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恵子はロビーの片隅にある喫茶室の片隅で
すわっている。
タバコをくゆらしている。
我慢ができなかったのだ。
この寒空に戸外にタバコを吸えなんて、非
常識極まりないと、恵子は思う。店主はしぶ
い顔をしたが、あえて灰皿をたのんだ。
幸い、客はそれほどいなかった。
室内は暗い。淡いスポットライトがそれそ
れの席を照らしているだけだった。
二杯目のコーヒーを飲んでいる。
チーズケーキをひとつたのんだ。
朝から、ほとんど何も食べていなかった。
鈴木から、着信があった。
ケータイをひろげた。
「遅くなってすみません。今、玄関わきに
着きました」
恵子は、喫茶室にいると答えた。
ドアが開いた。
サングラスをかけ、ジャンパーを着た男が
入ってきた。首にマフラーを巻き、ジーパンを
はいている。
恵子を認めて、近づいて来た。
初め、その男が鈴木だとは思わなかった。
あまりに若気だったからだ。
「けいこさん、ですよね」
男が言った。
「あら、鈴木さん、ですか」
「わかりませんでしたか」
「ええ。なんだか別の人のように思いまし
たわ」
「人相でも悪かったんでしょう。サングラス
をかけたりしているから」
「逆ですわ。どこかの若い俳優さんかなと
思いましたわ」
鈴木はサングラスをとって、向かいの席に
すわった。
「そんなにほめてもらえたんじゃ、ごちそう
しなくちゃいけませんね。夕食は」
「正直に言うと、まだなんです」
「となりに焼肉を食べさせる店があります。
よかったら、そこに移りましょう」
鈴木はそう言うと、オーダーを書いた紙き
れを手にとった。
恵子は立ちあがって、鈴木の腕をとった。
鈴木は、ちらっと恵子の顔を見て、
「今夜は、日ごろのうさを晴らしましょうね」
と、小さな声で言った。
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細かい所もよくとらえて小説はそうなのですね。。☆
2011/11/19(土) 午後 6:21 [ kotuko ]
こんばんは。いつもコメントありがとう。
励みになります。
2011/11/19(土) 午後 8:07 [ けっさん ]