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7番は、というかベートーヴェンの交響曲はことごとく名曲の名に恥じないので、CDはたーくさんあります。僕もこの曲だけで10枚くらいは持っています。
その中で、お薦めと思うCDを3枚挙げてみます。
カルロス・クライバー(指揮)
バイエルン国立管弦楽団
録音:1982年
レーベル:ORFEO DOR
http://www.hmv.co.jp/Product/detail.asp?sku=1408539
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1950年
レーベル:Opus蔵
※注意:モノラル録音で、雑音もあります。
http://www.hmv.co.jp/Product/detail.asp?sku=2566494
オットー・クレンペラー(指揮)
フィルハーモニア管弦楽団
録音:1960年
レーベル:EMI
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1789310
存命中の人のCDも挙げたかったのですが、残念ながら3人とも故人です。。。
(クライバーは10年ほど前まで活躍していた人だったんですが、数年前に惜しまれつつ世を去りました。)
最初に挙げたクライバーは、3枚の中で唯一のライブ録音です。
他の2枚には無い、ライブならではの熱気が演奏に感じられます。
この年、クライバーは52歳。まだまだ若く、演奏にもそれが反映されています。
ベートーヴェンの7番はこのように熱い演奏でないと曲が死んでしまいます。(ぬるい演奏、綺麗なだけの7番なんて、言語道断です!)
録音として聴くと、羽目を外していると感じる部分が気になったりもしますが、会場で聴いていた人達には、そのような些事は全く気にならず、勢いに呑まれ、さぞ興奮したことでしょう。演奏者と聴衆が作り出すホールの雰囲気の中でこそ説得力を持ち、その時、その場所でしか成立しない演奏というものもあります。
クライバーの演奏スタイルもあり、3枚の中では一番テンポが速い演奏です。表現や音色はすっきりしたものですが、けっして薄味にはなっていません。
ちなみに、クライバーは、僕が最初に買ったクラシックCDのアーティストでした。曲はベートーヴェンの交響曲第5番「運命」。クラシック・ファンの間では、数ある『運命』の録音中、屈指の名盤として名高いものです。
フルトヴェングラーは、3枚の中では最も録音が古く、雑音もあり、この手の古い録音を聴いたことがない人は、かなり抵抗を感じるかもしれません。僕も最初はそうでした。。。
ですがこの演奏こそは、ベートーヴェンの交響曲第7番の魂を完全に音化した、『究極の7番』といえるものです。録音が良ければ、真っ先にお薦めしたいCDです。(古い録音ではありますが、観賞用として十分堪えうる生々しさがあります。古い録音のCDの中には、演奏の良し悪しなんて判別できない、記録としての価値しかないものもありますが、これは違います。)
7番が持つ情熱、歓喜、悲しみ、狂気といった感情を、これほどドラマティックに、それを嘘偽りのない表現で演奏した人は他にいないと思います。
(悲しい音楽を、曲に共感せずに悲しみを強調した大げさな表現で弾いても、それなりには聴けますが、本当に感情が込められた演奏とは感動の質は比較になりません。)
当時、世界最高峰の指揮者が、世界最高のオーケストラと組んで、技術的に完璧な録音(ミスの無い演奏)を目指すのではなく、曲の真の姿を描き出すために一心不乱になって演奏しています。とてもスタジオ録音とは思えない燃え上がり方ですが、感情がうまく音に乗らず雑になっているような箇所は無く、感情表現の豊かさが「単なるオーバーな表現」と感じさせない迫真性があり、オーケストラの響きも錬れています。
クライバーは録音の新しいCDの中で、ほぼオーソドックスな表現の名演奏として選んだものですが、この最高の演奏の前では、見劣りするのも仕方がありません。
なお、フルトヴェングラーには、『運命』や『第九』、『英雄』にも伝説的と呼ばれる名演奏の録音があります。(彼自身が伝説的な大指揮者でもあります。)
最後のクレンペラーは、フルトヴェングラーとは異なるアプローチで7番に向かい合ったものです。
フルトヴェングラーは7番を劇的(文学的)に表現しましたが、クレンペラーは7番の文学的に解釈可能な側面を無視して、あくまで絶対音楽(純粋な音楽)として表現しています。(20世紀の前半に音楽界に流行した演奏スタイルです)
葬送行進曲風の第二楽章でも、葬列を描写したり、音に感情を込めようとしたりはせず、曇らないクリアな音色で粛々と演奏してゆきます。
こう書くと、無感動に淡々と演奏しているか、能天気な演奏のように聞こえますが、クレンペラーは、曲を最大限に立派に鳴り響かせることに全ての情熱を注いでいます。その表現はクールであるにもかかわらず、オーケストラの響きには熱いものがあります。そして、音楽の構えの大きさと響きの充実感はフルトヴェングラー以上です。
クレンペラーが指揮すると、小さな交響曲(楽器編成が小規模だったり、作曲者が早いテンポで短時間で演奏されるように書いた曲)が大交響曲のように鳴り響きます。
クレンペラーの演奏の特徴の一つは、テンポの遅さです。普通、極端に遅いテンポの演奏は、野暮ったくなったり、途中でダレてしまいがち(間がもたない感じ)なのですが、クレンペラーはクリアな音色と、重厚でありながら整然とした響きにより緊張感を持続させ、そのような欠点を感じさせません。
※クレンペラー盤は、フルトヴェングラー盤と録音年に10年しか違いはありませんが、この10年間で録音技術は飛躍的に進歩しており、観賞用として全く問題ありません。
※上に挙げたCDのリンク先で、クレンペラーの演奏だけ試聴が出来ます。サンプルなので音質は悪く、ボリュームも大して上げられませんが、実際のCDは音が良いです。特に第四楽章などは他の指揮者の演奏を知っている人なら、そのテンポの遅さが実感できると思います。
クライバーの表現は、フルトヴェングラーとクレンペラーの間にあり、どちらかといえばクレンペラー寄りです。例えば第二楽章のオーケストラの音色は、フルトヴェングラーに比べるとよほどすっきりしたものです。
ベートーヴェンは、クライバーやフルトヴェングラーのような直接的に情熱を感じさせるような演奏をイメージしてこの曲を書いたように思いますが、クレンペラーの演奏にも十分な説得力があります。
僕の好みでは、1番にフルトヴェングラー、2番がクレンペラー、3番がクライバーなのですが、この曲をこれから聴こうという人に薦めるCDとなると、録音の良さと、ほぼオーソドックスといえる演奏スタイルで、クライバーが最初に聴くCDとして妥当かと思います。(どれを選んでも間違いは無い名演揃いではあります。)
注意!
3人ともこの曲を複数回録音しており、なかには演奏がイマイチだったり、録音が極端に悪いものもあるので、もし購入される場合は、リンクからHMVの製品ページへ行くか、レーベル名、カタログNo.、録音年とオーケストラ名を確認して購入してください。
次回は、7番の聴き方について書いてみたいと思います。
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こんにちは。(^^♪
ベートーヴェンは聴感を失って曲が書けなく
なったんですよね。。
どれも素晴らしい曲ばかりですが
私はピアノソナタが好きです。
月光、悲愴・・他にも
とても参考になりました。
有難う御座いました。m(__)m
2008/11/14(金) 午後 1:38 [ ルビー ]
僕もピアノソナタは好きです。
クラシックを聴き始めた頃、最初は交響曲ばかり聴いていたのですが(クラシックらしい音楽といえば「交響曲」だろう、という発想でw)、どの曲も長くて、聴きどころもよく分からず、正直言って聴いていて苦痛を感じましたw そんな時、目先を変えてベートーヴェンのピアノソナタのCDを聴いてみたところ、比較的短く、素直に楽しめて、良い曲だな、と感じることが出来ました。(それが無ければ、クラシックを聴くのをやめていたかもww)
そのCDの曲目は『月光』、『悲愴』、『熱情』という、これ以上無いくらい親しみ易い曲だった、というのも大きかったです。
今もベートーヴェンのピアノソナタは好きですが、最近は、以前はあまり深みが無いと勘違いしていた、モーツァルトやシューベルトのソナタも良いな、と思うようになってきました。
2008/11/14(金) 午後 10:52 [ キイ ]
苦手です・・・のだめが「べとべんさんは・・・」と物語のように音楽を語ります(この間20巻を読みました)
ある意味、尊敬です
コメントしなきゃ良かった(笑)
2008/11/15(土) 午前 1:49 [ kitano ]
kitanoさん
いえいえ、コメント感謝です!
ベートーヴェンの曲が持つ強烈な個性は、それをアクの強さと感じる人も多く、けっこう好き嫌いが分かれる作曲家かもしれません。プロの演奏家にも「ベートーヴェンはどこが良いのか分からない」とはっきり言ってた人(ティボーというロン=ティボーコンクールに名前を残している昔の名ヴァイオリニスト)もいましたしw
僕も、ベートーヴェンは『楽聖』という呼び名に相応しい作曲家だと思いつつも、曲によっては、例えば『運命』などは苦手な方でした。最後の楽章の歓喜を伴う情熱的な盛り上がりが、敢えて言えば「鬱陶しく」感じたりしましたw
そういう曲の場合、曲自体の大げさな盛り上がりを演奏で強調しない、速いテンポで一気呵成に音楽を進めてゆくような演奏を好んで聴きました。(曲はあまり好きじゃなくても、この演奏は大好き、というのもあったりします。)
kitanoさんは、好きなクラシックの曲や作曲家はありますか?
2008/11/15(土) 午前 4:35 [ キイ ]
こんばんは。
機会が有ったら
ラフマニノフも聞いてみるといいですよ。
交響曲第2番作品27の
特に第3章〜4章
とってもきれいな曲です。
きっと好きになると思う。(^^♪
て言うより、キイさんなら知ってるかも・・
2008/11/15(土) 午後 6:13 [ ルビー ]
ラフマニノフは今まで特に聴こうとしなかった作曲家でして、実は有名なピアノ協奏曲も先月初めてCDを買って聴いたくらいですw
交響曲第2番は、以前から名曲として名前は知っていて、気にしていた曲なので、今度買ってみようと思います^^(ちょうど買いたいとは思っていたので)
※僕はドイツ・オーストリアの作曲家の曲を中心に聴いているので、ロシアやフランス、イタリアの作曲家は有名曲でも知らないものが多かったりします^^;
2008/11/15(土) 午後 8:09 [ キイ ]