娯楽小説

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 玄関脇でタバコを吸っていた運転手は、恵
子が出て来るのを見ると、車を移動した。
 自動で後部座席のドアを開けた。
 恵子は、勢いよくすわった。
 「やっぱりあなたのいう通りだったわ」
 「すみません」
 「いいえ。あなたは正直に説明してくれたん
だから、責任はないわ」
 「もう、帰りますか」
 「明日は仕事だし。そうします」
 「もしよければ、私の会社の近くに知ってい
るスーパー銭湯がありますが。そこは、泊りも
ОKですよ」
 「泊れるんですか」
 「ええ。ここから。それほど離れていません」
 「じゃあ、折角来たんだから、そこで今晩過
ごすことにします」
 「わたしも、仕事が終わったら、そこでひと風
呂浴びようと思っているんです」
 恵子は、だまったままで、バッグからタバコを
とりだした。
 「あっ、すみません。車内は禁煙なんで」
 恵子は、イライラしてきた。
 気の合った友がいないのが、辛かった。
 今夜は、誰かとおしゃべりをして、ストレスを
発散させたかった。相手はだれでも良かった。
 綾がいるが、この時刻だ。
 夫のいる身でもある。
 無理は、言えなかった。
 「ねえ、あなたも地方からおひとりで出て来て
いるんでしょ」
 「そうですよ」
 「もしよかったら、今夜わたしと過ごしませ
んか」
 「ええっ、これはまた大胆なことを言われる
んですね」
 「過ごすと言っても、銭湯で逢いましょうって、
ことです」
 「ああ、それならわかりました。連絡先を教
えておいてくれますか」
 Aスーパー銭湯に着いた。
 「ぼくは、鈴木と言います。これで仕事をあ
がりますから、じきに電話を差し上げます」
 「けいこです。それじゃ、玄関を入ったロビーで
お待ちしています」
 恵子は、急ぎ足で玄関に向かった。 
 
 

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次が楽しみをもたらす書き方これが素晴らしいポチ

2011/11/17(木) 午前 10:06 [ kotuko ]

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こんにちは、麻さん。コメントありがとう。
地味な作品のなかで、興味深い何かが表現できればいいなと思っています。

2011/11/17(木) 午前 11:20 [ けっさん ]

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いいタッチで、話がすすんでいますね。
これからが楽しみな展開です。
登場人物への興味がわく、って大事なことですね。

2011/11/17(木) 午後 0:42 imoko

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こんにちは、imokoさん。お元気ですか。
コメント感謝します。出来るかぎり、日常生活で起こりうるような話をしたいと考えています。

2011/11/17(木) 午後 2:11 [ けっさん ]


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