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月刊『世界』2011年6月号に、
宍戸常寿准教授(憲法学)の論稿が掲載されていました。
先日読んだので、内容を紹介したいと思います。
私なりに印象的な記述を要約しました。
引用ではありませんし、誤読・誤解はご容赦願いたい。
「最高裁判決で拓かれた「一票の格差」の新局面」
・最高裁平成23年3月23日大法廷判決は、
衆議院小選挙区制の下でのはじめての違憲状態判決である。
・本判決では、最高裁判事15人のうち14人が、
本件の衆議院議員総選挙の格差が許容されないとの立場を
明らかにしており、確かに「最高裁は変わった」と評価できる。
1 一票の格差と従来の判例法理
・一票の格差とは、選挙区ごとの人口数または
有権者数の不均衡によって、選挙人一人当たりの
投票価値に不平等が生じることである。
・日本では、国会議員の選挙について、
他の立憲民主主義諸国ではありえないほどの格差が、
長年にわたり続いている。
・格差是正には地方選出議員の痛みを伴うため、
国会は自発的な改革には消極的である。
・最高裁は、昭和51年4月14日大法廷判決以来、
国会の裁量行為の合理性を後追いで判断するのみで、
独自の数値基準を導く論理を持っていなかった。
そのため、国会が多少の是正をすれば違憲判断は
控えるという態度に自らを追い込んだ。
・(70年代当時)1対2という明確な数値基準によって、
国会の裁量を枠付けるべきというのが
憲法学内の通説であった。
2 国会のコントロールの強化
・1990年、政府の選挙制度審議会は一票の格差を
1対2未満とする基本原則を打ち出している。
しかし、同年に、与党から「一人別枠方式」も提唱された。
この双方が1994年に法制化されることになった。
・この「一人別枠方式」を、最高裁平成11年11月10日
大法廷判決は、過疎化現象の考慮を明言して、
合理性を承認した。(ただし、すでに5人の判事が反対している。)
・しかし、最高裁平成16年1月14日大法廷判決では、
合憲としつつも、多数派判事内から、考慮要素を
見直すべきという意見が提起され始めた。
・さらに最高裁は、平成18年10月4日大法廷判決,
平成21年9月30日大法廷判決により、
選挙制度を見直すべきと強く要求するに至っている。
3 核心は一人別枠方式の否定
・今回の判決で最高裁は、
①考えられる非人口的要素を列挙することをせず、
②「とうてい考えられない程度」という表現を止め、
端的に合理的でなければならないとした。
・そして、現時点に至って、「一人別枠方式」さらには
一票の格差は違憲状態にあるという結論となった。
・法3条の区割り基準が不可分一体のものではないとして、
「1対2原則」の箇所は違憲ではないが、
「一人別枠方式」の箇所は違憲であるという
部分違憲の手法を用いている(国籍法事件に関する
最高裁平成20年6月4日大法廷判決参照。
その手法に関して同様の批判が起こりうる)。
・そもそも、一人別枠方式は人口の少ない県が
常に優遇されるわけではなく、
過疎地対策としても有効ではない。
・また、さまざまな政策課題がある中で、なぜ、
「過疎地対策」だけが優遇されるのかも説明がつかない。
さらに「過疎」が優遇されるということは逆に
「過密」が軽視されるということであり、これも問題である。
・そもそも、「1対2原則」だけでも不十分であり、
衆議院に関しては、全選挙区間の人口を可能な限り
近づけることが求められる。
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