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陽が西に傾いている。
辺りが茜色に染まりはじめた。
祇園に近い小路を哲夫は歩いている。
脇に幅二メートルくらいの堀があった。
水が勢いよく流れている。
柳が風に揺れている。
小舟が杭に繋がれていた。
哲夫は、仕事の帰り道であった。
古風な家並みが続いている。
格子戸に看板が吊るしてあった。
「うらない」と、墨で書いてある。
「ごめんください」
戸を開けた。
哲夫の心は、穏やかではない。
ウワサには聞いている。
黙ってすわれば、ピタリと当たる。
文字どおりにいけば良いが、と半信半疑であった。
返事がないので、もう一度言った。
「どなたかいらっしゃいますか」
奥の暖簾から、若い女が顔を見せた。
手招きしている。
口を開けばいいものを、と哲夫は腹が立った。
その女は、受付係であった。
「この紙に必要事項を記入してください。料金は後払いです」
と、言った。
余計なことは、一切言わない。
まるで能面のようだな、と思った。
占いは、一種の神がかりの世界である。
押し黙っているのは、威厳を示そうとしているのかな、と哲夫は思った。
先客は、いないようだ。
「あちらにどうぞ」
彼女は右手で指し示した。
玄関から裏庭まで狭い路地がある。
そこを歩いた。
不意に、重々しい女の声が聞こえた。
「そこでお止まりください」
右側を見た。
黒いカーテンが、上がり框すれすれまで垂れ下がっている。
「どうぞ、カーテンを脇に寄せてお入り下さい」
「失礼します」
哲夫は勇気をふるって入った。
幼いころから、それほど気が強いほうではない。
女の人は苦手であった。
今は、そんなことを言っている場合ではなかった。
四畳半の暗い部屋だった。
床は板張りである。
窓はない。
外よりもずっと暗く感じた。
漆黒と言ってもいいくらいだ。
しばらくすると、目が闇になじんだ。
白い煙が漂っている。
黒い布でおおわれたテーブルがある。
真ん中に太くて長い蝋燭が一本立っている。
炎が煤をあげて揺らめいていた。
その横に直径十センチくらいの水晶玉がある。
紫の小布団が敷いてあった。
人影が見えた。
「おすわりください」
頭巾をかぶった年老いた女が命令した。
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こんばんは、ポチ。
2011/5/9(月) 午後 7:27 [ 藤花 ]
こんばんは。
ポチありがとうございます。
2011/5/9(月) 午後 8:07 [ けっさん ]
こんばんは。
ポチどうもありがとう。
全力で考えます。
父けっさん
2011/5/9(月) 午後 9:28 [ けっさん ]