1票の格差:09年衆院選訴訟 最高裁「違憲状態」 3倍未満、初判断
議員1人当たりの有権者数を比較した小選挙区間の「1票の格差」が最大2・30倍だった09年8月の衆院選を巡り、全国の有権者が「法の下の平等を保障した憲法に反する」として選挙無効を求めた9件の訴訟の判決で、最高裁大法廷は23日、小選挙区の区割りを「違憲状態」と判断した。一方、選挙は有効として原告側の請求を棄却した。格差3倍未満の衆院選を違憲状態とした最高裁判決は初めて。国会は大幅な区割りの見直しを求められる。
最高裁は中選挙区制時代に2回の違憲判決と2回の違憲状態判決を言い渡したが、格差3倍未満の選挙については合憲判断をしてきた。94年の小選挙区比例代表並立制導入後の3回の判決でも、格差2・17〜2・47倍の選挙を合憲としている。
23日の大法廷は区割り基準の「1人別枠方式」について「小選挙区制導入時は激変緩和措置として合理性があったが、新制度初の衆院選から10年が経過しており、合理性は失われた」と判断。「2・30倍の格差の主要因は1人別枠方式にある」と述べ「1人別枠方式と、これに基づく区割りは投票価値の平等に反する状態に至っていた」と指摘した。
一方で、07年大法廷判決が1人別枠方式を合憲としたことなどから「合理的期間内に是正されなかったとは言えず、違憲とまでは言えない」と述べて選挙を有効と結論付け、1人別枠方式廃止などの立法措置を講じるよう国会に求めた。
判決は15人の裁判官中12人の多数意見。1人は合憲、2人は違憲との反対意見だった。
内閣府の衆院議員選挙区画定審議会は10年に1度の区割り見直しに着手しているが、1人別枠方式に基づかずに作業を進めるとみられる。【伊藤一郎】
2011年3月24日 毎日新聞
「一票の格差」訴訟、大法廷判決の要旨
09年衆院選の「一票の格差」をめぐる最高裁大法廷判決の理由の要旨は次の通り。
「1人別枠方式」は、人口の少ない県に住む国民の意思も十分に国政に反映させることができることが目的と説明されている。しかし、国会議員は全国民を代表して国政に関与することが要請されており、地域性の問題のために投票価値の不平等を生じさせる合理性があるとは言い難い。1人別枠方式は、新しい選挙制度を導入するにあたり、この点への配慮なくしては制度改革が困難だった状況で採られた方策と考えられる。
09年選挙では、小選挙区制度導入から既に10年以上が経過し、制度の安定した運用がされ、1人別枠方式の合理性は失われていた。加えて、選挙区間の投票価値の格差が最大で2.30倍に達し、不合理性が投票価値の格差として現れていた。1人別枠方式と、それに基づいて決められた選挙区割りは、憲法の要求に反する状態に至っていた。
しかしながら、最高裁大法廷が05年衆院選について違憲でないと判断していたことなどを考慮すると、合理的期間内に是正がされなかったということはできず、違憲とはいえない。できるだけ速やかに1人別枠方式を廃止し、投票価値の平等の要請にかなう立法措置を講ずる必要がある。
【古田佑紀裁判官の意見】1人別枠方式は国会の裁量の範囲内の問題で、選挙区割りが憲法の要求に反していたとはいえない。
【田原睦夫裁判官の反対意見】1人別枠方式に対する疑問は以前から指摘され、合理的是正期間が過ぎている。選挙区割りは違憲だ。
【宮川光治裁判官の反対意見】1人別枠方式の合理性は失われ、選挙区割りは憲法に違反する。国会が立法措置を講じない場合は、将来の訴訟で選挙を無効とすることがあり得ることを付言すべきだ。
2011年3月23日 朝日新聞
以前にも言ったとおり、
「一票の格差」問題は、
結論よりも内容が大事です。
すでにご存知のとおり、この判決は、
「一人別枠方式」を否定した点に
大きい意味があります。
また、記事によれば、
「地域性の問題のために投票価値の不平等を
生じさせる合理性があるとは言い難い」
とまでいっているようで、これはたしかに
歴史的意義があるでしょう。
衆院選訴訟に関しては、原告側の
実質勝訴と考えていいと思います。
|