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『ケースで学ぶ民事訴訟法(第2版)』 小林秀之  日本評論社  2008 


著者のお家芸である
ケーススタディを使った民事訴訟法テキストとしては、
もっともスタンダードで、改訂もまめになされている代表作。

ケースを使った具体的レクチャーによっているので、
抽象論に陥らずに比較的わかりやすく読み進めることができ、
やや死語になってきましたが、「民訴は眠素である」という
既成概念を打破しようとする意欲的な一冊とはいえます。

ただ、注意点もけっこうあります。

まず第1に、26章からなるあくまで論点解説書であり、
概説書ではありません。
内容は網羅的ではなく、
論点の選択に著者の志向が顕著に表れています。
入門書としては手続の流れもつかみにくく、
痒いところには手が届かない感じです。

第2に、各章は、
序論→学説→ケーススタディ→まとめ→判例演習室という
循環構造をとっているのですが、
なぜこのような細分化した構造にされたのかは疑問です。
話が寸断され、重複するので、読んでいて面倒です。
普通に一体的に解説した方がよかったと思います。
(もしくは2段構成くらい。)

第3に、判例演習室には解答や解説がありません。
判例と設問があるだけです。
したがって独学ではちょっと理解が難しいと思います。

以上からして、テキスト,判例集として、
あまり多くを期待しないほうがいいと思います。
あくまで参考書として読むべきかなあと思います。

この著者の本は数多くあり、
ここでもかなりの数を紹介しておいてなんですが、
あえておすすめできるものは
一冊もないのではないかと思います。


http://www.nippyo.co.jp/book/3290.html

『民事訴訟法』  山本弘・長谷部由起子・松下淳一  有斐閣  2009


有斐閣の教科書シリーズであるアルマから、
やっと民事訴訟法がでました。
新法成立以来10年、民事訴訟法のテキストは
ほとんど沈黙していたといっても過言では
ないように思います。

そのため、学習者は、
中野貞一郎ほか『新民事訴訟法講義』,
新堂幸司『新民事訴訟法』,
伊藤眞『民事訴訟法』,
高橋宏志『重点講義民事訴訟法』といった
各教授の重厚な体系書に直接取り組むか、
裁判所書記官専用の教本を使うかといったように、
かなり選択の幅を限られた
勉強をせざるをえなかったといえます。

「民訴は眠素」「とっつきづらい」と
揶揄されてきたのも、わかりやすく
標準的なテキストがないというのが
主な原因だったのではないでしょうか。


そこで、本書です。
第一線の学者先生3人の執筆であり、
内容はかなりのバランスと質をかねそろえています。
やや難しい表現は散見されますが、
サイズもコンパクトで、まず学生が
取り組むのにちょうどよいレベルでしょう。

本書の特長は、「複雑訴訟」や「訴訟要件」などを
解体して、あちこちの関連箇所で解説していることです。
手続の流れに沿って、関連する事項はまとめて
説明するというコンセプトが採用されています
(ただ、それならば「裁判権」や「国際裁判管轄」も
後に持っていくべきだったのではないかとは思います)。

なお、「略式訴訟」は省略されていて、
取り扱われていません。


これから民事訴訟法を学ぶ人には
かなりおすすめです。


ただ、著者も遅くなったと言っていますが、
もう5年早く出していただきたかったこと、
図解の類が一切ないこと、
ここまで来ると文庫版(B6版)にこだわらず、
同じページ数のA5版単行本でもよかったのでは
ないかという感じはちょっとします。




http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641123403

『担保物権法・民事執行法 (新論点講義シリーズ5)』  小林・山本  弘文堂  2008

弘文堂論点講義シリーズがリニューアルしたらしいです。

担保物権についてある程度すでに修得している方ならば、
参考書の一つとして読む価値もあるのでしょう。
また、山本教授の講義でこれを教科書として使う分にはスムーズに
勉強できるので問題はないのかもしれません。

しかし、一般にはクセが強すぎてとうていおすすめできません。

・まず、担保物権法と民事執行が分離してしまっているのが期待はずれです。
 クロスオーヴァーさせて同時に学んでこそ画期的といえるでしょう。

・担保物権法がB5版で270頁というサイズは、初学者にはやや重い。

・シリーズ考案者でもある小林教授の十八番である、
 “解説→論点→ケースの三段階構成 + ユニット制” が
 あまり功を奏していない。
 流れが悪いので普通に説明してほしいです。

・失礼ながら、小林教授はやや粗製濫造の感がありますし、
 山本教授も一般的な認知は低い。信頼感はそんなにありません。

民法と民事執行法を合体させるという試みは悪くないのですが、
ユニット制を排し、ページ数そのままにA5版にサイズダウンするなど、
もっと普通の本として出してほしかったです。

弘文堂「論点講義シリーズ」は、なかなか全範囲が出揃わないうえに、
内容も中途半端なものが多い。正直、迷走しているのではないでしょうか。
全体の建て直しをお願いしたいです。


http://www.koubundou.co.jp/books/pages/31232.html

『倒産法概説』  山本・中西・笠井・沖野・水元  弘文堂  2006

倒産法全般を適度な分量で解説した現在ほぼ唯一のテキストです。

しかも、著者のうちお2人は新司法試験の考査委員でもあります。
なので、大学または法科大学院で倒産法を履修する人は、
買うかどうかはともかく、ぜひともチェックすべき一冊といえます。

本書の特徴は、倒産関係の法を法律ごとに解説するのではなく、
すべてをまとめてとらえて、それを倒産実体法と倒産手続法に二分して
解説しているところです。

民法専攻の沖野教授が全体のほぼ半分に相当する
倒産実体法を一人で執筆しておられるのが印象的です。

実体法律関係と手続を分けてまとめるのは、理に適っているのでしょうが、
今まで他のテキストで勉強していた人は多少の違和感を覚えるかもしれません。

一方、形式面でいうと、
良くも悪くも一本調子の文章だけで構成されています。つまり、
1.図説や図表, 2.脚注や割注, 3.判例や具体例などの囲み記述、 
などは一切ありません。
なので、ケースブックやビジュアルな参考書を適宜参照する必要があると思います。
法科大学院生はケースブックを持っているでしょうが、独習者としては
ちょっと無愛想というか、もうひと工夫あってもよかったかなと思います。

長短ありますが、他の概説書というと、伊藤眞『破産法・民事再生法』
くらいしかない現状を考え合わせると、やや難はあっても今はこれが
スタンダードテキストと言わざるをえないかもしれません。
今後の発展改善と、対抗馬の出現を期待したいところです。


http://www.koubundou.co.jp/books/pages/35373.html

『新民事救済手続法』  井上治典・中島弘雅 編  法律文化社  2006

民事執行法と倒産法を中心に1冊で解説した教科書。

おそらく、教科書指定された人以外には
ほとんど知られていないのではないかと思いますが、

民事執行法と倒産法の入門書として、
とても優れたテキストだと思います。
内容も、学部・法科大学院で教養・入門として学ぶ人には
必要十分ではないでしょうか。

内容の内訳は、
第1部 民事救済手続総論(自主的救済やADR)  68ページ
第2部 民事保全・執行                 128ページ
第3部 倒産                        184ページ
第4部 担保権と救済手続               33ページ         
となっています。

ただ、技術的な分野であるにもかかわらず、
図説・図表の類がないのは残念です。
判例には百選の番号が付されているので、
当たり前ですが、百選と併用するのが効果的でしょう。


http://www.hou-bun.co.jp/index.html

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