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 「どうした。どこかで一杯飲んで行くかい」
 前祝いだと言って、Nがさそってくれたが、
恵子は、とても疲れていた。
 「ありがたいですが、今日のところは勘弁
して下さい」
 明日からは、練習があるのだ。振付師に
ついて、踊りを教わらなくてはならない。
 早く帰って、眠りたかった。
 Nの事務所をでたのは、午後十一時を過
ぎていた。
 恵子は、足早に歩いた。
 ネオンの明るさが、不安を和らげてくれた。
 自転車が多い。
 行きあうたびに、怖い想いがよみがえった。
 店の暖簾が、かかっていた。
 玄関をそっと開けると、酒やたばこの匂いが
鼻についた。
 男たちが、恵子をじっと見つめた。
 「けいこちゃん、ちょっと待ってな」
 おばさんの声がした。
 玄関から出てきた。
 「勝手口から入るんだよ。そこの露地には
いってすぐさ。階段は知ってるだろ。お客さ
んと顔を合わせることがないから、気楽だろ。
夜遅くなっても、大丈夫だ。いつも開けておく
からね」
 「すみません」
 「教えなかったのが、悪いんだ。あやまるこ
とはない」
 階段をしずかにのぼっていった。
 障子を開けて、部屋に入った。
 ひもを引っ張ると、天井からつるされた電灯
の明かりがついた。小玉の明るさにして、畳
の上に横になった。
 隣の部屋は静かだった。
 恵子は、東京に着いた時から覚悟はしてい
たものの、ちゃきちゃきの江戸っ子とつき合っ
ていく難しさを感じていた。
 早く慣れなくっちゃ、と思った。
 いつの間にか、寝てしまった。
 夜中に目がさめた。
 寒かったのだ。
 掛け布団をかけていなかった。
 廊下側の襖が、ほんの少し開いている。
 誰かが、のぞいているように思った。
 

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プロのようですね。
沢山の本を読んでいるのですか!ポチ

2011/11/14(月) 午後 4:32 [ kotuko ]

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こんばんは、麻さん。いつもコメントありがとう。
そんなに読んでないですよ。
イメージが浮かぶように、努力はしています。

2011/11/14(月) 午後 6:22 [ けっさん ]


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