猫瓶

8/20本日をもって、休止とさせていただきます<(_ _)> が、今日8/24みたいにうpすることも^^

霊聞記

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ある恒星系の惑星「ミュッペ」で繰り広げられるSFファンタジー。

「霊体」を、進化の中で普通に利用してきた知的生命体「エル」。
その外見は人に酷似しているが、科学文明を高度に発達させた一方、伝統的な「霊の利用」も止めることがなかった。
そんな彼らの、「霊剣」を使った領土争いが続く中で、一人の少年エルバの旅が始まる。
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  トガミの意識に浮かぶ光景……。

  教科書で見たことのある人物。誰もが知ってるあの男だった……。

  男の名前はヨシュア……彼の「カナン地方攻略」は聖なる書物になっていて……その内容はまるでR-15指定のゲームばりにおぞましかったが……とにかくパハシャ暦の今では偉人だった。

  その彼が何かを部下に命令している。背景は軍事施設のようだった。

  トガミのうつろな意識が漠然と思うーー(なんでこの人の夢見てんだろう……)

  少し注意を集中してみる。だんだんセリフが分かり始める。

「……わたしたちは文化の本流を行く者たちだ。だからわたしたちのこの行いも、聖なる書物に記されて人々の語り伝える文化になるだろう。たとえそれが、わたしヨシュアとその兵たちの『殺戮』の記録であっても……。そう、それは『文化の本流』である以上、同じような内容でも『アニメやゲームなどのサブカル』とは比べものにならない高尚な文化である。わたしたちは汚れたサブカルの追随を許さぬよう、この『カナンの地』で総力でアニメ・ゲームソフトの類いを処分する必要がある。……」

  またも船内に来てしまったトガミーー捜査官の執拗な尋問からは解放されたのだが……。

「ほら、ダーリンここ来て! はーい、そんじゃ服脱いでね」

  いきなり、メリタの有無を言わさない指図が飛ぶ。彼女の目的はただ一つ。今日、トガミをわざわざ救出したのもそのためだった。

「はい、脱いで脱いで! ダーリン、おねがい協力してよ! 今日はわたしの『危険日』なんだから!」

  メリタの言葉はあからさまだった。彼女が妊娠にどれだけ真剣なのか、まあ分からないわけではなかったが……はっきりいって男のトガミは、そんな彼女に引いていた。

「……、あのさー」

「脱がしてあげる。……なにダーリン?」

「こんなのってありかな? ストーリー展開的に」

「ありなんじゃない。といってもそれはわたしが関知するとこじゃないけどね」

「く、くだらねえ展開。どんな奴がこんなストーリーにしてるのか顔見てみたいぐらいだ」

「ほら、ダーリン……。これで生まれたままの姿になったよ。さ、わたしに触れて」

  メリタが自分の美しい胸に、トガミの右手をもってくる。

「ダーリン、愛してる」

「どうして……でも……ヤバい、抑えられなくなってきた」

  二人の影が船内の光の中で折り重なったーー。

「今、それどころじゃないでしょ、早く!! 逃げましょうこっから!!!」

  わざわざ捜査官の手を引いて廊下に飛び出したトガミ、どこまでお人好しなのやら……。

「で、どうだったんだトガミ。うわっ!!」

  再びの爆発音で施設中がぐらっとくる。

「何訊いてんですか、もう。ほらもっと走って!!」

  しばらく行ったところで、粉々に砕けた窓から外の様子が見えた。ーーやっぱ船体は、メリタのあの攻撃艇ーー。

  施設側からは応戦らしい応戦もなく、ただ職員の逃げ惑う姿ばかりがあった。

「おい、トガミ。ここらでちゃんと話してくれないか……」

「はあ? この期におよんで、まだスギハラのことが気になるんですか?」

  いい加減にしてくれ、という顔でトガミが捜査官をにらむ。

「違う、スギハラのことなんかじゃない。お前が彼女とやった話のことだよ!」

「……あんたばかでしょ。捜査官なんかしてるけど……」

  あきれたトガミが、捜査官の手をふり解いて立ち去ろうとする。

  ちょうどそのタイミングに、さっと大きな影が二人を覆った。

「聞こえますか、そこにいるダーリン!! 見つけたよ!! もう大丈夫だからね」

  トガミが声のするほうを見上げると、宇宙船から昨日と同じ感じでメリタが降りてくるのが見えた。

「うわーっ! メリタ!!」

「ダーリン!! 今引き上げるからね」

  トガミが逃げかけると降り立ったメリタにいきなりハグされる。

  捜査官がニヤけて見ているのがトガミの視界に入った。

「トガミ。彼女、カワイイじゃないか。で……どうやったんだ?……」

  捜査官の下ネタな質問が終わらないうちに、メリタの銃が彼を捉えた。「なに訊いてんだよこのエロ◯◯◯!!」メリタの本性丸出しの「怒声」が響いた。


  倒れ込む捜査官。即死だった。

「ヤベっ!! こんな死に方、絶対したくねぇ」

  トガミはメリタに引き上げられていった。

「ふーぅ」

  取調べが続いていた。捜査官の前でだるそうに息をつくトガミーー何度聞かれても答えられるわけがなかった。スギハラの意図していたものなど……。

「見当はついてる。なんでもいいんだよトガミ、一緒だったんだろう昨日は……」

  捜査官がねっとりした視線でトガミのことを舐め回す。そこへ、突然の警報音。

  あわてた声でスピーカーからアナウンスが流れる。

「当施設上空に一機の攻撃艇襲来。宇宙都市由来の船体、通常から攻撃モードに転換。メッセージ受信。内容……」

  捜査官の顔がスピーカーを見上げる。トガミも緊張で固まる。

「……わたしのダーリンを渡しなさいっ!! ……」

  思わず、はあ? となる捜査官。変な間があってアナウンスの言葉が続く。

「……以上」

  前につんのめりながらすかさずつっこむ捜査官、いや、トガミも一緒だった。

「終わりかいっ!!」

「つか、また拉致られるんかいっ!!」

  仲良く二人でコケたところで、お互い顔を見合わせる。

「来てんの、お前の彼女か?」

「いいえ、一回やっただけで」

  捜査官がトガミの胸ぐらを掴んで自分の目の前に引き寄せる。

「てめえ、面白そうじゃないか、その話……スギハラのことは置いといて、聞かせてくれないか」

「え? お、おもしろくありません!! つか、俺その件については完全被害者なんですけど……」

  二人がそうこうしてるうちに、ものすごい爆発音が聞こえてきた。

「おい、聞かせろよ、なあ!! トガミーっ!!!」

「今、それどころじゃないでしょ、早く!! 逃げましょうこっから!!!」



 

  ぎらぎらと照りつける日差し……。パハシャ暦5年、母星ホル。

(わたしのダーリンが大変なことになっちゃった)

  きらきらとその光を反射させながら、青空を進む一機の宇宙船。

(今日は痛みもだいぶないし、これからダーリン助けに急行だ!!)

  横顔が苦痛に少し歪みながらも笑みを浮かべる。彼女はーーそう、メリタだった。

(待っててダーリン! 必ず救ってあげるから! で、またあれしなきゃね!!)

  彼女の手に広げられた電子メモ。紙面はトガミの遺伝情報をダイジェストで表示していた。

  それをいつくしむように撫でるメリタ……。

(そう、わたしはダーリンの子を産むの。この、わたしにとって最良の遺伝子パターンの彼の……。そして、痛みと障害に苦しめられない子にしてあげるんだ)








「ふーぅ」


 

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