カンカンとガクガクの部屋

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法律用語の基礎 14

 
〈 「推定する」 「みなす」  〉
 
 
1 「推定する」
 
 
 ・事実が不明の場合に、法令が一応の判断をし、法的効果を生じさせること。
 
 
 ・したがって、実は当事者間に取り決めがあったことや、
  反対の事実が判明した場合には推定は覆され、
  事実に基づいて判断される。
 
 
  「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」
   ↓
  反証がなければ嫡出子とされる。夫の子では無いという事実があれば、  
  嫡出否認の訴えで推定を覆すことが可能である。
 
 
 
2 「みなす」
 
 
 ・本来は性質が異なるものを、一定の法律関係においては、
  同一のものとして扱い、法的効果を生じさせること。
成年擬制(民753)は、そもそもは未成年だが成年として扱う、
みなし公務員は、そもそもは公務員ではないが、公務員として扱う、など。
 
 
 ・推定と異なり、取り決めが判明したり、事実が反証されても、
  認定が覆ることはない。
 
  
「この建物は、Aの所有するものであるとみなす。」
  ↓
 もはや確定。Bが、「私のものです」と証明した場合や、
 その他、事実がどうであれ、もはやAのものであるとして、
 法律上確定する。
 
 
 
         参考:  『条文の読み方』  法制執務用語研究会   有斐閣
 
 
 

 
 
 
『憲法はむずかしくない』   池上彰   ちくまプリマー新書  2005
 
 
 
去年2013年にタイトルを変更した改訂新版が出てしまった。
ずっと読んでみたかった本書だが、
大型古書店で投げ売りされていたのでさっそく購入してみた。
 
まず第1章だが、イラクの無政府状態を例に
取るところから話を始めるというのは、
他には見られない筋立てだ。いい伏線になっている。
だがそれよりなにより、この第1章で真っ先に「立憲主義」を
説いていることに、ほっとさせられた。
この点を池上さんが重視しているかどうかが
私の最大の関心事だったからである。
この時点でこの本の印象は悪くないものになった。
 
 
第2章は、日本国憲法が制定された歴史的経過について。
このあたりの物語をまとめる手際のよさは、著者の十八番だろう。
過不足なく、とてもうまくまとまっている。
特に不満を指摘すべき点は見当たらない。
 
 
第3章は、足早にざっと条文に触れられていく。
ほんとにごくごく簡単な説明だが、条文を見たこともない人には
価値が大いにあるだろう。ただ、いくつか不満を上げるのであれば、
まず基本的人権に関しては、「公共の福祉」に対する立場が
ややあいまいである点が問題だ。これでは「公共の福祉」が
モラルや立法の問題ととられかねない。できれば
「内在的制約」について言及していただきたかった。
また統治機構については、72条の説明でロッキード事件を
例にしている点に疑問がある。憲法72条とロッキード事件との関係は
複雑微妙であり、代表例としてふさわしくないと思われる
(『判例百選Ⅱ』を参照)。
 
 
4章は、憲法第九条に関する歴史が、比較的詳しく紹介されている。
やはり歴史のまとめの記述はかなりうまいので一読の価値がある。
ただ、個人的意見としては、あまり9条に固執するのは疑問である。
憲法で重要なのは9条ばかりではないからだ。
 
 
最終章は、憲法改正議論について。9条を中心に、
参議院制度などその他の事がらについても、網羅的に説明されている。
非常に薄い本なのに、よくこれだけのことを詰め込んだというくらいに
様々な問題や意見を多数盛り込んでいる。
 
 
さて、この本のタイトルは「憲法はむずかしくない」であるが、
タイトルは間違いだったといわざるを得ない。
なにしろ著者は結論が出せず、著者の独自見解はほぼ一切
書かれていないのだ。それは著者らしい賢明な判断ではあり、
本書の良いところである。しかし、そうなるのはつまり、
やはり「憲法は難しい」ということなのである。
新版化に際してタイトルが変更されたのはもっともであろう。
 
 

 
 

法律用語の基礎 13

 
〈 「科する」 「課する」  〉
 
 
1 「科する」
 
 ・刑罰,過料,懲罰といった、制裁をかける場合に用いる。
 ・刑法など、より具体的なときは、「処する」が使われる。
 
 
2 「課する」
 
 ・制裁ではなく、租税や義務などの負担をかける場合に用いる
 ・過怠金など、制裁の意味合いを含むものに「課する」を使う場合もある
 
 
 
3 どちらでもない場合
 
 
 ・手数料など、強制力を伴わない場合は、「科する」も「課する」も用いず、
「徴収」や「納付」などと表現する
 
 
 ・交通違反反則金制度については、「科する」や「課する」という表現は
  使われていない。あくまで任意であって強制ではないという
  制度趣旨が用語に表れている例である(最判S57.7.15)。
 
 
 
         参考:  『条文の読み方』  法制執務用語研究会   有斐閣
 
 
 

 
 
 
 
『リーガルベイシス民法入門』  道垣内弘人  日本経済新聞出版社  2014  
 
 
 
日本経済新聞出版社の「ゼミナール」シリーズであるが、
その法学部門が独立され、「リーガルベイシス」シリーズとなるらしい。
その第一弾がこの『リーガルベイシス民法入門』。
従来の『ゼミナール民法入門』(初版2002,第42008
からの変更はほぼゼロで、まるっきり同じものである。
以下で指摘するが、せっかくの機会なのだから改革をしてほしかった、
少し残念である。
 
 
本書は民法財産法(総則,物権,債権)の入門書。
文章のわかりやすさには定評がある。雑誌書評でその説明の
うまさに対する学者仲間からの称賛の声を目にしたこともある。
日経が出していることからわかるように、ビジネス法務の
最先端にも少し触れている。したがって、法学部生はもとより、
むしろ経済学部生,ビジネスマンのテキストとして適しているのだろう。
債権法大改正も重点的に説明されているらしい。
 
 
ただしかし、本としてはかなり不満な面も大きい。
 
 
①通読するには意外と骨が折れる。
 
いかつい見た目からもわかるように、通勤通学時や寝っころがって
安易に読み流せる本とはいかない。入門というわりにはそれなりの
意気込みが必要だ。債権法大改正についてビジネスマンに紹介するだけなら、
350ページくらいに収めたほうがよかったのではないかと思う。
 
 
②家族法が含まれていない。
 
親族法と相続法が含まれていない。したがって
法学部新入生や資格試験受験生は注意がいるし、利用しにくい。
どうせ大きい本なら、家族法も入れてもっと厚くしてしまったほうが
逆にいいのかもしれない。
 
 
③上下巻で2冊にするべきかも。
 
財産法のテキストしてはどうか。
教養として一通り学んだというためには、
民法総則200ページ,物権法300ページ,
債権総論200ページ,債権各論300ページ,
欲しいところだろう。となると、「民法総則・物権法」で上巻、
「債権法」で下巻とするのがいいと思う。
さらに家族法も加えて、上巻「民法総則・物権法」,中巻「債権法」,
下巻「親族・相続」の三部作でもいいと思う。
 
 
 
このように、突っ込みどころは満載である。
とはいえ、著者は新進気鋭の東京大学教授。
ぱっと買ってざっと読み通す気概のある人にはいいのではないか。
 
 

 
 
 
 

法律用語の基礎 12

 
 
〈 「ただし」 「この場合において」  〉
 
 
1 序
 
 ・一つの項や号は、一文で書き表すのが通常だが、意味が連続するため
  二文にわたる場合にこの用語を使う改行はしない
 
2 「この場合において」
 
 ・最初の文章を「前段」、後の文章を「後段」という。
 
 ①前段の内容に対する補足的,付加的な規定を行う
 
  「Aは、期間を30日以内に限り延長ができる。この場合において、
   Aは、対象者に対し、延長後の期間等を通知しなければならない。」
 
 
 ②他の規定を適用や準用するときの読み替え
 
  「X条の規定は、前項の者について準用する。この場合において、
   X条中の「甲」とあるのは、「乙」と読み替えるものとする。」
 
 
3 「ただし」
 
 ・最初の文章を「本文」、ただしの後の文章を「ただし書」という
 
 ①本文に対する例外や制限を規定する。
 
  「甲をしてはならない。ただし、乙をする場合にはこの限りではない。」
   ↓
   乙のときは例外的に甲をしてもよい。文末には「この限りではない」
(制限を受けないの意)という用語が多く使われる。 
 
 
 ②本文の一部の内容について追加的,注意的な規定をする。
 
  「Aは、次の請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号の
   請求をするときには、費用を支払わなければならない。」
   ↓
  「この場合において」に近いが、一部を指定して否定する意味合いがある。
   具体例として、労働組合法12項を参照。
 
 
 
         参考:  『条文の読み方』  法制執務用語研究会   有斐閣
 

 
 
 

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