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二度の被爆と後遺症に耐えながら93 年の天寿を全うされた山口彊さん(故人)
広島に原爆が投下された8月6日午前8時15分・・・山口彊さん(故人)は、勤め先の長崎の造船所から、ちょうど広島に出張中のこと、仕事場近くの路上で被爆をしました。爆風で付近の畑に吹き飛ばされた山口さんは、左半身の皮膚が焦げ、とろけるほどの重度の火傷を負い、その時の爆風で左耳の聴力も失ってしまいました。
社員寮で一夜を明かし、火傷の痛みと発熱をおして、翌日・・・長崎行きの避難列車に乗ろうと駅に歩いて向かう途中、地獄と化した広島の街を垣間見ることになります。遺体の焼けるなんともいえない臭いであたりは充満し、黒焦げに焼けた無残な遺体が、路傍に山のように積まれています。トラックで乗りつけた救援隊は、遺体の背中に棒を打ち込み、路肩に退けては道を作っていたのです。川の中を見れば、「人間いかだ」のように遺体がひしめいています。
激しい発熱に震えながらも、一昼夜かかって何とか長崎に帰り着くことができ、ようやくの思いで家族との再会を果たしたといいます。しかし、9日、全身火傷の高熱と悪寒をおしながらも造船所に出勤・・・そこで2度目の被爆を経験します。火傷の患部を覆っていた包帯は溶け、爆風で飛んできた砂塵が赤々とした傷口にくっつき、それは言葉では表現しがたいほどの痛みでした。それでも何とか自宅にたどり着き、家族の無事を確認した山口さんは、再び強烈な悪寒に襲われ、その時には、もう体を横たえるしかありませんでした。
原爆症と戦いながら家族を養い続け、戦後65年間を生き抜いた山口さん。いや、人生を生き抜いたと言っても良いかもしれません。原爆の閃光によって白内障にもなり、胆嚢も摘出しましたが、米軍や造船所の技師や、英語教師などをしながら働いてきたのです。
『ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆』の著書の中で、「今日を生きることができたという事実だけが私の支えであり、それ以上の確かなものなど持ちようがなかった。その日その日を生き延び、家族を養うことが私のすべての目的だった」と語っています。
映画『二重被爆〜語り部・山口彊の遺言』を監督された稲塚秀孝氏は「生前の山口さんにお会いする中で、『今を生きていることを大事にして、伝えられることは伝えよう』という山口さんの思いを強くしました」と話されています。晩年の山口さんの語り部として活動を記録した映画です。
想像を絶する二度の被爆を受けながらも、人生を全うされた山口さんの生き方は、「今を生きる」ことに人生の目的を見出しました。先が見えないことを逆手にとれば、それは「強さと化する」のかもしれません。もし、喪失感や未来への不安ばかりを思っていたとすれば、その思いに押し潰されて命も縮めていたかもしれません。
「『命だけでも拾った』と思えば、かえって、これまで以上に頑張れることもあるのかもしれない・・・山口さんの生き方に、私たちも学んでいきたいものです。
著 者:山口 彊
出版社:朝日文庫
定 価:651円
1945年8月6日広島、8月9日長崎
わずか75時間、直線距離にして300キロしか離れていない
2つの都市に投下された原子爆弾
無辜の市民が合わせて20万人余が一瞬のうちに亡くなり
今も原爆症に悩む人々が30万人もいる現実
記録映画「二重被爆」(2006年3月完成)から5年
広島と長崎の両市で被爆した「二重被爆者」だった
山口彊(つとむ)さんを追い続けてきた軌跡が映画となった
「二重被爆〜語り部・山口彊の遺言」は、被爆後60年余り
歴史の闇の中に埋もれていた「二重被爆」の実態が明らかに
なり、日本国内、海外へ反核の思いを伝え続けた山口彊さん
93歳で命を召されるまで、その遺言の意味を描いた
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感動の部屋






1:44さん
転載、傑作・・・ありがとうございます!!
この現実を避けては日本の歴史は語れません。
機会があれば、書籍や映画もご覧戴ければと思います。
2011/8/4(木) 午前 3:13
『命だけでも拾った』と思えば、かえって頑張れる。
素晴らしい生き方をされた山口さんに学びました。ありがとうございます。 ポチ☆
2011/8/4(木) 午前 6:43
いわしちゃん
おはようございます!!
「命を拾ったと思えば」・・・まさに、山口さんだからこそ、説得あるお言葉なのでしょう。
自殺をする人が後を絶たない現代・・・
改めて「生きる」意味を考えてみるときが、きているように思います。
傑作、ありがとうございます!
今日も一日、お気をつけてお過ごしくださいね。
いってらっしゃい!!
2011/8/4(木) 午前 8:16
放射能問題が騒がれている現在、2度の被爆をされてその後遺症と闘いながらの生涯は大変貴重な体験だとおもいます、ポチッ!
2011/8/4(木) 午前 8:48
kaeiwaさん
本当に頭が下がる思いです。
お時間があれば、映画や書籍にも触れていただければと思います。
傑作、ありがとうございました。
2011/8/4(木) 午前 9:24