私は、「強制起訴」制度は、やめたほうがいいと思っている。
1 「疑わしくは無罪」の精神にそぐわない。
たしかに検察官の判断は絶対ではありえない。
とはいえ、 「疑わしい」と判断していることに違いない。
そうなると起訴しないのはおかしくないと思う。
2 刑事裁判は刑罰を決定する場であり。真相を究明する場ではない。
社会問題を個人の責任に転嫁すべきではないと思う。
3 過失は具体的に予見できる可能性がないと不十分だと思う。
「立場的に予想すべきだ」とか「なんとなくわかるだろう」
では広すぎる。
4 検察がスルーする場合は、多くは量刑が少ないものが多い。
「禁錮1年執行猶予3年」のために、6年も裁判にかけるのは負担が重い。
もう一件の有罪事件も、「人を突き飛ばしたので、科料9千円」である。
5 民事裁判で責任追及はできるし、裁判は行われる。
また多くは、社会的非難も受けるはずだし、自責の念もあろう。
「問題を公にする」という目的ならば方法は別に探した方がいいと思う。
それに加えて、何が何でも刑事罰という合理的な必要性は乏しい。
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刑事司法
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私は、法定刑を思い切って上げ、要件をざっくりと拡充すれば、
このような小難しい立法は必要なかったのではないかと思っている。
果たしてこの法律が遺族たちの不満感を本当にいくらかでも
軽減できるのか、はなはだ疑問だ。
ただ一方で、一挙に特別法として独立したので、
刑法本則としてはシェイプアップされたといえるのかもしれない。
調整の改正もしやすくなるのではないか。
「刑法各論」はこの法律をどう扱うのだろうか。
各論の一部になるのか、特別刑法として各論から分離して
議論されるのか、今後が注目される。
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各方面から出ていた批判はもっともで、
破棄もやむを得ないだろう。
だが、一審の市民の声に、
高裁が専門家として反論する構図は
無駄ではないのかもしれない。
裁判員裁判にも一定の意味があると
いえるようにも思う。
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もちろん、国民によって検察の起訴を監視し、再考を促すという
検察審査会の役割が、たいへん重要であることは疑いありません。
しかし、「強制起訴」までいってしまうと、裁判員制度と同じか、
それ以上に、冒険的,時に危険な制度だと私は思います。
検察官が「証拠がそろわない」といっているのに、
これで裁判所が「有罪」にするとしたら、
「疑わしくは被告人の利益に」の原則に
果たして適合するのでしょうか。
“情”によった裁判になる危険があります。
また、訴追は弁護士さんがするわけですが、
国民を刑事裁判から救済することが使命である弁護士さんが、
こういう微妙な事件で、捜索や逮捕まで行使して、
有罪を追求するというのは、すごい事態だと思います。
弁護士さんの負担も相当大きいものになるそうです。
まあ確かに、海外では珍しい制度ではないそうですし、
起訴理由も詳細で一定の説得力は認められます。
そんなに目くじらを立てることはないのかもしれません。
しかし、「予見できなくても、予見すべきだったならば
処罰すべきだ」といった、疑問のある発言が、
やはり審査会を務めた中の一部の人には根強くあるようです
(予見可能性と予見義務は表裏一体で両方必要です。
そうでないと、他人はいくらでも後から「べきだった」と
言うことができるからです)。
また、「有罪か無罪かはともかく、真相を解明したい」
ともよく言われますが、「真相解明のために人を起訴する」
というのは、権力乱用の疑いがあると思います。
やはり今までの刑事裁判制度の理念からすると
異質という感じは否めません。
この制度について、現時点で見聞きする情報では、
強い疑問が尽きません。裁判員制度のように、
その存続/廃止につき、議論が深まることを願います。
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強制起訴については、
「証拠不十分で不起訴」と「起訴猶予」の場合は
分けて考えるべきだという見解がある。
「証拠不十分で不起訴」の場合には、
法律家である検察官が犯罪ではないと言っているのだから、
疑わしきは被告人の利益の原則からすれば、
強制起訴にかけることには大きな疑問が残ることになる。
したがって、「証拠不十分で不起訴」の場合は
強制起訴の対象から外すべきだということになる。
一方、今回のような「起訴猶予」の場合には、
あまり問題がないとも考えられてきた。
しかし、今回の事件をみると、
「起訴猶予」の場合も強制起訴には問題が
あるのかもしれないと感じる。
何しろ被告人の行為は
「勢い余って顔を押し払った」のみである。
傷害罪でもなければ脅迫罪でもなく、
公務員の特別な罪でもない。
判決では、「20万円の罰金は重い。9千円の科料で十分。」
とされた。はたしてこれは刑事裁判でわざわざ
断罪すべきことなのだろうか。
もちろん、被害者が屈辱を受けたということなら、
民事訴訟を提起するのもいいだろう。
議会や選挙で政治責任を追及することも当然ありえる。
しかし、政治家に「犯罪者のレッテルを貼る」ためだけに
強制起訴があるようなら、某国会議員の事件と同様、
やはりこれは問題だと思わずにはいられない。
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