猫瓶

8/20本日をもって、休止とさせていただきます<(_ _)> が、今日8/24みたいにうpすることも^^

スティグマータ

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スティグマータ

一人の修道者

彼は晩年の姿だった

その両手両足と

脇腹には

イエス・キリストが受けられたように

聖痕が刻まれ

血が流れていた



一人の元修道司祭

彼は司祭でありながら

聖なる普遍の教会と袂を分かち

聖書のみ、恵みのみ、信仰のみ、の宣言のもと

あらたな教会を興した



「ルターよ」

「あなたは? なんですかその傷と出血は?」

「ルターよ」

「あなたは? なんですか、その馬と幼子イエスの像は?」

「ルターよ」

「あなたは、つまり私が斥けた『聖書によらないもの』の象徴なのでは?」

「ルターよ、私は……、かつてお前が神への取り次ぎを祈ったこともある、アッシジの聖フランシスコだ」

「おお、……でも今の私には、あなたも神の前に平等な者の一人です」

「ルターよ」

「はい?」

「お前は自然に目を向けたことがあったか?」

「……いいえ」

「お前はハンセン病の人たちに会って、心を動かされたことがあったか?」

「……いいえ」

「ルターよ、ではお前のなした行ないを言ってみなさい」

「私は、教会の腐敗を目のあたりにして……理論武装し……ドイツ語の聖書を完成し……」

「ルターよ」

「はい」

「信仰は頭脳で組み立てられるものだろうか」

「でも神は『みことば』を人間にお与えになり、つまり言葉での理解を第一に求められました……」

「ルターよ、私はもう、お前のために神に祈ることはない」

「そうしてください。あなたは今の私にとって、神の前に平等な者に過ぎないのですから」



スティグマータ


待降節に記す

プレゼペ

  そこはルークのいた時代とは異なる、ある町だった。

  12月に入り、クリスマスシーズンが始まったある日、少年マークは友達のジェームズの家に来ていた。

  ジェームズの家でも、もうクリスマスの飾りが用意されていて、幼いマークの好奇心を強く刺激した。

「ねえ、これは?」

  マークが見たこともない飾りが置いてある。

「それはね、プレゼペ」

「ふーーん」

「いいでしょう」

「これ、初めて見た」

「え? 飾るでしょ、クリスマスの時期に」

「知らないよ。リースは飾るけど」

「おかしいな」

「……でも、これおもしろい」

「そう?」

「ジェームズんちは、マリヤもあるんだね」

「うん。でも、あれはクリスマスの飾りで出してるわけじゃないよ」

「へぇーー、じゃ、いつもあるの?」

「うん」

「ふーーん。変わってるね」

「そうかな」

「うん、変わってるよ」

「マークの家はどうなの」

「うちの人はマリヤなんか飾らないよ。僕だってそんなの考えたこともない」

「そうなんだ」

「うん」

「ジェームズんちは、いつもマリヤ飾ってどうするの?」

「お祈りしてるよ、マリアさまに」

「マリヤに? フーーン。変わってるね」

「そうかな、マークの家は?」

「マリヤになんか祈らないし、お祈りに人形は使わないよ」

「人形じゃなくて『ごぞう』のこと?」

「なに『ごぞう』って」

「だからマリアさまのご像のこと」

「あーー。だからマリヤの人形のことでしょ」

「(まぁ、マークはまだ小さいからしょうがないか)……人形じゃないんだけどね」

「とにかく変わってるよ、ジェームズんちは」

「そうかなーー」

「うん」



  今年もクリスマスが、二人の上に来ようとしている。

アガペー (4)

  司祭が帰って、再び一人になったルーク。
  手を見ると出血はかなり治まってきていた。
  気分もずっと良くなった気がする。
  少し安らいだルークは、なんとなく眠気を覚えた。
  無意識のうちにまぶたが閉じて……

「ルーク」
  誰かの呼び声にふと目を覚ます。するとどこかの街角だった。
  顔をあげて辺りを見回す。前を過ぎる通行人の姿。しかし服装の時代が違う……。
「ルーク」
「はい、あなたは」
  すぐ後ろに佇んでいた人物と目があう。
「パンでありぶどう酒である」
  男の言葉にルークの直観が光った。
「パンとぶどう酒によって実在される、アルファでありオメガである方ですか?」
  と同時に、ルークの目にまばゆい光が差しこんだ。
「ルークよ」
  光に遮られて相手の姿が見えない。思わず瞼を閉じたルーク。
「主よ! しもべには光が十分すぎます!」
  それでも会話はどうにか続けられた。
「パウロを想え」
  ルークの頭に、「パウロの回心」が浮かんできた。
「しもべは聖パウロの悔い改めにとても及びません!」
「おそれるな! この光は愛だから」
  途端にルークの心に、あったかい何かがぱーっとひろがってきたようだった。
「主よ! 怖くなくなりました」
「立って拝領せよ」
「主よ! でもしもべは出血が……」

  ふと我に返ったルーク。
  急いで両手足と脇腹を見ると、出血は完全に止まっていた。
「父と子と聖霊のみ名によって、アーメン」
  無意識にルークの指が十字を切った。

アガペー (3)

「こんにちは、ルーク」
青年のところになじみの教会の司祭が来た。
「こんにちは。神父さま」
部屋に入る司祭。自然と視線が青年の手足にいく。
「具合いはずっとこうなの?」
青年の軽くはにかんだ表情が映った。
「定期的に出血するんです。お医者さんは取り合ってくれませんでした」
司祭が青年と向き合って椅子に腰かける。
「取り合ってくれなかったとは?」
青年の、ばつの悪そうな顔。
「その……、先生は『私はハリスティアニン。正教徒だから』って」
司祭は青年の言葉にやっと表情を崩した。
「ほう。でも医者の対応じゃないな」
けらけら笑う司祭。
青年も(……血を流しながら……)微笑んだ。
「では、祈りで始めましょう。
父と子と聖霊のみ名によって……アーメン」

司祭の言葉に青年が合わせて十字を切った。

アガペー (2)

「神父さまにですか、でも」
青年の顔に不安の色がうかぶ。
「このままでは聖堂を血で汚すことに……」
流れる血。
見兼ねた熟年の男性は青年に言い放った。
「わかった。では神父さまに来てくださるよう頼もう」
青年の美しい顔が力なく微笑んだ。

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