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〈 「推定する」 「みなす」 〉
1 「推定する」
・事実が不明の場合に、法令が一応の判断をし、法的効果を生じさせること。
・したがって、実は当事者間に取り決めがあったことや、
反対の事実が判明した場合には推定は覆され、
事実に基づいて判断される。
「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」
↓
反証がなければ嫡出子とされる。夫の子では無いという事実があれば、
嫡出否認の訴えで推定を覆すことが可能である。
2 「みなす」
・本来は性質が異なるものを、一定の法律関係においては、
同一のものとして扱い、法的効果を生じさせること。
成年擬制(民753)は、そもそもは未成年だが成年として扱う、
みなし公務員は、そもそもは公務員ではないが、公務員として扱う、など。
・推定と異なり、取り決めが判明したり、事実が反証されても、
認定が覆ることはない。
「この建物は、Aの所有するものであるとみなす。」
↓
もはや確定。Bが、「私のものです」と証明した場合や、
その他、事実がどうであれ、もはやAのものであるとして、
法律上確定する。
参考: 『条文の読み方』 法制執務用語研究会 有斐閣
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法律用語の解説
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〈 「科する」 「課する」 〉
1 「科する」
・刑罰,過料,懲罰といった、制裁をかける場合に用いる。
・刑法など、より具体的なときは、「処する」が使われる。
2 「課する」
・制裁ではなく、租税や義務などの負担をかける場合に用いる。
・過怠金など、制裁の意味合いを含むものに「課する」を使う場合もある。
3 どちらでもない場合
・手数料など、強制力を伴わない場合は、「科する」も「課する」も用いず、
「徴収」や「納付」などと表現する
・交通違反反則金制度については、「科する」や「課する」という表現は
使われていない。あくまで任意であって強制ではないという
制度趣旨が用語に表れている例である(最判S57.7.15)。
参考: 『条文の読み方』 法制執務用語研究会 有斐閣
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〈 「ただし」 「この場合において」 〉
1 序
・一つの項や号は、一文で書き表すのが通常だが、意味が連続するため
二文にわたる場合にこの用語を使う。改行はしない。
2 「この場合において」
・最初の文章を「前段」、後の文章を「後段」という。
①前段の内容に対する補足的,付加的な規定を行う。
「Aは、期間を30日以内に限り延長ができる。この場合において、」
Aは、対象者に対し、延長後の期間等を通知しなければならない。」
②他の規定を適用や準用するときの読み替え
「X条の規定は、前項の者について準用する。この場合において、
X条中の「甲」とあるのは、「乙」と読み替えるものとする。」
3 「ただし」
・最初の文章を「本文」、ただしの後の文章を「ただし書」という。
①本文に対する例外や制限を規定する。
「甲をしてはならない。ただし、乙をする場合にはこの限りではない。」
↓
乙のときは例外的に甲をしてもよい。文末には「この限りではない」
(制限を受けないの意)という用語が多く使われる。
②本文の一部の内容について追加的,注意的な規定をする。
「Aは、次の請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号の
請求をするときには、費用を支払わなければならない。」
↓
「この場合において」に近いが、一部を指定して否定する意味合いがある。
具体例として、労働組合法1条2項を参照。
参考: 『条文の読み方』 法制執務用語研究会 有斐閣
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〈 「この限りでない」 「妨げない」 〉
1 「この限りではない」
・条文の末尾、多くは、ただし書きに書かれる。
・前文の全部又は一部の適用を、特定の場合に除外するという意味。
「歩行者は、道路を横断してはならない。ただし、
横断歩道によって道路を横断するときはこの限りではない。」
・そのときどうするかは、別に規定が置かれることも多い。
「1項 人事訴訟で、成年後見人は、成年被後見人のために訴訟を
行うことができる。ただし、相手方がその成年後見人のときはこの限りではない。
2項 ただし書きの場合には、成年後見監督人が成年被後見人のために
訴訟を行うことができる。」
2 「妨げない(妨げるものではない)」
・その規定が設けられても、別の規定の適用が排除される
ものではないということ。
・排除されないというだけで、必ず適用しなければいけないわけではない。
民法545条3項
「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。」
→契約解除をしても、損害賠償請求は別にできるということ。
とはいえ、解除したからといって必ず損害賠償請求を
しなければならないわけではない。
参考: 『条文の読み方』 法制執務用語研究会 有斐閣
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〈 「…してはならない」 「…することができない」 〉
1 「…してはならない」
・一定の行為の禁止。逆にいえば不作為の義務を課すこと。
・義務なので、罰則などの制裁が定められることが多い。
・違反した私法上の法律行為は、原則として、無効とならない。
例 薬事法の「販売してはならない」に違反した。
→ 薬品の売買契約は有効だが、罰則がある。
2 「…することができない」
・ある行為をすることについて、権利や能力がないということ
・したがって、違反した行為は無効や取消しの対象となる。
・罰則などの制裁が定められることは少ない。
例 「…16歳にならなければ、婚姻をすることができない」(民法731条)
→ 受理されない。受理されても取消事由となるが、罰則などはない。
参考: 『条文の読み方』 法制執務用語研究会 有斐閣
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