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校庭の木々は、葉をほとんど落としていた。
太陽が早く沈んだ。
午後五時を過ぎると、辺りは真っ暗だ。
「タロウの散歩に行ってくるよ」
と母に告げて、少年は家を出た。
「こんなに暗いのに、大丈夫かい。車に気
をつけるんだよ」
「うん」
近頃は、あまり母ともしゃべらない。
しゃべりたくないと言った方が、正確だ。
八月で、十四歳になった。
父は朝早く家をでて、真夜中に帰って来た。
家の西側を小川が流れている。
タロウに引っぱられるままに南に向かった。
闇の中では、犬の姿がはっきりしない。
黒っぽい毛をしている。詳しくいえば、こげ
茶色に近い。
物影に入ると、なおさらだ。闇にとけこんだ
ようで、どこにいるのか分からない。
首輪に付いたチェーンの動きがたよりだ。
ふいにチェーンが伸び、直線になった。
タロウが両足をふんばり、ふんふんと鼻を
鳴らす。
ほかの犬の痕跡があるのだろうか。
少年は、その場にしゃがみ、手で草の上を
はらった。
何もない。
思い切って、指で草をなでつける。
匂いをかぐと、なまぐさかった。
犬のおしっこがかかっていたところで、分か
らないだろう、と少年は思った。
犬の嗅覚は鋭い。
人間とは、比べものにならない。
納得して、歩きだしたが、すぐにまた立ち
どまった。
耳をピンと立てた。
足音が近づいて来た。
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逃げるシリーズ
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けっさん♪
こんばんは、3月は今週一杯忙しです。
新しいドラマですか!楽しみに読み始めています。ポチ
2012/3/6(火) 午後 10:24 [ kotuko ]
麻さん、コメントありがとう。
週末には、農区の会議がひかえています。年度替りは何かとあわただしいですね。ご機嫌よう。
2012/3/7(水) 午前 10:40 [ けっさん ]