元指導者に有罪判決 松本の柔道事故で長野地裁 全国初の有罪
松本市の柔道教室で2008年5月、当時小学6年の沢田武蔵君(17)=松本市波田=を投げて重い障害を負わせたとして業務上過失傷害罪に問われ、県内で初めて強制起訴された教室の元指導者、小島武鎮(たけしげ)被告(41)=同市梓川梓=の判決公判は30日午後、長野地裁で開き、伊東顕裁判長は禁錮1年(求刑禁錮1年6月)、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
長野地検は12年4月、業務上過失傷害罪について「嫌疑不十分」で小島被告を不起訴にした。沢田君の両親が長野検察審査会(検審)に審査を申し立て、長野検審は同7月に「起訴相当」と議決。地検は同年12月に再度、嫌疑不十分で不起訴としたが、長野検審が13年3月に起訴議決をし、被告は強制起訴された。
09年に制度化され、これまで全国で8件あった強制起訴事件で、検察が嫌疑不十分を理由に起訴しなかった被告への有罪判決は初めて。
強制起訴事件の一審有罪は、暴行罪に問われた徳島県石井町長を科料9千円とした昨年2月の徳島地裁判決に続き2例目。検察は町長を「起訴猶予」としていた。
沢田君は投げられた際、頭は打ち付けなかったが、回転中の体が突然止まる衝撃で生じる力「回転加速度」により、脳と周囲の硬膜をつなぐ静脈が切れて急性硬膜下血腫が発生したとされる。
裁判では沢田君の柔道技術の程度や、被告が技を掛ける際に力加減や配慮をしたかどうか、頭を打ち付けなくても急性硬膜下血腫が起きることを予見できたかどうか―などが争点となった。
検察官役を務めた指定弁護士は、被告は受け身も十分身に付けていない沢田君に、力加減せずに変則的な投げ技「片襟の体落とし」を掛けた過失があると指摘。回転加速度で硬膜下血腫が発生することは、スポーツ指導者向けの本などに記載があったことなどから、事故は予見できたとして禁錮1年6月を求刑していた。
被告側は、沢田君は対外試合に出場できる技術を身に付けており、被告も力加減をしたと反論。回転加速度による硬膜下血腫は柔道界などで知られていなかったとして、無罪を主張していた。
2014年4月30日 信濃毎日新聞
私は、「強制起訴」制度は、やめたほうがいいと思っている。
1 「疑わしくは無罪」の精神にそぐわない。
たしかに検察官の判断は絶対ではありえない。
とはいえ、 「疑わしい」と判断していることに違いない。
そうなると起訴しないのはおかしくないと思う。
2 刑事裁判は刑罰を決定する場であり。真相を究明する場ではない。
社会問題を個人の責任に転嫁すべきではないと思う。
3 過失は具体的に予見できる可能性がないと不十分だと思う。
「立場的に予想すべきだ」とか「なんとなくわかるだろう」
では広すぎる。
4 検察がスルーする場合は、多くは量刑が少ないものが多い。
「禁錮1年執行猶予3年」のために、6年も裁判にかけるのは負担が重い。
もう一件の有罪事件も、「人を突き飛ばしたので、科料9千円」である。
5 民事裁判で責任追及はできるし、裁判は行われる。
また多くは、社会的非難も受けるはずだし、自責の念もあろう。
「問題を公にする」という目的ならば方法は別に探した方がいいと思う。
それに加えて、何が何でも刑事罰という合理的な必要性は乏しい。
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