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『アクチュアル刑法総論』 弘文堂 2005
『アクチュアル刑法各論』 弘文堂 2007
平均年齢約35歳(出版時)という新進気鋭の学者さんが
集まって書いた新しい基本テキスト。
皆さん、今後の学説をリードしていくであろう方々であり、
将来、司法試験の考査委員になる可能性も高い人たちです。
しかし、今なぜ基本書なのかということは大いに疑問です。
これだけ人が多いと、
各執筆者のよって立つ理論も様々です。
著者の協議によってバランスをとっているとはいえ、
特に一貫性が求められる基本書としては問題です。
また、最新の議論を多く取り込んでいるというのも、
基本書には必ずしもふさわしくない。
ハイレベルすぎる部分も多いと思います。
他の人の意見をいくつか聴いても、
一様に高い評価にもかかわらず、
その“本としての位置づけ”の判断に
躊躇している所があるようです。
結局のところ、へたに力のある人たちが共同で
基本書を書くということはリスキーだと言わざるをえません。
民法や刑訴法ならともかく、特に理論が錯綜した刑法では
なおさら難しいと思います。
共著で基本書を書くのであれば、
“先端に深入りせずに,初心者にもごくわかりやすく”
というコンセプトを徹底することがぜひとも必要です。
それができていないということであれば、やはり、
基本書としては定評が確立した単著を使うべきでしょう。
今、この面々で、共著なら、
論点解説書を書くべきだったと思います。
基本書ではなく、論点を取り上げて詳しく掘り下げる本であったなら、
文献としても、参考書としても、もっと注目されたことでしょう。
(小コンメンタールや辞書のような本というのでもよかった。)
ちょっと残念です。
なお、刑法を専攻している人などで、
どんなかたちであれ最先端の議論に触れたいという人ならば
読む価値は当然あるでしょうが、
それはあえて言うまでもないことです。
[ 総論執筆者 ]
伊藤渉 1965年生。東京大学法学部卒業。東洋大学法学部准教授
成瀬幸典 1968年生。東北大学法学部卒業。東北大学大学院法学研究科准教授
安田拓人 1970年生。京都大学法学部卒業。大阪大学大学院法学研究科准教授
鎮目征樹 1973年生。東京大学法学部卒業。学習院大学法学部准教授
小林憲太郎 1974年生。東京大学法学部卒業。立教大学法学部准教授
[ 各論執筆者 ]
伊藤渉 1965年生。東京大学法学部卒業。東洋大学法学部准教授
成瀬幸典 1968年生。東北大学法学部卒業。東北大学大学院法学研究科准教授
安田拓人 1970年生。京都大学法学部卒業。大阪大学大学院法学研究科准教授
鎮目征樹 1973年生。東京大学法学部卒業。学習院大学法学部准教授
島田聡一郎 1974年生。東京大学法学部卒業。上智大学法学部准教授
小林憲太郎 1974年生。東京大学法学部卒業。立教大学法学部准教授
齊藤彰子 1974年生。京都大学法学部卒業。名古屋大学大学院法学研究科准教授
http://www.koubundou.co.jp/books/pages/35334.html
http://www.koubundou.co.jp/books/pages/35394.html
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