カンカンとガクガクの部屋

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『憲法はむずかしくない』   池上彰   ちくまプリマー新書  2005
 
 
 
去年2013年にタイトルを変更した改訂新版が出てしまった。
ずっと読んでみたかった本書だが、
大型古書店で投げ売りされていたのでさっそく購入してみた。
 
まず第1章だが、イラクの無政府状態を例に
取るところから話を始めるというのは、
他には見られない筋立てだ。いい伏線になっている。
だがそれよりなにより、この第1章で真っ先に「立憲主義」を
説いていることに、ほっとさせられた。
この点を池上さんが重視しているかどうかが
私の最大の関心事だったからである。
この時点でこの本の印象は悪くないものになった。
 
 
第2章は、日本国憲法が制定された歴史的経過について。
このあたりの物語をまとめる手際のよさは、著者の十八番だろう。
過不足なく、とてもうまくまとまっている。
特に不満を指摘すべき点は見当たらない。
 
 
第3章は、足早にざっと条文に触れられていく。
ほんとにごくごく簡単な説明だが、条文を見たこともない人には
価値が大いにあるだろう。ただ、いくつか不満を上げるのであれば、
まず基本的人権に関しては、「公共の福祉」に対する立場が
ややあいまいである点が問題だ。これでは「公共の福祉」が
モラルや立法の問題ととられかねない。できれば
「内在的制約」について言及していただきたかった。
また統治機構については、72条の説明でロッキード事件を
例にしている点に疑問がある。憲法72条とロッキード事件との関係は
複雑微妙であり、代表例としてふさわしくないと思われる
(『判例百選Ⅱ』を参照)。
 
 
4章は、憲法第九条に関する歴史が、比較的詳しく紹介されている。
やはり歴史のまとめの記述はかなりうまいので一読の価値がある。
ただ、個人的意見としては、あまり9条に固執するのは疑問である。
憲法で重要なのは9条ばかりではないからだ。
 
 
最終章は、憲法改正議論について。9条を中心に、
参議院制度などその他の事がらについても、網羅的に説明されている。
非常に薄い本なのに、よくこれだけのことを詰め込んだというくらいに
様々な問題や意見を多数盛り込んでいる。
 
 
さて、この本のタイトルは「憲法はむずかしくない」であるが、
タイトルは間違いだったといわざるを得ない。
なにしろ著者は結論が出せず、著者の独自見解はほぼ一切
書かれていないのだ。それは著者らしい賢明な判断ではあり、
本書の良いところである。しかし、そうなるのはつまり、
やはり「憲法は難しい」ということなのである。
新版化に際してタイトルが変更されたのはもっともであろう。
 
 

 
 

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