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『現代社会学事典』 見田宗介 編集顧問 弘文堂 2012
社会学は、勉強したいなあと思いつつ、
なかなか手が出ないでいた。
そうしたところに、登場したのが
この『現代社会学事典』である。
価格は2万円と高価だが、貯金して早速購入した。
内容は、出版元弘文堂の商品紹介にあるとおり。
現在の日本の社会学を代表する学者さんたちが結集。
基礎的な理論の用語から、近時の話題まで幅広く扱っている。
さらに良いのは、狭義の「社会学」にとどまらず、
隣接・派生分野である、教育学・宗教学・情報学はもちろん、
哲学・政治学・法学・経済学に属する用語も、
その分野の専門家を執筆者として多数掲載している。
私は、法律を勉強しているので、
何か勉強するときどうしても
体系書というものがないと落ち着かないのだが、
この事典は、今現在での最高水準における、
「社会学の体系書」または「社会学のコンメンタール」
と言っても過言ではないだろう。
もちろん「広いが浅い」とか「この説明では納得できない」
といった不満は不可避ではあろうが、一個の目安・たたき台
としてこういう定本が在ってくれることは、便利なことだ。
実際、入門書としてはすでに重宝している。
いろんな入門書を集めなくても、
本書だけですでにかなりのことについて
まとまった知識を得ることができた。
小項目が基本だが、基礎概念は中項目で
詳しく扱っているものも多い。
価格分に照らして、飽きが来るまでは
十分に有用性があると思われる。
ところで、本書を見渡して、一つ気になることがあった。
それは、「法社会学」が扱われていないということである。
「法社会学」といえば、法律学では「法哲学」や「法制史」
と並んで基礎法学の一分野として知られている。
しかし、本事典では、「法社会学」という項目自体がない。
さらに、本職の法社会学者による執筆は、確認できたところで
河合幹雄教授ただ1人しか参加していないのだ。
これは、弘文堂からすでに出ていて、
本事典の姉妹書ともとれる
『現代倫理学事典』と比べてみたところ、
違いが際立つ。倫理学事典では、
法哲学者の井上達夫教授が編集委員として参加し、
さらに、有名大学の法哲学者が軒並み参加しており、
法哲学の領域にも大きくスペースがとられている。
「法哲学」は倫理学/哲学の一分野/隣接分野として
ちゃんと待遇されているのだ。
「社会」の中には、「裁判」,「司法」,「犯罪」,
「消費者」など、「法律」と関わり合いのある
事項にはこと欠かない(当然といえば当然だ)。
先にも言ったように、「政治」,「経済」,「哲学」
などにはそれなりの論客が招かれ、スペースが採られている。
なぜ、「法社会学」がほぼ完全なスルー(悪く言えばシカト)
されることになったのか、興味を引かれるところである。
日本社会学会と日本法社会学会は、仲が悪いのか。
あるいは、「法社会学」のパワーが低すぎて、わずか10項目
ほどでもスペースを獲得できないほど、発言力がないのか。
いろいろ考えさせられるところだ。
特に理由がないとすれば、つまらないが。
なお、「法学」全体が割愛されたのかというと、そうでもない。
倫理学事典と同様、憲法学からは長谷部恭男教授が、
法哲学からは小林公教授や森村進教授が参加している。
不参加なのは、「法学」ではなく、あくまで「法社会学」
ということになる。
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