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「ああ、こわかった」
陽一は、声にだした。
そのあたりに鬼がひそんでいるのではない
か、と見まわしたほどだった。
ひたいに冷や汗をかいている。
このままじゃ、ずっと学校にいけなくなるなと
陽一は思う。
夢にでてきたあの人形。
水戸黄門だ、と冗談を言ったおじさんが話し
ていたものかもしれない。
人形が燃えさかるように輝いた時、鬼たちが、
びっくりしたような表情をしていた。
鬼とは、美知。
子供たちは、彼女の手下だ。
夢が現実を映すものだとしたら、そういうこと
になる。この苦しい場面を脱出するにはどうし
たらいいか、と陽一は、懸命に考えた。
先生に言いつけたら、よけいにいじめがひど
くなる。多勢に無勢だ。
駄目でもともとだ、と陽一は腹をくくった。
Mの言うことを、信じることにした。
だが・・・・・・。
簡単には、放送室には入れない。
今度、夢のなかに現われたら、助けてくだ
さい、と頼んでみることにした。
翌日は、登校できた。
美知の態度は相変わらずだったが、手下の
動きがにぶいように感じた。
昼休みに、体育館に入った。
三年生の百合子さんが、ピアノを弾いていた。
四人の女の子が、彼女のそばで演奏を聴い
ている。
陽一は、体育館の入り口で壁にもたれてす
わった。すさんだ心が、いやされて行くのがわ
かった。
陽一は、気持ちが良くなってきた。
目がとろんとしてきて、
「おかあさん」
と、つぶやいた。
ピアノの音が突然やんだ。
「ねえ、あの子。見て」
百合子が体育館の片隅を指さした。
みゆきが、ふりむいた。
彼女は、この間まで美知の手下だった。
岩上教頭のおかげで、心をあらためたのだ。
「あんなところですわりこんで、一体何をして
いるのかしら」
みゆきは心配した。
「あたし、見て来るわ」
ほかの三人と連れだって、ステージを降りた。
みゆきが陽一の肩を揺すったが、起きない。
「下級生だわ。どうしたのかしらね」
「よほど疲れているんだわ」
みゆきが、声をかけた。
「ねえ、ねえ、あたしは、人形よ」
口をついてでてきた言葉に、みゆき自身が
驚いた。
「ええっ。今何て言ったの」
「あたしだって、自分で自分がわからない
のよ」
女の子たちがざわめいた。
「もう一度話しかけて」
いつの間にか、百合子がそばにいた。
「うん、やってみる」
みゆきがしゃがんで、口を開いた。
「ようちゃん、ようちゃん。おきて」
陽一が、目をぱっちりとあけた。
みゆきがつづけた。
「ゆりちゃんに、たのむのよ。いじめられてい
るから、助けてって」
陽一は、自分の頬を、思いきりつねった。
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上手いですね。。
恐かった!
2011/11/3(木) 午後 9:48 [ kotuko ]
おはようございます。寒い朝でしたね。
いつも応援ありがとう。
お元気で。
2011/11/4(金) 午前 7:57 [ けっさん ]