猫瓶

8/20本日をもって、休止とさせていただきます<(_ _)> が、今日8/24みたいにうpすることも^^

ほのか

[ リスト | 詳細 ]

2008年度用の新書庫です。だいたい毎日更新します。
(小説、その他、適当にUPしてく予定です)
記事検索
検索

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]

「相沢ーっ、じゃ上がるよ」

栗橋が両手に買いものを下げながら玄関で呼びかける。

「うん。こっち持ってきて」

奥のほうからほのかの声。

「おじゃましまーす」

栗橋が条件反射的にあいさつすると、声がしたほうに廊下を進んでいった。



「あー、栗橋っ! ごくろうさま」

ほのかが、通り過ぎそうになった栗橋を呼びとめる。

ふと立ち止まると、キッチンで栗橋のほうに手招きしているほのかが見えた。

「ここかぁ」

ほのかは買ったものとケータイ写真をチェックすると、そのまま自分の部屋に行ってしまった。

「……。うん。材料は全部ある。じゃ、制服着替えてくるから栗橋、ちゃんとここにいなよ!」

キッチンに一人残された栗橋。

(俺、このままシチュー作るの手伝わされるのかなー)

ぼんやりそんなことを考えながら、ほのかが来るのを待つ。

ほのかとは、5日ぶりに会った。

あいかわらず、会ったら会ったでいつものように使われて――。

今日はそれでも「意外なほのか」が見られそうだった。

(ほのかのうち来るのも3ヶ月ぶりぐらいだな。前来たときは確か、正月ごろだった)

栗橋の脳裏にほのかと初詣に行ったことがよぎる。あの時は特に妹の合格祈願とかで、

ほのかに協力(?)させられたのを覚えている。

「はい、栗橋っ」

そうこうしてるとほのかがキッチンに戻ってきて、部屋着姿で栗橋の前に立つ。

「うん」

ほのかはそんなことなど何も気にしてない感じで、栗橋を顎で使うように指図し出す。

「じゃ、これ、エプロン着けて」

栗橋が制服のままなので、ほのかがエプロンをバサッと投げつけた。

「うっ、――はいはい」

おとなしく従う栗橋。ほのかの方は調理台に器具を並べ出した。

「栗橋っ、買ってきた物そのテーブルに並べて」

人の顔を見ないで指図する彼女。

「はーい。……」

こうして(ムードはないけど)二人っきりの「夢で見た」シチュー作りが始まった。

「よっ、相沢」


スーパーで買いものしていると聞き覚えのある声が……。

ほのかが振り向くと幼なじみの栗橋だった。

「あー、栗橋」

「なに、めずらしくねー? お前がこんなとこで買いものって」

棚にはホワイトペッパーなどのスパイスが並んでいる。

「まあね」

カートのかごにはもう、いくつかの食材が見えた。

「なにか作るの?」

他校の制服姿の栗橋がほのかに尋ねる。

「べつに、いいじゃん」

「なに作るの? ってかほのか料理できたの?」

ほのかがウザそうにため息をつく。

「そんなのどうでもいいじゃん」

ホワイトペッパーの小瓶をかごに入れるほのか。

そのままカートを押して栗橋から去ろうとする。

「俺、手伝うよ。今はいいけど店出たら荷物になって大変だろ」

ほのかが少し頷く。(それもそうだなー。鞄もあることだし。栗橋使うか――)

「じゃ、一緒に来てよ」

そっけない言い方のほのかだった。

これ、食べれるよ

佐藤めぐみの意外な言葉に

ほのかが聞き返した

「はぁ?」

ケータイの写真を見ながらほのかが彼女に怪訝な顔を向ける。

「だから、食べれるんだって」

「――どうして?」

佐藤めぐみが含み笑いを浮かべる。

(なんだー、こいつっ!)

ほのかがちょっと引きながら、彼女の口から出る言葉を待つ。

「ほのかは料理する?」

(えっ、しょうがなくやる程度だけど……)「うん」

「じゃあさ、このシチューができあがるまでの写真あるから、作れるでしょ?」

(……ほんとだ。こんなとこから撮ってんだ、変わってるなー)

ほのかが調理過程の写真をケータイで確認する。

「どう?」

「うん。コメントも入ってるしこれだけ細かければ分かるよ」

佐藤めぐみは、納得したほのかの顔を見ながら頷いた。

「じゃ、欲しい? この写真」

ほのかは夢に出てきたシチューを思い浮かべた。

「欲しいっ! ちょうだいっ!」

即答だった。

その場で自分のケータイに写真を送ってもらう。

「まあ、夢の続きを楽しみなよ。自分で作るんだから文句もないでしょ」

そう言われて、ほのかがなんとなく感心していた。

(これって確かに「夢実現」に近いよね。あと問題なのは私の味のセンスか)

「……ほのかほのか、さっきなんの夢見てたの?」

微積が終わって佐藤めぐみが隣のほのかを突っつく。

「えっ、くだらない夢だよ」

ほのかの顔がくもる。黒木に当てられたことといい、うまそうなシチューが食べられなかったことといい……。

「どんな?」

佐藤めぐみの目が輝く。

(こいつも、いったい何がおもしろくて人の夢なんか訊くんだろう)

「よくある夢だよ。うまそうな料理をもう少しで食えたのに、覚めちゃうやつ」

ほのかがため息をついて佐藤めぐみを見る。

「夢ってそれだけ?」

「ううん、夢のラストがそうだっただけ」

「そう。じゃ、その前にいろいろあったんだ?」

ほのかがゆっくり頷く。(まさか全部訊こうとするわけじゃないよね)

すると、佐藤めぐみが予想に反して、携帯を出して何かを探し始めた。ピクチャーを見ているようだった。

「ほのかの夢の料理って何? こんなの?」

携帯で撮ったある日の料理を見せる彼女。

「これ、じゃないよ。――シチューだよ、ホワイトソースの」

ほのかが画面に出てくる写真を見つめる。

おっ! これこれ、これだよ!!

「めぐみこれ! これマジでそっくり」

ほのかの目が携帯画面に見入る。

「そうこれだーっ! マジやばそーっ!」

その時、佐藤めぐみから意外な提案が出た。

「これ、食べれるよ」



(はぁー?)

いただきまーす!



テーブルに並んだおいしそうなシチュー。

ご飯の皿にスプーンですくってのせる。

あったかそうな画。

ホワイトソースをスプーンでご飯にからめる。

ほのかの目の前でゆっくり繰り広げられていく光景。

うわぁー、やばそう!

ほのかの手が、口のすぐ近くまでスプーンをもっていく。

そして、まさにスプーンをくわえようとしたその瞬間――



相沢ーっ、

「……」


ぱっと目がさめた。

やばっ、よだれが出てる!

「相沢。よく寝たか?」

口もとを手で拭いながら慌てて顔を上げる。前に微積の黒木が見える。

「……、すいません」

黒木の無表情な顔。

「それじゃ相沢、この微分方程式解いてみて」

黒板を眺めるほのか。

(っつか起きていきなりなのに分かるわけねーじゃん。ばか黒木が)

「相沢ーっ、前に出てきて途中式も書いてもらおう」

黒木の合図でしかたなく立つほのか。

側にいる佐藤めぐみが小声で呼びかける。

「ほのか、なんの夢見てたの? 後で教えなよ」


(最後に食いそびれた夢だよっ!! 夢ってだいたいそうなんだよなー)

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]


.
mentsh
mentsh
男性 / B型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事