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本日発表された第91回アカデミー賞。受賞結果を見て僕が個人的に感じたことや思ったことをまとめさせてもらいます。
★例年よりも”多様性”が大きなテーマに★
今年の受賞者や受賞した作品を観ると例年以上に多様性が大きなテーマだったように見える。性別、人種、国籍、LGBT、グローバル化が進み様々な価値観が世界のいたるところで受け入れられるようになった昨今の世界をそのまま反映していると言える。
今年演技賞の助演部門を受賞したのは黒人であるマハーシャラ・アリとレジーナ・キングだ。主演男優賞を受賞したラミ・マレックも本人が言ったようにエジプトにルーツを持つ人間だ。監督賞を受賞したのは、現在国境の問題でアメリカと問題を抱えているメキシコ出身のアルフォンソ・キュアロンだ。作品賞を受賞したのも人種問題がテーマの「グリーンブック」である。
受賞作を見てもそれが分かるだろう。最多受賞の「ボヘミアン・ラプソディ」はフレディー・マーキュリーを描いた作品だが、彼自身は中東にルーツを持つ人間で、ゲイだったことでも知られている。作中でもそのことが触れられている。
アメコミ映画「ブラックパンサー」はアフリカの秘境ワカンダ出身のヒーローを描いた作品だ。主要キャストの大半が黒人であるこの映画は、これまではヒーローを演じることが少なかった黒人俳優たちの躍進に間違いなく貢献した。加えてアメコミ映画と言う、今までアカデミー賞があまり評価してこなかった作品への評価を覆した作品でもある。
個人的に良いなと思ったのは短編アニメーション映画賞と短編ドキュメンタリー映画賞で女性映画人たちがオスカー像を受け取ったことである。恐らく女性プロデューサー、女性監督たちなのだろう。昨年フランシス・マクドーマンドがコメントしていたが映画界において女性と男性ではギャラなどで格差が未だに存在する。
短編部門は僕自身予想をしていないし、恐らく多くの人にとって普段あまり目にする映画では必ずしもないかもしれない。しかし、短編長編に関わらず女性映画人がこうした賞を受賞するのは大変嬉しいことだ。
★躍進!マーベルコミック映画★
今年はマーベルコミック作品の躍進が目立った年でもある。美術部門で本命と言われていた「女王陛下のお気に入り」を破ったのはマーベル・シネマティック・ユニバースの「ブラックパンサー」だ。「ブラックパンサー」は今回作品賞を含む7部門に候補入り。アメコミ映画が作品賞に候補入りするのはオスカーの歴史上初の快挙だ。2018年はまさにMCUの年だったと言えるだろう。公開された3作品はすべて大ヒット。「ブラックパンサー」は興行収入13億ドルを記録。「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」は史上4作目の興行収入20億ドルを突破した。視覚効果賞にも候補入り。
長編アニメーション映画賞を受賞したのは「スパイダーマン:スパイダーバース」だ。もちろんスパイダーマンのストーリーだ。まるでコミックから出てきたかのような映像、斬新な物語、新しい試みや最新の技術が随所に盛り込まれながらもスパイダーマンと言う作品の精神は受け継がれている。
プレゼンターにもアメコミ映画出演者が多かった。特に「キャプテン・マーベル」組は授賞式を盛り上げてくれた。もちろんサミュエル・L・ジャクソンは今回のMVPの一人だ。スパイク・リーが受賞の瞬間のあの喜び様よ。
★受賞結果を振り返る★
今回の受賞結果を振り返った感想は「バランスが良い」である。作品賞に候補入りした8作品すべてが何かしらの部門で賞を受賞している。内訳はこんな感じだ。
「ボヘミアン・ラプソディ」 最多4部門受賞
「ROMA ローマ」 3部門受賞
「ブラックパンサー」 3部門受賞
「グリーンブック」 3部門受賞
「女王陛下のお気に入り」 1部門受賞
「バイス」 1部門受賞
「ブラック・クランズマン」 1部門受賞
「アリー スター誕生」 1部門受賞
最多受賞は「ボヘミアン・ラプソディ」だ。公開直後は批評家から散々叩かれたものの世界中の映画ファンとQUEENファンがその流れを変えた。音響2部門はもちろん、編集賞と主演男優賞を受賞した。ラミ・マレックの受賞は今回のハイライトの一つだろう。
作品賞最有力と言われた「ROMA ローマ」は3部門を受賞したものの、作品賞は逃してしまった。外国語映画と言うのもあるのかもしれないが、やはりNetflix映画と言うのが一番ネックだったのかもしれない。しかし、今後も増えていくであろう配信映画というジャンル。オスカーも、そして映画業界も、変わっていくのだろう。もしかしたら今はその大きな転換期なのかもしれない。
「グリーンブック」は監督賞候補漏れで作品賞危うしとの声もあったが、作品賞を受賞。監督賞の候補入りを逃して作品賞を受賞したのは第85回の「アルゴ」以来だ。それでも助演男優賞と脚本賞も受賞した。作品のテーマから、近年の多様性の流れにマッチしていたのも大きかったのかもしれない。
「ブラックパンサー」は美術部門で本命だった「女王陛下のお気に入り」を破って美術賞、衣装デザイン賞を受賞できたのが大きい。そしてその「女王陛下のお気に入り」は最多ノミネート作品ながら受賞は1つに留まる結果に。
しかし、その1部門が今回最大のサプライズだったことは言うまでもない。主演女優賞最有力と言われたグレン・クローズを破ってオリヴィア・コールマンが受賞したのである。このサプライズを悪く言う人は誰もいないだろう。コールマンの演技はそれだけ素晴らしかった。だが一方で7回目のノミネートでまたしても受賞を逃したグレン・クローズへの同情の声が大きいのもまた事実だ。特に今回は受賞確実とまで言われていたのだから。あぁ、オスカーは幸運を運ぶ一方で残酷な結果を突きつけることもあるのだ。
「バイス」、「ブラック・クランズマン」、「アリー スター誕生」は取るべき部門を取ったという感じか。スパイク・リー監督が受賞した瞬間は今回のハイライトの一つ。レディ・ガガのパフォーマンスも素晴らしかった。
視覚効果賞は「ファースト・マン」が受賞。この作品はCGを多用することなく、特撮などを駆使した作品らしい。確かにCG多用が当たり前の現代において、そのような作品が評価されるのは素晴らしい事である。「インターステラー」然り、「エクス・マキナ」しかり。大事なのはどれだけたくさんの視覚効果を使ったのかではなく、どれだけ工夫したかなのだ。
★最後に★
アカデミー賞はいつ見ても楽しいものだ。僕一人だけではないと思うが、この4時間程の受賞式の為に1年近く前からノミネートや受賞を予想する人はたくさんいる。それはどの世界の映画賞・映画祭にもない特殊な現象だと思う。それだけの魅力がこのアカデミー賞にはあるのだ。きっと受賞・ノミネートした作品だけでなく、予想する中で自分が知らなかったたくさんの作品に出会えるからだろう。
映画界のスターが一堂に会するアカデミー賞。QUEENのライブで盛り上がり、レディ・ガガとブラッドリー・クーパーのパフォーマンスに感動したり、受賞者の表情とスピーチに感動したり。今年の受賞式も本当に楽しかった。
毎年言っているがアカデミー賞が終わると、1年が終わったようなそんな気持ちがする。そしてまた新しい1年が始まる気持ちがする。第91回アカデミー賞の余韻に浸りつつ、頭の中が少しずつ第92回アカデミー賞のことを考え始める。なんて幸せな事だろう。
来年はどんな作品が、どんな人がオスカーの舞台に立つのか。今からそのことが楽しみで仕方がない。やはりアカデミー賞は最高のエンターテインメントだ。
ちなみに個人的なベストドレッサーはブリー・ラーソンです。
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