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「一票の格差」が
最大で4.86倍だった
07年夏の参院選をめぐり、
首都圏の弁護士らが選挙無効を求めた
二つの訴訟の上告審判決で、
最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允(ひろのぶ)長官)は30日、
「定数配分規定が憲法違反に至っていたとはいえない」
との判断を示し、原告側の敗訴とした。
一方で「投票価値の平等の観点から大きな不平等があった」とし、
格差縮小のためには「選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と指摘。
国会が速やかに適切な検討をするよう求めた。
15人の裁判官中、10人がこの多数意見に賛成し、
残りの5人は「違憲」とする反対意見を述べた。
最高裁が、参院の一票の格差を是正するためには、
選挙制度そのものの見直しが必要と言及したのは初めて。
国会が06年6月に「4増4減」の定数是正を実施してから
初めて行われた参院選をめぐり、
これまでにない厳しい表現で抜本的改正を求めた形だ。
定数訴訟はこれまでの判例で
(1)著しい不平等があり、違憲状態になっている
(2)その違憲状態が相当期間続いている――ことが、
定数配分規定を「違憲」とする条件とされている。
多数意見は、4増4減で格差が縮小していることや、
選挙後も格差問題について検討の動きがあると指摘。
選挙制度の仕組みを大きく変更するのには時間がかかることも踏まえ、
「更に改正しなかったことは国会の裁量権を超えているとはいえない」
と判断し、(1)には言及しないまま、
(2)に該当しないとして「違憲ではない」との結論を出した。
そのうえで「投票価値の観点からは大きな不平等があり、
格差縮小が求められる状態だった」と認定。
「現行制度の仕組みを維持する限り、選挙区の定数を振り替える
措置だけでは格差の大幅な縮小を図ることは困難で、
行うとすれば選挙制度自体の仕組みの見直しが必要だ」とし、
国会が投票価値の平等の重要性を十分に踏まえ、
適切に検討するよう求めた。
竹崎長官は大法廷で判決理由の骨子を読み上げた。
民事・行政訴訟の判決では主文だけを読むことが多く、
最高裁の法廷で理由が告げられたのは極めて異例だ。
朝日新聞 2009年10月1日1面
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最高裁として、妥当な結論だと思います。
(個別意見を含む、15人の判断を総体として見て。)
原告団も「実質的な勝訴」として喜びの声を上げたそうです。
選挙自体を無効とするのは現実的ではありません。
個別の訴訟を解決するのが仕事の司法としては、
これが最大級の意思表明ということができると思います。
なお、違憲とする4意見も、「宣言」(事情判決の法理)に留まり、
選挙は無効としないという立場をとっています。(ただ、
この「宣言」は明文にない処理であり、問題もあります。)
したがって、合憲裁判官も違憲裁判官も、「理屈では違憲だけど、
選挙を無効にするわけにはいかない。声明を出すより他に手はない。」
という本音は共通していることになります。
もちろん、政府と国会は、次の参院選までに、
すみやかに改正を実行する必要があるでしょう。
一部には、これをして、安易に「不当判決」という方が
いるようですが、それは酷な話です。
司法はあくまで、原告個人のために、法の運用・調整をする機関であり、
立法に代替して、国のあり方を形作る機関ではないのです。
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