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ふたりは、湯船につかっている。
「けいこ、あんなところで何をしてたんだい。
寒いのに、あんな薄着で」
恵子は、真実が言えない。何でも気楽に話
せたら、どんなにスカッとするだろう。
友子には、この世界に入った時から世話
になっている。それだけに、心配かけたくな
いのだ。
「ちょっと、湯畑をながめていたの」
「りょうといっしょにかい」
「うううんっ」
「なんだか、にえきらない答え方だね。おで
んをたくさん買ったようだし。ひとりぶんじゃな
いだろ」
恵子は、涙がこぼれそうになった。
急いで、顔を湯であらった。
「りょうと、うまくいってないんだね」
こらえきれずに、恵子は後ろを向いた。
友子は、それ以上は何も言わない。
恵子の胸のうちがわかるからだ。
亮の金使いの荒さは、まわりの者みんなに
知れ渡っていた。
みんな、大変なのだ。
複雑な事情をかかえて、一日一日を過ごし
ているのだ。
恵子も、自分で、なんとか解決する以外に
方法がなかった。
女のところへ行ったに違いなかった。
「ばあちゃん、お風呂代がないの」
「心配しないで、あたしが誘ったんだから。
湯からあがったら、おいしい物を食べよう」
「ほんとにありがとう。きょうのこと、一生忘
れないわ」
「この子ったら、大げさだねえ」
恵子は、アパートに帰りつくと、荷物をまとめ
はじめた。
あたしがいないとわかったら、亮は真剣にさ
がしてくれるだろう。
今までは、べったり亮にくっつき過ぎていた。
甘やかしてしまった。
あんなにプータローになったのは、あたしにも
責任がある。
アルバイトをしているとはいっても、遊び金ほ
しさだ。生活費は、全部私がだしていた。
恵子は通りにでると、タクシーを拾った。
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