|
黄色くみのった稲穂の上を、トンボがいっ
ぱい飛んでいる。
時々、強い風が吹きすぎて行く。
稲穂をかりとって、株だけになった田んぼ
の中を、ぼくはトンボをとろうと、虫取り網を
もってかけまわっている。
きょうは、どうしたことか、いくらかけまわっ
ても、一匹もとれない。
おそらく風のせいだろう。
とまったところを、さっと網で横からすくう。
風が強いので、長くとまっていない。
すくう前に逃げてしまうんだ。
ぼくの目の前には、大人たち四人のお尻が
ならんでいる。
かがみこんで、稲穂を刈り取っている。
ざくざくざく。
ざくざくざく。
小気味良い、かまの音がする。
「遠くへ行ったらあかんで」
ふいに母ちゃんの声がした。
五歳になったばかりのぼくを心配そうに見
つめている。
「うん。わかった」
ぼくは、すぐに返事をした。
麦わら帽子の下の手ぬぐいで、流れる汗を
ふいている。
家を出るときは、きれいだった白い顔が、真
っ赤に変わっていた。
下ばかり向いているせいかなと、思う。
何でかというと、逆立ちをすると、顔が真っ赤
になるんだ。
稲刈りは、半分、逆立ちだ。
トンボは、ちょうちょより、取るのがうんとむ
ずかしい。
飛ぶのが、はやいからだ。
運のいい時は、手だけで取るやり方もある。
とまっている目玉の先に右手の人差し指を
もっていって、グルグル回す。
トンボがふらふらした所を、さっと左手でつ
かむんだ。
ぼくの夢は、おにやんまをとることだ。
でも、あんまり見かけない。
見つけても、遠い空の上だ。
すううっとおりてきたところを、ねらうしかない。
小さなぼくには、ちょっと無理なんだ。
トンボ取りに夢中で、ぼくは、自分がどこにい
るのか分からなくなった。
稲穂が、ぼくをかこんでいる。
母ちゃんの姿が見えない。
ぼくは、心細くなった。
落ちつけ、落ちつけと自分に言いきかせた。
それにもかかわらず、胸がどきどきしてくる。
いつのまにか、ぼくは泣き顔になっている。
あぜにすわりこんでしまった。
両膝を立てて、頭をつけた。
ふいに、何かが髪の毛にとまった。
髪の毛を細い足でつかんでいる。
そっと、網を右手に持つと、ばさっと頭にかぶ
せた。
何かわりと大きい虫が、網の中であばれてい
るのがわかった。
逃げられないように、両手で網を袋のように
した。
夕陽にすかしてみた。
大きな赤いおにやんまだった。
|

- >
- Yahoo!サービス
- >
- Yahoo!ブログ
- >
- 練習用



けっさんさんこんばんは。
9月の課題なんとか仕上がりました。
題名は9月にふさわしく「名月」です。
明日読み直して明後日の朝にでも投稿したいのですが、その時注意すべきことあるでしょうか。
それから必須使用の語彙は「落ち着く」でも「落ち着いた」という使用法でも可でしょうか。
けっさんさんの例文を読んでから自分のを読むと文章に溜めがないというか余裕がなく結論を書き急いでしまっているような気がしないでもありません。
でも今回チャレンジしていろいろなことを感じました。自分が本を読む際にもかなり有益なような気もします。
というわけで恥を忍んで投稿します(^_^;)
今後ともよろしくお願いします。
2011/9/28(水) 午後 7:23 [ もたんもぞ ]
こんばんは。丁寧なコメントありがとうございます。小説は、こう書くべきだということは、ないようです。あなたのお好きな書き方を、時間をかけて、見つけられるといいと思います。「名月」ですか。お題を聞いて、わくわくしてきました。ご自分のブログに載せていただくだけでいいです。拝見させていただきます。色んな使い方があるのでしょうが、パソコンの扱いに慣れない私です。ご不便をおかけします。「落ち着く」でも、「落ち着いた」でもかまいません。お好きなように変えてください。
2011/9/28(水) 午後 8:31 [ けっさん ]