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 ルリ子はそのままで起き上がった。
 ためらっているキリオにカツを入れる。
 「なんだい。そのざまは。そんなんで仕事
ができるのか。俺一人あつかえないようじゃ
仕方ないぜ」
 キリオは、もじもじしている。
 「あねさん、もうちょっと女らしく話してもらえ
ませんか。なんだか男を相手にしているよう
な気持ちになってしまいますんで」
 「俺を可愛がる気になれないというんか」
 「はい。そのとおりです」
 「こんなに女らしいからだなのにか」
 「へい」
 ルリ子は、急に声音を変えた。
 身体を丸めた。
 両足を閉じ、両手で胸をおおった。
 「きゃあ、あんた、何すんのよ」
 キリオはあきれたという表情をしている。
 「なによ、こんなふうにいってもあたしを
ほしくならないの」
 「しらけてしまいました」
 ルリ子は、心の中では傷つき、涙を流していた。
 キリオに背中を見せた。
 うつむいている。
 キリオは、近寄って、そっとルリ子を抱いた。
 髪をやさしくなではじめた。
 耳たぶにキスをした。
 唇をはわせた。 
 ルリ子がびくっと震えた。
 唇を合わせた。
 舌を入れる。
 ルリは、歯を閉じたままだ。
 キリオは攻め方を変えた。
 うなじに唇をはわせていく。
 ルリがあえぎはじめた。
 左手を胸にふれた。
 手のひらで乳首をころがす。
 ルリのからだが、柔らかくなった。
 
 キリオは浅草駅で、旧友と別れた。
 地下鉄で、ルリ子と上野に向かう。
 車内は混んでいた。
 キリオの耳元でささやいた。
 「ねえねえ」
 「なっ、なんですか、あねさん。急に猫な
で声を出したりして」
 キリオも低い声になった。
 「あんたさあ、この間、あたしのからだを
楽しんだよねえ」
 あれこれ自分の醜態を思い出したのか、
キリオはだまりこんだ。
 「なんだい。都合が悪くなるとだんまりかい。
そんなら、俺が勝手にしゃべる。よく聞いてな。
今日はまず、上野で降りる。サウナに行くんだ。
それから、逆さクラゲで、俺のからだをおめえが
もみほぐすんだ。いいな」
 キリオは、文句の言える立場ではない。
 頭をひとつ下げた。
 
 ルリ子は、敷き布団によこたわった。
 湯あがりだ。
 シャンプーの香りが漂っている。
 ピンクのブラと、赤いショーツ姿だ。
 うつぶせになった。
 「そこの白いタオルをかけてくれや」
 「へい」
 キリオも下着姿だった。
 「足から先にもんでくれ」
 「まずは、足でもんでもいいでしょうか」
 「いいよ」
 ルリ子の足裏を踏む。
 「ああ、いい気持ちだ」
 キリオは、足元にすわりこんだ。
 手で、丁寧にもむ。
 「いててて」
 「これが効きますんで。ちょっと辛抱して
いてください」
 キリオは、力を入れた。
 上下関係は、絶対である。
 口答えは、許されなかった。
 「いてえな。もう少し手加減しろよ。しょう
がないよな。俺をいじめたくなる気持ちも
わかるぜ」
 ルリ子は、ふいにあおむけになった。
 タオルをわきにおいた。
 両足を曲げて、開いた。
 「こんどは、どこをもめばいいんで」
 キリオは面くらった。
 目のやり場に困っている。
 「気持ち良くしてくれや」
 ルリ子は、自分で、Dカップのブラをはずした。
 豊満な胸がはずんだ。
 

いざなう4−3

 居酒屋も駄菓子屋も、しばらく休むことにした。
 玄関の軒先に、お休みします、と墨で書いた板を吊るした。
 強い風が吹くと、戸に当たって、カタンカタンと鳴る。
 好子の耳には、それが世間の人々のウワサ話のように聞こえた。
 鳴るたびに、耳をふさいだ。
 少し神経をやられた。
 「大したことはありませんが、静養なさった方がいいでしょう」
 医者と相談して、クスリを飲むことにした。
 
 源は、夜中に、お勝手の戸をたたいた。 
 ドンドン。ドンドン。
 酔っている。
 「よお、抱かせろよ。我慢できねえよ」
 大声でわめいた。
 戸をはさんで、小声で話しかけた。
 「源さん、いままでありがとう。あたし、体調をくずしちゃったのよ。しばらく休むわ」
 なかなかあきらめない。
 「もっと大きな声を出してやろうか。ここのママは何が好きなんです」
 好子は黙ってはいない。
 「ばかね。あんただって、いい想いをしたじゃないの。もっと大人になんなさいよ」
 「うるせえこの」
 駄々っ子のようである。
 好子は、しかたなく中に入れた。
 好子のからだに、のしかかってきた。
 あっけなく果てた。
 泣く子にお乳を与えるようなものだった。
 「さあ、用がすんだらさっさと帰りな。二度と来るんじゃないよ」
 好子は、強くでた。
 源のからだを戸の外に押し出した。
 「また来るからな」
 ぶつぶつ言いながら、夜の闇に消えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 久しぶりにルリ子は、東京にでてきた。
 キリオを呼びだした。
 すぐに出た。
 上下関係を意識している。
 「へい、あねさん」
 「はやい返事だな。嬉しいよ。今、浅草に着いた。
浅草寺の正面にいるから、迎えに来てくれるか」
 「わかりました。すぐ迎えに行きます」
 キリオも、駅の雑踏にいるようだ。
 駅のアナウンスや人の声が、まじって聞こえた。
 
 結局ルリ子は、キリオの疑問に答えなかった
 若頭の内妻おゆきさんが、ルリ子に金を渡したようだった。
 まとまった金だった。
 若頭のキリオに対する風当たりが、強くなったことでわかった。
 ナウイ女の子だ。
 遊ぶ金がほしい。
 それが本音だろう。
 
 半時間ちかく待った。
 キリオが、ひとりであらわれた。
 やせ細っていた。
 頬がこけている。
 「今日は、ひとりかい」
 「ええ。あねさんと、じっくり話したいと思いまして」
 「仕事は」
 「やります。そのあとです」
 「いいだろう。あたしもひとりだ。初めてだからな。様子見だ」
 「いいでしょう」
 お昼前だった。
 「どうしたい。メシ食べて行きたいんだがな」
 キリオは、ポケットをさぐった。
 「何でもいいですか。あまり持ち合わせがないもんですから。
仕事があまりうまくいかないもんで」
 すまなそうに言った。 
 ルリ子は、微笑んだ。
 「いいよ。あたしがおごる。今日はたんまりもってきたから」
 キリオが彼女にしたことを考えれば、まともに
話ができないはずだった。
 心の底から、彼を憎んでいるのではなかった。
 微妙な年頃だった。
 
 仲見せを、肩を並べて歩いた。
 「よお、キリオ」
 ふいに声をかけられた。
 一瞬みがまえた。
 足元がふらついた。
 敵対するグループが多い。
 てっきり、そのひとりだと思った。
 男は、同じ歳くらいだ。
 眼鏡をかけていた。
 となりに若い女を連れていた。
 「誰だい」
 「俺だよ、分からないのか」
 キリオは、近づいた。
 じっと顔を見た。
 相手が眼鏡をはずした。
 「どっかで見たことのある顔だな」
 「見たことがあるとは、ひでえな。おれだよ、誠だ。
中学の時、いっしょに遊んだろ」
 キリオは、久しぶりに、おだやかな表情を浮かべた。
 厳しい毎日だ。
 気持ちが、ゆるむ日はない。
 みんなで、食事をすることになった。
 「久しぶりだ。俺がおごるよ」
 誠が笑顔でいった。
 「パチスロで十万勝った」
 キリオに耳打ちした。
 
 レストランに入った。
 キリオは、とんかつ定食を頼んだ。
 ルリ子は、となりにすわった。
 誠と連れの女は、向かい合わせにすわった。
 キリオの食べっぷりの良さに、みんなが驚いた。
 かつ丼の次は、うな重を頼んだ。
 仕上げは、キツネうどんだった。
 「おいおい、大丈夫か。おまえ、メシちゃんと食ってるのか」 
 「うん。うん。大丈夫だとも。久しぶりのおまんまだ」
 口のまわりは、米粒だらけだ。
 食べると言うよりも、空っぽの胃のなかを満たすように、かきこんでいた。
 ルリ子は、なぜだか、ホッとした気持ちになった。

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