カンカンとガクガクの部屋

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北方領土問題について勉強したいと常々思っているのだが、
日々の勤めが忙しいのもあって、なかなか読書ができない。
特に、「フィフティーフィフティー」論・「2島+α返還」論
という興味をそそる見解の主唱者であるとされる
岩下明裕・北海道大学教授の本はぜひ読んでみたいと
思っていたがなかなか手が回らずにいた。
 
 
そんな折、2013730日付の朝日新聞に、
岩下教授のインタビューが掲載されたようなので、
さっそく読んでみた。率直な感想でいうと、
私が期待しすぎていただけかもしれないが、
大きく予想を裏切る提言だった。
 
 
短いインタビューなのでよくわからない点も多いが、
まず「三原則」があげられている。
 
 ①歴史問題とは切り離すべし。
 
 ②「フィフティーフィフティー」方式の採用
 
 ③地元の利益を最大限尊重すべし。
 
このうち①は難しいところだが、③は当然そうあるべきだし、
②も今までどおり興味をひかれる。その上で、
具体案を2つ提案しているのだが、これが意表を突く、
驚きの案なのである(別に驚かないという人もいるでしょうが)。
 
 A案  歯舞 + 色丹 + 泊港の周辺海域
 
 B案  歯舞 + 国後島南西半分
 
 
これは私なりに一案にまとめると、
「土地領有権で確実なのは歯舞一島のみ。あとは周辺域の
利用権確保に注力すべし」ということになりそうである。
いわば「一島+α案」ないし「二島返還の派生案」なのである。
 
 
私の素人的な認識ではあるが、
「フィフティーフィフティー」というからには、
 
 ① 面積等分 (三島+択捉島南西部の返還)
 
 ② 三島返還 (歯舞+色丹+国後の返還)
 
 ③ 歯舞と色丹の返還 + 国後と択捉の共同管理
      
 
でなければ、“五分五分”と称するのはきついのではないだろうか?
岩下教授の見解は、「具体的な権益の面で交渉しよう」という
点はともかくとして、あくまで「土地領有権」ということに
限っていえば、「日本は勝てません。ロシアの二島返還案を
基本的に飲むしかない。」というのとほぼ同じように聞こえる。
 
 
「フィフティーフィフティー」は実は建て前であり、
「できるかぎり好条件で二島を引渡してもらう」ことしか、
現実的には立論不可能だということであろうか。
なんともドライというか、さめた見解であり、
岩下教授への期待と興味は一気になくなりました。
 
 
 
 
 
 
AERA 2013722日号に、
「超・護憲VS.改憲 リアル憲法論」なる鼎談が掲載された。
発言者は、評論家の東浩紀氏、東京大学准教授の林知更氏、
首都大学東京准教授の木村草太氏の三人。
 
ところがこれが、結局、超克しているどころか、
実際は評論家の東氏と憲法学者である林氏・木村氏による
改憲VS護憲バトルに収束しているのである。
短い記事だが、わかりやすい図式で面白かった。
 
 
若い3人が共通している認識は、
 
 「保守派が改憲を、革新派が護憲を主張する図式は、ちょっと変だ。」
 「幅広く議論を重ねた結果、改正がされることは、ありえないことではない。」
 「9条ばかり話題になるが、9条はそれほど優先順位は高くない。」
 
という点。ところが、3人の共通認識はここまで。
あとは、改憲主義評論家と生粋憲法学者による、二派の問答である。
 
 
東氏の主張を、超大雑把にいうと、
 
 「民主主義を重視。民意であれば天皇親政化もありえなくはない。」
 
96条改正に賛成。日本国憲法を国民投票にかけてはどうか。」 
 
 「一義的に意味が通らない条文を変えなければ、論理破綻を起こす。」
 
 「人権条項はともかく、統治機構はどんどん改正すべき。」
 
 「戦後の輸入憲法は刷新して、憲法を国民の手に取り戻すべき。」
 
 
これに対して、他二者は、大雑把、次のように反論する。
 
 「民主主義には危険性もある。その危険性を避けるのも憲法の役割。」
 
「二者択一の国民投票を、全国民の意思と常にみなせるかは問題。」
 
 「意味が不明確でも解釈の努力で補完は十分可能である。」
 
「変えることで取り返しがつかない失敗をするリスクを考えるべき。」
 
 「違憲審査制や立法は人権に深くかかわっており、
統治機構だからたびたび変えていいとはいえない。」
 
 「押し付け憲法論というような、外枠の話とは切り離して考えるべき。
 そういう感情論が先行した中で、冷静で合理的な議論ができるか疑問。」
 
 
(繰り返すが、以上は乱暴な要約なので、正確には雑誌本文を参照のこと。)
 
 
新しい憲法論議と題してはいるが、見事に割れた。
それもほぼ今までどおり。
東氏は自分を「リベラルな改憲派」と称しているが、
「真正のリベラル」とは相容れるものではないことが
露呈してしまった形だ。「新しい議論をしよう」といっても、
結局、対立軸というものはそうそう変わらないのかもしれない。
哲学が何千年も同じテーマで議論しているのと同じで。
 
 
私は、「条文をわかりやすくしたい」という点のみ東氏に共感する。
他は、十中八九、林・木村准教授の言っていることの方が正しいと思う。
 
 
 
 
 
『書斎の窓』20125月号(有斐閣)掲載、
「法人税だって法律である!」(三木義一・青山学院大学教授)
を読んだ。三木教授のエッセイはいつも面白い。
 
税法学の社会的な地位から、
自著(『よくわかる法人税法入門』等)の裏話、
税法学のあるべき将来性についてまで、
自由闊達に語られている。
 
その中で、今回、興味深かったのは次の一節である。
 
 
 
 民法もようやく本格的改正作業に着手されたようだ。コンセプトは国民にわかりやすい法律にすることにあるらしい。とても良いことだ。税法もそれを目指してきた。ところが、その改正作業をしている人が税法についてトンデモ発言をしている。
 
(中略)
 
 どうもこの先生は租税法律主義も知らないらしい。納税者が自己の所有権行使の一部として税として拠出することを代表者を通じて決めたのが税法であり、税法の内容が納税者にわかりやすいものでなければならないのは当然の前提なのである。さらに言えば、そもそも民法は裁判規範だが、税法は行為規範であることは法律学の初歩である。すべての市民は所得があれば申告を義務付けられており、しかも税額まで計算する以上すべての控除項目等を正確に理解しなければ申告はできない。税法の方が裁判になったときに使う民法よりもわかりやすく、みんなが間違えないようにしなければならないはずである。ところが、この方によれば、税法はプロに向けて書けばよく、しかも「もっとわかりやすく書けという声は聞きません」とまで断言されてしまっている。プロの税理士たちも毎年のようにもっとわかりやすい税法を求めて建議書を出していることも知られていないようだ。
 
 
 
 
さて、三木教授が誰に対して怒っているのかは
原文にて確認してください。
 
誰が言ったかにかかわらず、「民法は親しみやすくわかりやすく、
一方で、税法は専門的でわかりにくくても仕方がない」という言説は、
一般的にはあまり疑問を抱かれることなく通用してしまうと思います。
 
しかし、そんな「常識」も、疑ってかかってみると、
いとも簡単にボロが出てしまう(論理必然ではない)と
いうことはよくあることです。
この批判も、そんな常識の一つを明快に喝破するものであり、
めちゃくちゃ気持ちいいと思いました。
こういうエッセイは大好きです。
 
 
 
なお、一方で、前半にややすっきりしない記述も
ありましたので引用します。
私が疑問を感じたのは次の一節です。
 
 
 
 私がある学者の集会で自己紹介をしたとき、「私の大学には行政法のA先生がいることからおわかりいただけるように、私は税法を専攻しております」と述べたら、この挨拶がけしからんと偉い先生から文句がついた。びっくりして、なぜですかと問うと「お前の挨拶は自分の大学にはA先生がいるために、行政法が担当できないという失礼な挨拶だ」というのである。一般の先生方からすると行政法の方が格上で、税法担当者は本当は行政法というメジャーな法律を担当したいのだ、と信じ込まれていたようである。
 
 
 
 
この部分なのですが、私には何だか意味がわかりません。
 
この三木先生の挨拶を聞いた場合、
“ある偉い先生”のように解釈するのは論理必然ではないにせよ、
ありうる自然な受け取り方だと思います。
 
この“ある偉い先生”の指摘が的外れだというなら、
なぜ「私の大学には行政法のA先生がいることから
おわかりいただけるように」などと言わなければならないのでしょうか。
前置く必要がないと思います。
 
どうでしょう。
 
 
ま、ものを書くというのはいろいろと難しいものですね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
月刊『世界』20116月号に、
宍戸常寿准教授(憲法学)の論稿が掲載されていました。 
 
先日読んだので、内容を紹介したいと思います。
私なりに印象的な記述を要約しました。
引用ではありませんし、誤読・誤解はご容赦願いたい。
 
 
 
 
「最高裁判決で拓かれた「一票の格差」の新局面」
 
 ・最高裁平成23323日大法廷判決は、
  衆議院小選挙区制の下でのはじめての違憲状態判決である。
 
 ・本判決では、最高裁判事15人のうち14人が、
  本件の衆議院議員総選挙の格差が許容されないとの立場を
  明らかにしており、確かに「最高裁は変わった」と評価できる。
 
 
1 一票の格差と従来の判例法理
 
 ・一票の格差とは、選挙区ごとの人口数または
  有権者数の不均衡によって、選挙人一人当たりの
  投票価値に不平等が生じることである。
 
 ・日本では、国会議員の選挙について、
  他の立憲民主主義諸国ではありえないほどの格差が、
  長年にわたり続いている。 
 
 ・格差是正には地方選出議員の痛みを伴うため、
  国会は自発的な改革には消極的である。
 
 ・最高裁は、昭和51414日大法廷判決以来、
  国会の裁量行為の合理性を後追いで判断するのみで、
  独自の数値基準を導く論理を持っていなかった。
  そのため、国会が多少の是正をすれば違憲判断は
  控えるという態度に自らを追い込んだ。
  
 ・(70年代当時)1対2という明確な数値基準によって、
  国会の裁量を枠付けるべきというのが
  憲法学内の通説であった。 
 
 
2 国会のコントロールの強化
 
 ・1990年、政府の選挙制度審議会は一票の格差を
  1対2未満とする基本原則を打ち出している。
  しかし、同年に、与党から「一人別枠方式」も提唱された。
  この双方が1994年に法制化されることになった。 
 
 ・この「一人別枠方式」を、最高裁平成111110
  大法廷判決は、過疎化現象の考慮を明言して、
  合理性を承認した。(ただし、すでに5人の判事が反対している。)
 
 ・しかし、最高裁平成16114日大法廷判決では、
  合憲としつつも、多数派判事内から、考慮要素を
  見直すべきという意見が提起され始めた。
 
 ・さらに最高裁は、平成18104日大法廷判決,
  平成21930日大法廷判決により、
  選挙制度を見直すべきと強く要求するに至っている。
 
 
3 核心は一人別枠方式の否定
 
 ・今回の判決で最高裁は、
  ①考えられる非人口的要素を列挙することをせず、
  ②「とうてい考えられない程度」という表現を止め、
   端的に合理的でなければならないとした。 
 
 ・そして、現時点に至って、「一人別枠方式」さらには
  一票の格差は違憲状態にあるという結論となった。
 
 ・法3条の区割り基準が不可分一体のものではないとして、
  「1対2原則」の箇所は違憲ではないが、
  「一人別枠方式」の箇所は違憲であるという
  部分違憲の手法を用いている(国籍法事件に関する
  最高裁平成2064日大法廷判決参照。
  その手法に関して同様の批判が起こりうる)。
 
 ・そもそも、一人別枠方式は人口の少ない県が
  常に優遇されるわけではなく、
  過疎地対策としても有効ではない。
 
 ・また、さまざまな政策課題がある中で、なぜ、
  「過疎地対策」だけが優遇されるのかも説明がつかない。
  さらに「過疎」が優遇されるということは逆に
  「過密」が軽視されるということであり、これも問題である。
 
 ・そもそも、「1対2原則」だけでも不十分であり、
  衆議院に関しては、全選挙区間の人口を可能な限り
  近づけることが求められる。
 
 
 
 
 
 社説:論調観測 震災と憲法 緊急時の国の権限とは

 憲法記念日の社説は東日本大震災と憲法について論じたものが多かった。「緊急時にこそ国が『生命と最低限度の生活』を支えるのが憲法の要請」「政府のより強力な被災者支援が急務だ」(毎日)という問題意識はほぼ同じだが、具体的な主張の内容はかなり違う。
 「憲法を含め、国家緊急事態に関する不備の是正が喫緊の課題」という産経は「非常時に頼りになるのは自衛隊などだ」として、自衛隊を憲法上「国民の軍隊」として処遇することを訴えた。また、政府が災害対策基本法で定められた「災害緊急事態」の布告を見送ったことについても、「この布告により、生活必需物資の配給や価格の決定などが行われれば、今回の震災で問題になったガソリンなどの流通の混乱は是正できたろう」と批判した。
 読売も「現行憲法が、緊急事態への対処を規定する条文を欠いていること」を問題とする。ただ「近い将来の憲法改正が容易ではないことを考えれば、『緊急事態基本法』を制定してはどうか」と提案した。経済秩序の維持や公共の福祉確保のために、政府が国民の権利を一時的に制約できるようにするものという。また、「災害対策基本法では、国が強制力を持った措置は取りにくく、今回のように広域で甚大な震災には、十分対応できないとの指摘が出ている」と産経とは違う見解を示した。
 一方、朝日は、被災者の私有財産の国による保障、再興や防災強化の観点からの私有地利用制限などについて論じた上で、「公と私のぶつかりあいを、憲法改正で乗り越えてしまおうという議論も改めて出てきている。非常事態条項を新たに盛り込むべきだという自民党内などからの主張である」「同時多発テロ事件後の米国で見られたように権力へのチェック機能が失われる危険をはらむ。民主主義体制そのものを浸食しかねない」とけん制した。
 毎日も「憲法を改正して緊急事態の条項を入れるべきだとの意見もあるが、その前に現行法制と運用について議論する必要がある」と主張。衆参ねじれと与野党協力について触れ、「緊急課題を忘れたかのような行動では政治が国民から見放されてしまう」と警鐘を鳴らした。
 東京も「被災者らの生活再建は生存権の問題です。政府にはその権利を保障し実現する責任があります。復旧、復興対策のもたつきぶりをみると、関係者が責任を十分自覚しているとは思えません」と厳しく論じた。
【論説委員・野沢和弘】
                              2011年5月8日  毎日新聞  
                                   http://mainichi.jp/
 
 
 
 
震災に関して、憲法論として特に問題になる点は、
今のところ生じていないと思います。
 
各社の主張は、今回も、具体的にどこがどう問題なのか、
漠然としてよく伝わってきません。
 
「震災後」と「憲法記念日」がたまたま重なったため、
各社論説委員が無理やり関連づけたというところなのでしょう。
憲法記念日に、基本的な法的知識を踏まえた
建設的・具体的な議論が、マスメディアのレベルでは
今年もなかったのは残念ではあります。
 
なお、同日の毎日新聞で、加藤陽子・東京大学教授が、
これまた「震災」と「憲法(立憲主義)」を
からめてエッセイを書いているのですが、
やはりこじつけという感じは否めません。
強引な展開で、論旨不明確な内容となっている
ように思うのは私だけでしょうか。
 
 
 

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