猫瓶

8/20本日をもって、休止とさせていただきます<(_ _)> が、今日8/24みたいにうpすることも^^

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自由な住人として

GがBのいる国から充分に遠ざかると、Bの言葉はもう心に浮かんで来なかった。
GはBに言われたことなど少しも気にしてなかった。
Gは暗闇のただ中を、気持ちよく気流に乗って気ままに進んだ。
何も考えずにGがぼーとしていると、心に話しかけてくる者がいる。
「君、こっちの方に向かって進んでいるみたいだけど、なんか用?」
Gは、国を守ろうとして慌てている彼に笑いながら答えた。
「そんなに騒ぐことですか?・・・私はただ、あてもなく自由に世界を見て回ってるだけです。」
彼は心に返してくる。
「そうですか。君は・・変わってますね。・・・あのぅ、もしよければ、私達の国の伴奏部分に
加わりませんか?音は・・Gですよね?」
Gはなんとなく面白そうな感じがした。
「はい、Gです。伴奏って、コードの一部に入り込んで、みんなと同時に音の波を立てること
ですよね。」
「ええ、そうです。たとえばオクターブ違いでGメジャーの3人の中に加わって音を立てて
くれればいいんです。」
Gは浮かぶ言葉に確認しながら言う。
「つまり、いつでも国を抜け出せるってことですよね?・・・それならOKですよ。」
相手は、Gが乗り気なのを知ってうれしそうだった。
「もちろんです。いいですか?こっちの国で伴奏に入ってくれますか?」
Gが受けいれる気持ちになった途端、体が猛スピードで宙を貫いてゆき、突然見えて来た光輝く波の
うねりの中に、まっすぐ吸い込まれていった。

Gが気付くと、自分は新しい立ち位置に立って、左隣のほうから順番が回って来るのを待っていた。
自分を一番上にして、同じ立ち位置に4人が重なっていた。
Gメジャーのコードで、分身にあたる1オクターブ下のGを底に、B、D、そして自分という具合に、
縦にメンバーが重なっていた。
こうしてGは、どこかの国の居候をすることになった。

防衛するB

Gが気持ちよく宙を漂っていると、どこからともなく美しい曲が流れてくる。
Gの心は浮き立って、すぐに、聞こえてくる方に向きを変えながらスーッと暗闇を滑空する。
なんていい曲なんだ!
まもなく彼の眼下に、きらめく波のうねりが見えてきた。
暗闇の中で、波が幻想的に光りながら波紋になって広がっていく。波は順序を追って次々に作られて
ゆき、聞く者に音を届けていた。
これが、初めて見る「国の姿」なんだ!
Gは感激のあまり、どんどん国のほうに吸い寄せられていった。

「誰だ!この国に雑音を立てる奴は!」
Gは言葉がしたとたん、ピシャリと跳ね飛ばされた。
「うわーっ、私が何をしたって言うんです?」
激痛とともにGの体がどんどんその国から遠ざかる。
「お前はGの音か?」
Gは心に語りかける男に返事する。
「そうです。あなたは?」
「私は国の住人Bだ。お前は私達の国の演奏に雑音を立てたんだ。」
Gは心のBに謝った。

「それで、どうして君は勝手に自分の国を出たんだ?」
Gの行動に、Bは厳しかった。
「私は自分の世界の狭さに嫌気がさしたんです。いつも同じ立ち位置で、順番を守ってただ体を震わす。
なんにも面白くない。自分がきちんと音の波を立てても、国が奏でている曲全体を聞くことは出来
ないんですよ。」
GはBに対して譲らなかった。
Bにしても、きっと同じ思いだろうと考えたからだった。
ところが、Bは答えた。
「君の判断は失敗だった。やっと自由になったつもりだろうが、今、君の存在はどこの国にとっても
雑音でしかない。君は自由になる代わりに音楽を見捨てたんだ!」
Gは即座に反論した。
「でも、楽しくなかったら音楽じゃないですよね?」

暗い闇の空間だった。Gは暖かい空気に身を任せて鳥のように漂った。
気流に乗って体がどこまでも宙をぬっていく。
自由だ!
そんな彼の心に、ふと、ささやく声がする。
「Gさんはどこですか?」
この声は確か自分の国のFのだった。
「今?どこだか分かりません。とにかく君、今とってもいい気分なんです。」
Fの声がパニック気味だった。
「あなたねぇ、自分がしたこと分かってますか?今こっちは大騒ぎですよ。」
Gの気持ちは彼にお構いなしだった。
「そんなこと言われても・・・。そうだ、君も自分の立ち位置を飛び出してみたらどうです?」
Gは心のFに、そう語りかけて笑う。
「何を言ってるんですか!あなたは、まったく。」
FはGにすっかり呆れたようで、もうなんにも言ってこなかった。
Gの体は気流に乗ってどこまでも進んでいった。

楽しくないものを音楽って言えるのか。Fたちはこの機会に、よく反省してみればいいんだ・・・。

Gはそんなことを思いながら、真っ暗闇の音のない空間をのびのびと滑空した。

無音の空間

Gは、違う国の住人Gシャープと心で話すうちに、旅に出て世界を見て回りたいと
思うようになった。
Gの立ち位置は決まっていて、いつも左から回ってくる順番を守って、自分の役目を果たさなければ
ならなかった。
彼は毎回同じように体を震わせて、音の波をつくることに、もういい加減飽きてきていた。
いくら頑張ったところで、この国が奏でている曲全体を聞くことは不可能だった。
Gはそんな自分の世界の狭さにうんざりしていた。

Gは大きく深呼吸して、覚悟を決める。
次の瞬間、自分のいる狭い空間を突き抜けるように勢い良く体当りして、立ち位置を飛び出した。
Gの体が宙を舞った。
彼はうれしさのあまり、自分の行動で、自分の国がどうなってしまったかなど考えもしなかった。
Gは、限りなく広がっている無音の空間に漂った。
やった!自由だ。
解放感に浸って、Gは最高の気分だった。

Gの仲間、B、D、F

Gは分身のGシャープと心で会話し続けた。
「Gシャープくん、君はこの世界について、もっとおもしろいことを知っていますか?」
「そうですねぇー。たとえばコードのこととか・・・。」
「おもしろそうですね。それどういう話ですか。」
Gの興味がふくらむ。
「コードはですね、たとえばGさんの場合、実はBさんとDさん、ついでにFさんもGさんと相性が
合ってるので、同時に振動させられる、つまり音を出せるということなんです。」
聞いててGは変な感じがした。自分とB、D、Fが相性良いだなんて。
「それ本当?」
「ええ、そうですよ。そっちの国だと、Gさんと仲間3人で作ったコードは『ドミナント7』といって、
Cさんが仲間2人と作る『Cメジャー』というコードに、すっきり落ち着くようになってるんです。
それにCさんの仲間にはですね、Eさんの他にあなた、Gさんも入ってるんですよ!」
Gはさすがに驚いた。自分がまさかCと相性が良いとは。Gは右隣5つ下の空間にぼんやり立っているCを
見下ろした。
「どうです、Gさん。あなたの国にはコードだけの部分がないかもしれませんが、国の仕組みを順番が
回る向きに見ていくと、実はコードの仲間たちが、一人一人近くに散りばめられているのに気付くはず
です。たまに仲間以外の住人を交えたりもしますが。これがメロディーになるんです。」
Gシャープの話に、Gは息を飲んだ。初めて聞くことだらけだった。

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