院が死にはった」  「はいな」
「次に大事なんは、翌年に建礼門院が安徳天皇を産みなはった」  「治承二年や」
「ほんで治承三年(1177年)には、小松のおとどが、死なはる」   「清盛の長男」
「この、おとどは、大変評判の高いお人やった」      「清盛に文句がいえたで」
「この同じ年に、清盛が、後白河はんを閉じ込め禁足にしはった」   「有名やな」
「これが平家の没落になって行くねん」                   「そうや」
「ほんで治承四年、辻風、さらには福原遷都です」          「連続してます」
「それから、、養和の飢饉です」            「養和(1180〜81年)やなあ」
「これを、長明はん、なして忘れた言いますねんな」         「忘れたんやろ」
「連続してますやんか」                      「わざと忘れたんか?」
 
「あのな、長明はんは、加茂神社の次男ですねん」      「そうです」
「賀茂神社いうたら、雷と火事の神さんやで」          「そうやけど」
「天災と政治異変が交代で起こるんや」             「そうか、なるほど」
「賀茂神社の神官としては」                    「神の怒りを鎮めな」
「しかし、本音では、お払いでおさまるやろか」         「それはちょっとなあ」
「天災は、神のお告げじゃぞ。と思うけど、自信ない」    「それで不思議となあ」
「当時の宗教界は、どやった?」               「平安から鎌倉仏教へと」
「最澄、空海、法然、一遍、日蓮、新仏教やで」        「神さんは、影うすい」
「長明はんのプライドは如何だったか」              「プライド高そうやな」
 
「と、ここまでにして、次に行きましょう」               「そうやな」
 
デ、また以前のかたちに戻します。
 
★ また、ふもとにひとつの柴の庵があってな、           「別にも庵です」
つまり、この山守(山林管理)の居るところですわ。         「山守」
そこに、ちょっとした子供があって、時々訊ねて来よる。      「子供が来る」
そんなんで、退屈なときは、友達として、散歩もします。       「子供と散歩」
彼は十歳、こっちゃは六十。                       「半世紀の差」
 
★ その年齢は、ことの他ですけど、暇つぶしなら、同じやわ。   「暇やからね」
ある時は、茅花を抜き、                      「抜いた元を食べる」
岩梨をとり、ムカゴを盛り上げて、                 「山芋の脇芽芋」
また芹を摘みます。                              「山菜です」
あるいは、山裾の田に行きまして、                     「田んぼ」
落穂を拾いまして、穂組を作って遊びまんねん。            「あくまで遊び」
 
★ もし、日がうららかやったら、峰によじ登ってな、           「峰にですわ」
はるかに故郷(加茂)の空を見て、                     「見て」
木幡山、伏見の里、鳥羽、羽束師をのぞみます。             「見わたす」
勝地は主ないよって、心を慰めるのんに障りはあらしまへん。  「勝地=風景です」
歩くのんにわずらいない場合は、心が遠くまで行きたがる、     「そんな時は」
これより、峰続きに、炭山をこえ、笠取もすぎてまう、         「ドンドン行く」
あるいは岩間の神さん拝みまして、さらに石山を拝みます。     「神さん好きや」
もしや、また、粟津の原を分けてでんな、                「さらに行く」
蝉丸の翁の跡を弔いまして、                     「蝉丸法師のお墓」
田上河を渡りまして、猿丸太夫の墓にも詣でてなあ。       「猿丸はん」
帰りには、折につけて、桜を刈り、紅葉を求めて、         「春も秋もです」
蕨をとり、木の実かて拾いまして、仏に奉りますし、         「仏も大事や」
また、家への土産にしますねん。                   「自分でも食べる」
 
★ もし、夜が静かやったら、窓の月に故人を忍び、        「故人をです」
猿の声に、袖を涙でぬらしたり、なあ。                 「涙でくもらせて」
 
★ 草むらの蛍は、遠くの真木のかがり火に見立てて、       「見立てですわ」
暁の雨やったら、何とのう木の葉を吹く嵐となあ。           「早朝の雨や」
山鳥がホロと鳴くのんを聞いても、父か母かと、ですワ、     「父母が忍ばれて」
峰の鹿が、なれて近くへ来よるんは、              「奈良。京都は鹿がな」
そんだけ世から遠ざかったんやと知るばかりや。            「都は遠い」
 
★ あるいは、また、、埋み火を掻き起して、               「炉に埋み火」
老いの寝覚めの友としますねんで。                    「老いの友や」
 
★ 怖ろしい山ではありまへんよって、                  「そこそこなあ」
梟の声をあわれみつつ、山中の変化やなんか、            「梟が鳴く」
折につけても興味が尽きる事はないわいな。              「尽きないです」
いうまでもなく、深く思い、深く知ろうとするお人なら、          「深い、深い」
こんなんは、何てこっちゃないけどな。                  「何て事ない」
 
★ おおよそ、此処に住み始めた時は、                 「始まりは」
ちょっとこれは(大変かも)と、思いましてんけど、            「そうやろなあ」
もうすでに、五年ですねん。                         「五年経過」
仮の庵も、もう故郷みたいなもんや、                    「新故郷」
軒には朽ち葉が溜まります、入り口の外には苔がついた。       「苔むして」
 
★ どこからとなく、都の事情が聞こえてきますと、            「風の噂か」
この山に籠ってから、やんごとなき人も死にはったと、          「天皇家も」
それも、何人ともなあ。                         「あの人、この人」
 
★ ましてや、数にも入らんのんは、これ知りようもあれへん。    「そうやなあ」
度重なる炎上に、燃えてしもうた家、またどんだけあったか。     「大火にです」
ただ仮の庵やったら、のんびりと安心、心配いらへん。         「ほんとうに」
狭いと云うたかて、夜に寝る床はあります。             「寝るのは楽ちん」
昼に座ってるだけの場所にも、困りはしまへん。            「座布団一枚」
体ひとつを宿すのんに、不足はないですわ。               「足りてます」
 
★ やどかりは、小さな貝を好みますやろ、               「カドカリなあ」
これは理屈が分ったあるからですねん。                「身丈に合わせ」
ミサゴ鳥は荒磯にいますのんは、これ人間が怖いよって、      「人間は怖い」
わたしも、やはり同じですねやわ。                「人間恐怖症ですわ」
 
★ 事を知って、世を知りまして、願わへんと、焦らんとな。      「足るを知る」
ただ、静かなんを望みまして、憂いのないのが楽しみでっせ。   「後は死ぬだけ」
 
★ すべて、世のお人が家を造る習慣は、               「習慣やねん」
必ずしも、身のためやないです。                     「為にならんぞ」
ある人は、妻子眷属のためになあ、また、親友朋友への見栄。   「虚栄の都」
あるいは、主君、師匠また、牛馬や財宝のためだったりな、  「馬小屋も綺麗にな」
これを造りますねん。                           「ほんまやで」
 
★ わたしは、今は、自分の身の為に、造ったわけだす。      「自分本位」
他人の為やないでっせ。                        「他人は知らん」
考えてもお見なはれ、今の世のならい、この身のありさま、     「考える人」  
訊ねて来る人もないし、雇う下人も居てません。          「見捨てられたん」
そやよって、広う造っても、誰を泊まらせて、誰を相手にしますねん。  「、、、、、」
 
「方丈記も、だんだんと、ラストが近いですわ」               「ほんになあ」
「次回で、終わりますやろ」                      「終わりにしましょう」
 
「みどりちゃんの、解明もなあ」                   「はいな、OKやで」
「では、では、では」                          「みなさん、また」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
★ その家いうたら、世の常識ではありまへん、          「つまり、これが」
広さは、わずかに方丈(一丈四方)です。            「つまり3m四方や」
さいな、その高さは2メートルにも及びまへん。           「狭くて、低い」
 
★ 場所も、とくに定める気持ちもないよって、           「どこでも良え」
地面を占拠はしまへんで、土台を組んで、            「基礎は固めへん」
それで屋根はこけら                         「板葺きですわ」
柱や梁の継ぎ目は、掛け金を掛けましてん。           「簡単になあ」
 
★ もしも、心にかなわない時は、たやすうに他へ行けます。  「遁走も可能」
その、新しく造ったのん、どれだけも煩いないでっせ、       「面倒はなかった」
 
★ 車で二台の材料だけや、車に厄介になっただけで、     「車にて二台」
他には、まったく煩いは、掛けてまへん。               「あとは簡単」
 
★ いま、日野山の奥に、隠れるように住んで、          「日野山ですわ」
東向きには三尺(1メートル)の庇をだして、             「庇を」
柴折り、燃やして炊事の場所や。                   「炉です」
 
★ 南には竹のスノコを敷いて、                    「畳はない」
その西側に閼伽棚です、                「閼伽棚は、供養水置きの棚」
北側は衝立を隔てにして、阿弥陀の絵を安置や、          「阿弥陀さん」
傍に、普賢菩薩を掛けて、前には法華経、置きました。     「普賢と法華」
東の方に、蕨のほどろを敷いて、夜の寝床になあ。    「蕨の穂が開いた綿や」
西南に竹で吊り棚こっしゃえて、黒い皮籠を三個、       「棚に籠を三個」
これすなわち、和歌、管弦、往生要集なんどの抄物を入れた。  「保管にな」
 
★ かたわらに、琴、琵琶、おのおの一張を置きましてん。     「琴と琵琶」
いわゆる折り琴、継ぎ琵琶、ですねん。                「組み立て式」
仮の庵、こんなありさまです。                      「これが方丈庵」
 
★ まわりの状況は、南に懸樋(かけい)があります。        「山水の樋」
岩を具合良うして、水を溜めてあんねん。               「なるほど」
近くに林があるよって、薪を拾うのんに苦労はおまへん。      「林の近場」
この場所は、外山(音羽山)言いますねん。              「山のあたり」
まさきのかずらが、一面を埋めてます。                 「かずら」
谷は木が茂ってな、西側は見晴らしが良いよって、          「西側だけは」
いざ観念せないかん場合には、西方浄土や、招いてくれるかも。  「西へ成仏や」
 
★ 春は藤の花が、波うつ感じやで、                   「藤波ですわ」
西方浄土へ向うときの、紫雲たなびきや。              「のんきやわ」
夏は、ホトトギスが鳴きますよって、奴等と語りあうようで、      「ホトトギスと」
死出の山道も、案内に不安はないですわ。             「ホトトギスが案内」
秋は、ヒグラシの声が、耳に満杯ですねん、              「その日暮らし」
空蝉の世を悲しむようでんなあ。                 「蝉の抜け殻で、死」
冬は、雪にあわれを感じます、積もっては消えるんが、       「雪やでなあ」
人の罪障に例えてしまいますわ。                  「罪も消えんとなぁ」
もし、念仏を唱えるのんに気が進まへん時は、            「念仏も面倒や」
お経を読むのもじゃまくさい時は、                   「そんな時もある」
自分で勝手に休んで、放ったらかしです。               「自分が決める」
文句いう人はいまへんし、恥ずかしう思う人かておらん。      「我一人や」
ことさら、黙り込んでるわけやないけど、一人やねんで、       「独居やねん」
口煩く言うことはあれへんしなあ。                    「小言は言わん」
ちゃんと禁戒を守ってはおりまへんけど、         「禁戒、生活のきまりやな」
何というても、こんな暮らしやよって、守るも破るも、       「まったく気にしない」
 
★ もしも、舟の白波が消えるのんに、我が身を感じてみるなら、    「舟の跡」
岡の屋に行き交う舟をながめて、満沙弥(まんしゃみ)の、  「満沙弥、歌人です」
真似事をして、風情をたのしんだらよろしい。            「風情をです」
もし、桂に吹く風が、葉を鳴らす夕べやったらば、        「こんな場合は」
白楽天の真似をして尋陽江を思いやり、また、      「また」
源都督を真似たらよろしいねん。        「琵琶の名人で、歌人」
また、もし興に乗ったら、好きなだけ松風に、     「松風に」
合わせて秋風楽(曲です)を演奏しますし       「風流ですやん」
水の音に流泉の曲を弾きますねん。          「琵琶です」
芸は拙うおますけど、人に聞かせるんと違う、   「琵琶ならちょっと」
独りで弾いて、自分だけ歌い、心まかせだけや。   「ほんまになぁ」
 
「今回は、ここまでや」                   「そうですなぁ」
「ところで、みどりちゃんの」                「なん?」
「方丈記の謎いうのん」                   「あっ、はいな」
「まだ、明かさへんのんか」            「ちょっと言いましょか」
「何ですねんな」                    「最初の頃になあ」
「はい」                 「世の不思議を見る事、たびたび」
「はい、あったなあ」        「天災や人災が、不思議な事やろか」
「あぁ、それはみなさん、疑問ですねん」   「この疑問が解けました」
「ほうっ!!!」                  「次回に言いましょう」
 
「ほんなら、次回を期待やな」           「では、では、、」
 
 
 
 
「六回目になりました」                          「長々となあ」
「行くでぇ」                                  「はい、はい」
 
★ もしも、自分の身分が、数に入らんほどに低うて、        「数に入らん」
それで権門の高い人の隣に居るんやったら、            「お隣どうしで」
深い喜びがあったかて、これを大いに楽しむのんは無理、      「何でや?」
嘆きが切なるときかて、声をあげて泣くのんも無理やでぇ。      「なしてや?」
進退が簡単ではおまへん、立ったり座ったりさえです、         「はい、、、」
恐れ心配での気配りやさかい、                       「気を使う」
例えばです、雀が鷹の巣に近づいたようなもんやで。          「雀がなぁ」
 
★ もしも、貧しくて富者の隣に居るものは、             「貧乏者は、、」
朝夕に、貧乏ったらしい姿を恥てしもうて、              「自分で恥じる」
へつらいながらの出入りになる。                    「こそこそと」
妻子が隣を羨ましがりよるのん見ても、                「妻子がな」
お隣の人が、こちらを蔑んでるのを聞いても、             「聞こえたん」
心は、揺らぎ動いてもて、ちっとも落ち着かへん、          「劣等感ですわ」
 
★ もしも、狭い土地に住んでおりますれば、             「都会のなあ」
近火の場合には、災難が降りかかりよる。               「燃え移る」
これが僻地に住んでたならばです、                    「僻地ならば」
仕事の往復も煩わしいし、盗賊にあう危険もあります。        「盗賊がいた」
また、勢いの盛んな人は、貪欲が深いもんやし、           「そうかもなあ」
付き合いのない人は軽く見られます。                   「軽者に」
 
★ 財産を持つ人は、それが心配の種、          「金があるから盗まれる」
貧しい人は、ひがんで恨むしなあ。                    「ひがみ」
 
★ 人に雇うてもろうたら、自分の身が無うなるでぇ。         「そら仕事や」
他人を世話したら、心は、恩義やなんやと疲れるしな。        「そうですな」
 
★ 世に合わせてたら、身は窮屈やし、  「智に働けば角がたつ、情に棹させば」
世に従うのを止めるんは、狂うたんと同じようやしな、        「狂です」
 
★ どないして、また、どんな生き方をしてや、
ちょっとでもこの身を住まわせて、わずかに心を安らげますか。  「、、、、、」
 
★ わたし云う者は、父方の祖母の家を、養子で継いでな、     「菊家という」
久しうその家に住んでたんや、                      「菊太夫という」
 
★ その後、縁が欠けましてん、身も衰えますわいな、        「何かあった」
未練はいっぱいありましたけど、どうにもならん、、、でなぁ。     「跡取り止め」
 
★ そんなんで三十過ぎに、我が心と相談して、           「自分で考えて」
ひとつの庵を建てましたんや。                      「庵とは?」
これは、以前の屋敷に比べたら、十分の一ですわ。         「一割ですわ」
 
★ ただ家を構えた言うだけです、立派とは、とても言えんけど。  「家ではある」
わずかに築地は造ったです、せやけど門は造られしまへん。   「門は地位です」
 
★ 竹を柱にしたガレージでなぁ、車は入れたけどな。        「牛車はある」
雪や、風の強い日には、どうも心もとない家やった。         「どんなやねん」
 
★ 場所が、川原(加茂の川原)の近くやった、   「自分の名前に、縁があります」
そやよって、水の難儀(洪水)や、白波(波害)の、         「ほんまかいなぁ」
恐れがありまして、心配の元で落ち着かんです。          「心配性かいな」
 
★ そんな風に、この世を思いつつ、心悩ませながら、     「悩みは自由です」
三十余年ですわ。                           「三十四年やでぇ」
 
★ その間、折々の節目になぁ、                   「何があったん」
自分に、運は少ないと、悟りましてん。                「三十年かけて」
 
★ つまりは五十歳の春を迎えて、家を出ましてな、        「五十を越えて」
世に背いたわけだす。                          「世を捨てた」
 
★ もとより妻子は無いよって、心を引き止めるもんは、      「心残りは」
ないです。                                  「無いかいなぁ」
 
★ 身に官禄(役人の位)ないですわ。                  「役人じゃない」
何に執着するものが、ありましょうかいなぁ。              「悟りやて」
 
★空しく大原山の雲中に眠って、                   「大原山の中で」
ここで、さらに五年を暮らしましたんやでなあ。           「五十過ぎてなあ」
 
★ ここに、六十歳になる、露の命も消えやんとに及んで、    「及びも、及んで」
更に、末の葉を宿りを、建てましてん。                「死に場所です」
 
★ 言うたら、旅人が一夜の宿、蚕が最後に繭に籠る、      「蚕がなあ」
そんな、命のいとなみですわいな。                   「限りある命」
 
★ この家を、この前のんに比べたら、                 「さあ、どない」
更に百分の一って、まあ、それにも及ばんですわ。          「百分の一」
とかく、年齢は高まりますが、住まいは狭まりますねん。       「上手く行かん」
 
「今回は、此処までにしょうやないか」                  「そうやねぇ」
「次回からは、いよいよ方丈が記述されるでぇ」            「方丈記やで」
「では、では、また!!」                       「また、来て下さい」
 
 
 
 
 
 

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]


.
ken*koc**
ken*koc**
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

Yahoo!からのお知らせ

過去の記事一覧

検索 検索


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事